黄緯と黄経の違いとは?黄道座標において天球の緯度と経度を定める二つの座標の定義と具体的特徴のまとめ
地球からの観測において天球上に配置されていくことになる夜空における大小さまざま星々の位置関係のあり方のなかでも、
火星や金星などといった太陽系内の惑星などの天体は、一般的に、地球から見た見かけ上の太陽の公転軌道にあたる黄道に近い軌道を描いていくことになるため、
そうした天球上の太陽の通り道にあたる黄道を基準とした位置座標にあたる黄道座標(こうどうざひょう)と呼ばれる天球座標系を用いてそれぞれの天体の天球における位置が定められていく場合が多いと考えられることになります。
それでは、
こうした黄道座標と呼ばれる天体の位置座標において用いられている黄緯と黄経という二つの座標のあり方は、それぞれ具体的にどのような特徴の違いを持った座標区分のあり方であると考えられることになるのでしょうか?
黄道座標における黄緯の定義と黄道北極と黄道南極の位置づけ
そうすると、まず、
こうした黄道座標と呼ばれる天球における天体の位置を表す位置座標系においては、天球における太陽の通り道にあたる黄道、そしてそのなかでも、そうした太陽の年周軌道としての黄道と天の赤道との交点にあたる春分点を基点として天体の位置座標が定められていくことになると考えられることになります。
そして、
こうした黄緯と黄経と呼ばれる二つの座標のうちの前者である黄緯(こうい)と呼ばれる座標の値においては、
こうした黄道と呼ばれる太陽の年周軌道にあたる大円が黄緯0度にあたる基準線として位置づけられたうえで、上記の図において示したように、
黄道に対して垂直な位置関係にある地球の中心を通る直線と天球との二つの交点のうち、地球における北極が天球上に投影された天の北極が位置する側の天球にある交点にあたる黄道北極と呼ばれる地点が黄緯90度にあたる地点として位置づけられことになり、
それに対して、
同じく黄道に対して垂直な位置関係にある地球の中心を通る直線と天球との二つの交点のうち、地球における南極が天球上に投影された天の南極が位置する側の天球にある交点にあたる黄道南極と呼ばれる地点が黄緯-90度にあたる地点として位置づけられていくという形で、
黄道座標と呼ばれる座標系における天球における緯度のあり方が定められていくことになると考えられることになるのです。
黄道座標における黄経の定義と春分点を基点とする360度の経度
そして、それに対して、
こうした黄緯と黄経と呼ばれる二つの座標のうちの後者である黄経(こうけい)と呼ばれる座標の値においては、上記の図において示したように、
天球上における太陽の通り道である黄道と天の赤道との二つの交点のうち、太陽がちょうど天の赤道を天の南極の側の半球から天の北極の側の半球へと横切っていく昇交点にあたる春分点と呼ばれる地点を通る経線、
すなわち、春分点と黄道北極と黄道南極の三点を結ぶ天球上の曲線が黄経0度にあたる基準線として位置づけられることになります。
そして、
こうした春分点を通る経線を黄経0時としたうえで、そこから黄道に沿って西から東へと東回りに360度まで測っていく形で黄経の値が定められていくことになり、
具体的には、上記の図において示したように、
春分点を通る天球上の経線は黄経0度、
夏至点を通る天球上の経線は黄経90度、
秋分点を通る天球上の経線は黄経180度、
夏至点を通る天球上の経線は黄経270度、
としてそれぞれ位置づけられていくことになると考えられることになるのです。
・・・
以上のように、
こうした黄道座標と呼ばれる天体座標系において用いられている黄緯と黄経という二つの座標のあり方の特徴の違いとしては、
前者の黄緯においては、天球における太陽の年周軌道にあたる黄経が黄緯0度にあたる基準線として位置づけられたうえで、黄道北極における黄緯90度から、黄道南極における黄緯-90度へと至るまでの天球における緯度のあり方が定められていくことになるのに対して、
後者の黄経においては、そうした黄経と天の赤道との昇交点にあたる春分点と黄道北極と黄道南極を結ぶ天球上の曲線が黄経0度にあたる基準線として位置づけられたうえで、そうした春分点を通る経線から黄道に沿って東回りに360度まで測っていく形で天球における経度のあり方が定められていくことになるといった点に、
こうした黄緯と黄経と呼ばれる二つの座標のあり方における具体的な特徴の違いがあると考えられることになるのです。
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次回記事:赤道座標と黄道座標の定義と基準の違いとは?太陽系外の恒星と太陽系内の惑星の位置座標として用いられる二つの天体座標系
前回記事:黄道が天の赤道に対して約23.4度傾いている理由とは?地球の公転軸に対する地球の自転軸にあたる地軸の傾きとの関係
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