オリンピックの五色の由来とは?青・黄・黒・緑・赤の五色と背景の白がオリンピックの旗を彩る六つの色に選ばれた理由
オリンピックのシンボルとなる五輪のデザインは青・黄・黒・緑・赤という五色で描かれていて、こうしたオリンピックの五つの輪を彩っている五つの色は、
ヨーロッパ・アジア・アメリカ・アフリカ・オセアニアという世界の五大陸の連帯のことを象徴する色としても位置づけられていくことによって、
オリンピックの理念そのものを象徴する五つの色としても位置づけられることになると考えられることになります。
そして、さらに、
こうした五つの輪が描かれたオリンピックの旗の色は、そうしたオリンピックの五色にその背景にある白を加えた六つの色によって構成されていると考えられることになるのですが、
こうした青・黄・黒・緑・赤というオリンピックの五色、そして、そこに背景の白を加えた六つの色は、具体的にどのような理由に基づいて選定されていると考えられることになるのでしょうか?
世界中のすべての国々の国旗の色の象徴としてのオリンピックの旗の六色
そうすると、まず、詳しくは、「オリンピックのシンボルの由来」の記事で考察したように、
近代オリンピック創立者にして五輪のデザインの考案者にもあたるフランスの教育者にして歴史家でもあったクーベルタン自身の言葉に基づくと、
オリンピックの五つの輪における青・黄・黒・緑・赤の五色に背景の白を加えた六つの色は全体として、
オリンピックに参加するすべての国々の国旗の色が互いに混ざり合って一体となっていくという世界におけるすべての国々の普遍的な連帯と調和を示すシンボルとして位置づけられていると考えられることになります。
つまり、一言でいうと、
こうした青・黄・黒・緑・赤・白というオリンピックの旗を彩る六つの色は、直接的な意味においては、世界中のすべての国々の国旗の色を象徴する色として選ばれていくことになったと考えられることになるのです。
色の三原色と光の三原色との関係
それでは、なぜ、
こうした青・黄・黒・緑・赤・白という六つの色によって世界中のすべての国々の国旗の色を表現することができるのか?ということについてですが、
それについては、詳しくは、「オリンピックの六色と色と光の三原色との対応関係」の記事で考察したように、
そもそも、近代にはじまる科学的な色彩理論においては、
こうした六つの色のうち、青・赤・黄という三つの色は色の三原色、青・赤・緑という三つの色は色の三原色としてそれぞれ位置づけられていくことになると考えられることになります。
そして、
色の三原色の場合には、青・赤・黄という三つの色の絵の具をすべて同じ割合で混合していくと最終的に黒になるに対して、
光の三原色の場合には、青・赤・黄という三つの色の光をすべて同じ割合で混合していくと最終的に白になるというように、
この世界の内に存在するすべての色は、そうした色の三原色と光の三原色の混合と収束の過程においてつくり出されていくことになると捉えていくことができると考えられることになるのです。
古代ギリシア哲学の四元素説と古代中国思想の陰陽五行説との関係
また、その一方で、詳しくは、「オリンピックの五色とギリシア哲学における四元素説と陰陽五行説との関係」の記事で考察したように、
こうしたオリンピックの旗を彩る青・黄・黒・緑・赤・白という六つの色の選ばれ方については、古代ギリシア哲学における四元素説や、古代中国における陰陽五行説といった古今東西の古代思想と結びつけて捉えていくこともできると考えられることになります。
紀元前5世紀の古代ギリシアの哲学者であったエンペドクレスによって唱えられた四元素説と呼ばれる自然哲学の思想においては、
世界を構成しているすべての事物は、水・空気・火・土という四つの元素によって形づくられているとされていて、
こうした水・空気・火・土という四元素は、それぞれ、水を象徴する色としては青のイメージが、火を象徴する色としては赤のイメージが連想されることになるほか、
空気を象徴する色としては透明や白のイメージが、土の元素からは泥の色である茶色または砂漠の砂のような黄色のイメージがそれぞれ連想されていくことになると考えられることになります。
そして、それに対して、
古代中国における陰陽五行説の思想においては、そうした万物の根源となる要素としては、木・火・土・金・水という五つの要素が挙げられていて、
こうした陰陽五行説における木の要素からは、一般的には、木々や草原などの緑のイメージが連想されることになると考えられますが、
その一方で、こうした陰陽五行説における五要素と色彩との伝統的な解釈に基づく対応関係においては、
水の要素は北方を守護する亀の姿をした水神にあたる玄武(げんぶ)と結びつけられていて、色彩においては玄(くろ)すなわち黒のイメージへと対応することになり、
金の要素は西方を守護する虎の姿をした神獣である白虎(びゃっこ)と結びつけられていて、色彩においては白のイメージへと対応づけられていくことになると考えられることになるのです。
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そして、以上のように、
こうした青・黄・黒・緑・赤というオリンピックの五色、そして、そこに背景の白を加えたオリンピックの旗を彩る六つの色の具体的な由来のあり方について、一言でまとめると、
①五輪のデザインの考案者であるクーベルタン自身の言葉に基づく直接的な由来としては、世界中のすべての国々の国旗の色を象徴する色、
②色彩学を中心とする科学的な観点からは、色の三原色と光の三原色の混合と収束の過程において現れていくことになる色、
③古代ギリシア哲学や古代中国思想といった哲学的な観点からは、四元素説における水・空気・火・土という四つの元素や、陰陽五行説における木・火・土・金・水という五つの要素から連想されることになる色
としてこうした青・黄・黒・緑・赤というオリンピックを象徴する六つの色が選ばれていくことになっていったと考えられることになるのです。
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「オリンピックの五色の由来」に関連する記事の一覧(※以下すべて(リ))
①オリンピックのシンボルの由来とは?クーベルタンの言葉に基づく公式的な意味における五つの輪と五つの色の由来
②オリンピックの青・赤・黄・緑・黒・白の六色がすべての国々の国旗の象徴する色となる理由とは?色と光の三原色との対応関係
③オリンピックの五色とギリシア哲学における四元素説と陰陽五行説との関係
④オリンピックの五色の由来とは?青・黒・赤・黄・緑の五色と背景の白がオリンピックの旗を彩る六つの色に選ばれた理由
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次回記事:オリンピックの五つの輪が左から青・黄・黒・緑・赤の順で並ぶ理由とは?色彩科学とフランス国旗における色の配置との関連性
前回記事:オリンピックの五色と五大陸の組み合わせの絶対に忘れない覚え方とは?
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