オリンピックの青・赤・黄・緑・黒・白の六色がすべての国々の国旗を象徴する理由とは?色と光の三原色との対応関係
前回の記事で書いたように、オリンピックのシンボルとして描かれている五つの輪における青・黄・黒・緑・赤の五色、そして、その背景にある白を加えた六色は、
近代オリンピックの創始者にしてそうしたオリンピックのシンボルの考案者にあたるクーベルタン男爵の言葉によれば、公式的な意味においては、
こうしたオリンピックのシンボルとなる図案が考案された1913年当時の実際のオリンピックの参加国の国旗に含まれているすべての色を表すものとして、こうした青・赤・黄・緑・黒・白という六つの色が選ばれたと語られています。
しかし、その一方で、
現在のオリンピックの参加国のなかには、例えば、インドの国旗に含まれているオレンジ色や紺色などのように、上記の六つの色のなかに含まれていない色を国旗の色として用いている国も多数存在すると考えられることになるのですが、
それでは、
こうした新しくオリンピックに参加した国々の国旗については、オリンピックのシンボルが象徴する国旗のうちに含めることはできなのか?というと、必ずしもそういうわけでもなく、
オリンピックを象徴する色としてこうした青・赤・黄・緑・黒・白という六つの色が選ばれることになった理由については、
科学的、歴史的、あるいは、哲学的な観点からもその背景にある具体的な根拠を解き明かしていくことができると考えられることになります。
色の三原色と光の三原色における青・赤・黄・緑・黒・白という六つの色の対応関係
そうすると、まず、
近代にはじまる科学的な色彩理論においては、割合を変えて混合していくことによってすべての色を表すことができる基本となる三つの色として、
一般的には、
青・赤・黄の三つの色によって構成される色の三原色
青・赤・緑の三つの色によって構成される光の三原色
という二通りの色の組み合わせのパターンが挙げられることになると考えられることになります。
そして、
前者の色の三原色の場合には、こうした三つの色が絵の具や印刷用のインクなどの配色に用いられていくことによって、互いに色を重ねていくほど暗くなっていくことになると考えられ、
こうした青・赤・黄という三つの色の絵の具をすべて同じ割合で混合していくと最終的に黒色になると考えられることになります。
そして、それに対して、
後者の光の三原色の場合には、こうした三つの色がテレビやコンピュータあるいはスマートフォンの画面などの映像の出力に用いられていくことによって、互いに色を重ねていくほど明るくなっていくことになると考えられ、
こうした青・赤・緑という三つの色の光をすべて同じ割合で混合していくと最終的に白色の光になると考えられることになるのです。
オリンピックを象徴する六つの色がすべての色とすべての国々の国旗を象徴する色となる理由
そして、以上のように、
こうした色の三原色にあたる青・赤・黄という三つの色と、光の三原色にあたる青・赤・緑という三つの色を互いに混ぜ合わせていくこと、最終的にすべての色は黒と白という二つの色へと収束していくことになると考えられることになるのですが、
こうした色の三原色と光の三原色において現れていくことになる青・赤・黄・緑・黒・白という六つの色は、冒頭で述べたオリンピックを象徴する色として選ばれている六つの色ともぴったり一致することになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうした色の三原色や光の三原色などといった色彩や映像に関する科学的な観点からは、
オリンピックを象徴する色として位置づけられている青・赤・黄・緑・黒・白という六つの色は、単に、こうした六つの色が直接的に含まれている特定の国々の国旗の象徴として機能しているだけではなく、
そうした色の三原色と光の三原色において現れていくことになる六つの色の混合と収束の過程において現れていくことになるすべての色、
すなわち、
この世界に存在するすべての色とすべての国々の国旗の象徴となる色として位置づけていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:オリンピックの五色とギリシア哲学における四元素説と陰陽五行説との関係
前回記事:オリンピックのシンボルの由来とは?クーベルタンの言葉に基づく公式的な意味における五つの輪と五つの色の由来
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