ヘラクレスの二度目の狂気とティリュンスの城壁から投げ落とされたイピトスの死、古代ギリシア神話の英雄ヘラクレスの物語⑨

前回までのシリーズで書いてきたように、女神ヘラから狂気を吹き込まれることによって、テーバイの王女メガラとの間に生まれた三人の息子たちを火の中に投げ込んで炎で焼き殺してしまうことになったヘラクレスは、

その後、テーバイの都から追放されたのち、デルポイの神託の言葉に従ってケーネの王エウリュステウスのもとに十二年仕え、のちにヘラクレスの十二の功業と呼ばれることになる

ネメアの獅子にはじまり地獄の番犬ケルベロスに終わる全部で十二の偉業を成し遂げられることになります。

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王妃メガラをイオラオスに託してテーバイを再び離れるヘラクレス

十二の功業を成し遂げたのちテーバイを離れてテッサリアへと赴くヘラクレス

そして、

こうしてデルポイの神託において定められた十二の功業を見事に成し遂げることになった英雄ヘラクレスは、約束されていた通りに、神々から息子殺しの罪を赦されて、生まれ故郷であったテーバイの都へと帰還することになります。

しかし、

神々からは罪を赦されていたとはいっても、二人の間に生まれた息子たちを殺してしまった自分がかつての妻であったメガラとそのまま何事もなかったかのように復縁してテーバイで幸せに暮らしていくということがどうしても許すことができなかったヘラクレスは、

彼女のことを自分の甥であったイオラオスに託したうえで、新天地において新たな人生を築いていくことを目指していくことになります。

そして、この時、

テーバイから見て北西の方角に位置するテッサリアの地にあったオイカリアの王であったエウリュトスが、彼とその息子たちを弓術で負かした者を彼の娘であったイオレーの婚約者とすると言って、国を率いる武勇に優れた人物を広く求めていたため、

ヘラクレスは、こうしたエウリュトス王の求めに応じて、彼らと弓試合をして勝利をおさめることによって、イオレーの婚約者としての資格を得ることになるのです。

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ヘラクレスの二度目の狂気とティリュンスの城壁から投げ落とされた友人イピトスの死

そして、その後、

エウリュトスの息子たちのなかでも年長の者であったイピトスは、王の言葉通りに、ヘラクレスのことを王女イオレーの婚約者として認めて、彼のことを歓迎することになるのですが、

それに対して、イピトス以外のその他の王子たちはみな、かつてメガラとの間に生まれた子供たちを自らの手で殺してしまったように、ヘラクレスイオレーと彼女のもとに生まれることになる子供たちのことも殺しかねないと恐れて、この結婚の話を破断にしてしまおうと画策していくことになります。

そして、さらに悪いことに、

こうした新天地における自分の結婚の話が約束通りには一向に進まないことにいら立っていたヘラクレスのもとに、女神ヘラが訪れて、彼の心の内へと再び狂気を吹き込んでいくことによって、

女神ヘラの吹き込む狂気に駆られて再び気狂いとなったヘラクレスは、あろうことか、彼のことを信じてオイカリアの王家との間の仲を懸命に取り持とうとしてくれていた良き友であったイピトスのことをティリュンスの城壁から地面へと投げ落として、彼のことを殺してしまうことになるのです。

・・・

次回記事:女王オムパレーの奴隷となるヘラクレスとダイダロスが建てたヘラクレス像、古代ギリシア神話の英雄ヘラクレスの物語⑩

前回記事:ヘラクレスの第十二の功業における地獄の番犬ケルベロスとの戦いと冥界で現れたメドゥーサの幻影、ヘラクレスの十二の功業⑫

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