春の三日月が横に寝ているような姿として観測される理由とは?日周軌道における三日月と太陽との位置関係に基づく説明
前回の記事で書いたように、三日月と呼ばれる地球からの観測においては、右側の方向が輝いている細長い弓形の形状として観測されることになる時期の月の姿は、
春や秋といった季節の違いにかかわらず、いつでも夕暮れ時に西の低い空に浮かんでいるところが観測されることになると考えられることになるのですが、
その一方で、
こうした春と秋のそれぞれの季節における三日月の姿には、互いに特徴の違いを見いだしていくことできると考えられ、
具体的には、春の時期における三日月の姿は、太陽の光を反射して輝いている細長い弓形の部分が横へと大きく傾いている状態で観測されることになります。
それでは、このように、
春の三日月が横に寝ているような姿として観測されることになるということについては、具体的にどのような理由から説明していくことができると考えられることになるのでしょうか?
春の時期における三日月と太陽の天球上の位置と日周軌道との関係
そうすると、まず、
こうした春の三日月における太陽の光の反射によって輝いている三日月の部分の傾き方の角度を把握していくためには、
まずは、こうした春の時期の天球上における三日月と太陽との位置関係のあり方について詳しく把握しておくことが重要となると考えられ、
具体的には、上記の図において示したように、
春の時期には、太陽の側は、天の赤道と太陽の年周軌道にあたる黄道との昇交点にあたる黄道上の春分点に位置しているのに対して、
三日月の側は、そうした黄道と非常に近い軌道を描いていくことになる天球上における月の通り道にあたる白道上において春分点が位置する経度から左回りに30度ほど進んだ先に位置することになると考えられることになります。
そして、次に、
こうした春の時期の天球上における三日月と太陽との位置関係のあり方から三日月と太陽のそれぞれにおける一日の動きのあり方、すなわち、三日月と太陽の日周軌道のあり方を導き出していくためには、
前述した図における黄道と白道の位置を、春分の時期に真東から昇り真西へと沈んでいくことになる太陽の日周軌道のあり方に合わせて、上記の図における地平線上の東と西の地点を通るように位置づけ直したうえで、
そうした黄道と白道の上にそれぞれ位置づけられることになる春の時期の天球上における太陽と三日月の位置を、
地球における自転運動のあり方と対応させていくように、地球における北極と南極を結んだ直線にあたる地軸を中心として天球ごと回転させていくことによって、
そうした春の時期における太陽と三日月の日周軌道のあり方を導き出していくことができると考えられることになります。
そして、上記の図において示したように、
こうした春の時期における太陽と三日月の日周軌道のあり方においては、
春の太陽は、前述したように真東の空から昇ってきて、南の空を通って、真西の空へと沈んでいくことになるのに対して、
春の三日月は、春の太陽よりもわずかに北寄りの東の空から昇ってきて、南の空を通って、わずかに北寄りの西の空へと沈んでいくことになると考えられることになるのです。
春の時期における三日月と太陽の天球上の位置と日周軌道との関係
そして、
こうした春の時期における三日月と太陽との日周軌道における位置関係のあり方をより分かりやすい形で説明していくためには、
上記の図において示したように、
そうした春の三日月と春の太陽の日周軌道のあり方を互いに重ね合わせていくような形で図示していけばいいと考えられ、
具体的には、
わずかに北寄りの東の空から昇ってきてわずかに北寄りの西の空へと沈んでいくことになる春の三日月の日周軌道は、
真東の東の空から昇ってきて真西の空へと沈んでいくことになる春の太陽の日周軌道よりもわずかに高い高度を通っていくことになると考えられることになります。
そして、
こうした春の三日月と春の太陽との日周軌道における位置関係の違いのあり方に基づくと、上記の図において示したように、
この時期の月は、三日月が観測されることになる夕暮れ時の西の空において、日没の時を迎えていくことになる太陽の光によって真下に近い方向から照らされることになるため、
それによって、
太陽の光を反射して輝いている細長い弓形の部分が横へと大きく傾いていてほとんど横に寝ているような状態として観測されることになる春の三日月の姿が観測されていくことになると考えられることになるのです。
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ちなみに、
こうした春の時期における三日月と太陽との位置関係のあり方のことを指して、天文学的な用語を用いた説明のあり方としては、
そうした春の時期における三日月の観測において、天球上における太陽と月の通り道にあたる黄道や白道が寝ている、あるいは、黄道や白道が横になっているといった形での説明がなされることもあるのですが、
そうした説明のあり方を、上記の図において示したような春の三日月と春の太陽との日周軌道における位置関係のあり方に基づいて、より日常的な言葉において言い換えていくとするならば、
こうした春の時期における三日月と太陽との位置関係においては、
地球上から三日月が観測されることになる夕暮れ時の時点における春の三日月の日周軌道における位置に対して、太陽の日周軌道における位置が真下で寝ているような形で観測されることになるといった形で、
そうした春の三日月と春の太陽との位置関係のあり方を捉えていくことができるとも考えられることになるのです。
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次回記事:秋の三日月が縦に立っているような姿として観測される理由とは?日周軌道における三日月と太陽との位置関係に基づく説明
前回記事:三日月がいつも西の低い空にいるように見える理由とは?南中時の月の高さは違うのに実際に観測される位置が同じになる仕組み
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