オリンピックの五つの輪が左から青・黄・黒・緑・赤の順で並ぶ理由とは?色彩科学とフランス国旗における色の配置との関連性
オリンピックのシンボルとして位置づけられている五輪のデザインにおいては、左から順番にジグザグを描いていく形で、青・黄・黒・緑・赤の順で五つの輪が並んでいくことになりますが、
近代オリンピックの創始者にあたるクーベルタンが発案したとされるこうしたオリンピックのシンボルとなるデザインにおいて、五つの輪がこのような順番で並べられていくことになった具体的な理由については、
色彩科学などの観点からある程度合理的な形で説明を行っていくことができると考えられることになります。
色彩科学的な観点に基づくオリンピックの五つの輪の配置
そうすると、まず、
こうしたオリンピックのシンボルを構成している五つの輪のうち、黒の輪を除く青・黄・緑・赤の四色は、
色彩科学においては、色の三原色または光の三原色のうちのいずか、または、その両方に含まれているすべての色を生み出すもととなる原色となる色として位置づけられる色であり、
こうした青・黄・緑・赤の四色の絵の具をすべて混ぜ合わせていくと黒ができあがることになるので、
こうした青・黄・緑・赤の四つの輪の中心には、そうしたすべての色が混ぜ合わされていくことによって生まれる究極の色としての黒が配置されることになると考えられることになります。
また、こうした色彩科学に基づく色の対応関係のあり方においては、
赤と緑、そして、青と黄といった色の組み合わせのあり方は、光の波長の長さに基づくスペクトルの順にしたがって色相を環状に配列した色相環(しきそうかん)において互いに正反対の位置に配置されることになる補色関係にある色として位置づけられることになるのですが、
そうした互いに補色関係にある二つの色は、両者を混ぜ合わせていくと、互いの色彩の足りない要素が補われることによって無彩色すなわち黒と白の中間に位置する灰色にあたるような色ができあがることになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうした補色関係と呼ばれる互いの色を補い合う関係にあるにある赤と緑、そして、青と黄といった色彩の輪は、それぞれ互いに隣接する位置へと配置していくのが色彩科学的な観点からも自然な配置のあり方となると考えられることになるのです。
フランス国旗における青と赤の配置との関連性
それでは、このように、
青・黄・黒・緑・赤という五つの輪のうち、黒の輪が中央へと配置されたうえで、赤と緑、そして、青と黄という補色関係にある色の組み合わせが互いに隣接した位置へと配置されていくことになるのはよいとして、
今度は、それではいったいなぜ、そうした色の配置のあり方において、
青の輪が左端に、そして、赤の輪が右端へと位置づけられることになるのか?ということが問題となると考えられることになりますが、
それについては、おそらく、今まで考えてきた色彩科学的な観点というよりは、むしろ、ヨーロッパにおける慣習的な色の配置のあり方に基づいて、こうした色の輪の配置がなされていると考えられることになります。
例えば、
こうした五輪のデザインの発案者にあたるクーベルタンは、フランスの教育者にして歴史家でもあたる人物として位置づけられることになるのですが、
そうしたクーベルタンの出身国にあたるフランスの国旗においては、自由・平等・博愛という三つの標語と対応でけられることも多い三つの色が左から順に青・白・赤という順番で並べられることになるように、
こうしたフランス国旗にも見られる慣習的あるいは一般的な色の配置のあり方においては、青は左に赤は右へと配置されていくことになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうしたオリンピックのシンボルとなる五輪のデザインが左から順番にジグザグを描いていく形で青・黄・黒・緑・赤の順番で五つの輪が並んでいく配置となった具体的な理由としては、
まずは、フランス国旗などにおいても見られるヨーロッパにおける慣習的な色の配置のあり方に基づいて、青の輪が左端に赤の輪が右端へと位置づけられたうえで、
その次に、色彩科学的な観点からも深く考慮されていくことによって、すべての色が混ぜ合わされていくことによって行き着く先にある究極の色にあたる黒が中央へと配置され、
互いに補色関係にある色にあたる青の右下となりには黄色、そして、赤の左下となりには緑が配置されていくことによって、
オリンピックのシンボルとしての五輪のデザインが必然的に組み上げられていくことになると考えられることになるのです。
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