マオリ族を象徴する三つの色とは?マオリ神話における三つの世界の領域とマオリの旗における黒・白・赤の三色の帯の対応関係
1990年に作成され、その後、ニュージーランドの先住民にあたるマオリ族を象徴する旗として正式に公認されることになったマオリの旗においては、
黒・白・赤という三つの色によってマオリ族の世界観が表現されていると考えられることになるのですが、
それでは、このように、
マオリ族のことを象徴する色として、黒・白・赤という三つの色が選ばれていくことになったことには、具体的にどのような理由があると考えられることになるのでしょうか?
マオリ神話における世界の創造の物語と神話の論理的な構造
そうると、まず、
マオリの旗と呼ばれている旗は、正式な名称としては、ティノ・ランガティラタンガの旗と呼ばれていて、
こうしたマオリ語における、ティノ・ランガティラタンガ(Tino rangatiratanga)という言葉は、通常の場合、
英語において「自己決定」や「主権」を意味する単語のマオリ語における訳語として用いられていた言葉として解釈されることになると考えられることになります。
そして、
こうしたティノ・ランガティラタンガの旗と呼ばれるマオリの旗において示されている黒・白・赤という三つの色の帯は、一言でいうと、
マオリ神話において語られていくことになる三つの世界の領域のことを表していると考えられることになります。
マオリ族の神話における世界の創造の物語においては、多くの場合、はじめに存在していたとされる暗黒や虚空とも呼ばれる長く続く暗闇の世界の内から白い光の世界が現れることによって現在の世界が形づくられることになっていったと語られていくことになるのですが、
その際、こうしたマオリ神話の論理的な構造といった観点からは、
そうしたすべての存在がその内から生まれることになる潜在的な領域にあたる暗闇の領域は、新たな世界を生み出そうとする活動的な力の領域の作用を受けることによって、現在の世界が存在する光の領域を生み出していくことになったと説明していくことができると考えられることになるのです。
マオリの旗における黒・白・赤という三つの色の帯とマオリ神話における三つの世界の領域との対応関係
そして、
マオリの旗においては、そうしたマオリ神話の創造の物語に基づいて、
上段の黒の帯は、すべての存在がその内から生まれることになる潜在的な暗闇の領域、
下段の赤の帯は、新たな世界を生み出す力を与える活動的な力の領域、
中央の白の帯は、そうした二つの領域の作用によって生み出された自然界における調和とバランスのとれた現実の世界を司る光の領域を表していくことになる
というように、
こうした黒・白・赤という三つの色の帯が、マオリ神話における潜在的な暗闇の領域と活動的な力の領域、そして、現在の世界を司る光の領域という三つの世界の領域へとそれぞれに対応づけられていくことによって、
そうした黒・白・赤という三つの色がマオリ族のことを象徴する色として位置づけられていくことになっていったと考えられることになるのです。
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