黄道とは何か?③日本語における由来と陰陽五行説との関係、太陽を表す色として赤ではなく黄色が用いられている具体的な理由

前回の記事で書いたように、天球における太陽の通り道のことを意味する黄道(こうどう)という言葉は、英語ではecliptic(イクリプティック)と呼ばれていて、

こうした英語において黄道のことを意味するeclipticという単語は、もともと古代ギリシア語において日食のことを意味していたκλειψις(エクレープシス)という単語を大本の語源とする言葉であったと考えらえることになるのですが、

それでは、そもそも、

こうした天球における太陽の通り道のことを指して、日本語においては黄道」という言葉が用いられている理由、

すなわち、こうした黄道」という言葉自体の表現において太陽のことを指し示す色として「黄色」という色が用いられていることには具体的にどのような由来があると考えられることになるのでしょうか?

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ヨーロッパやインドといった世界の各地における太陽の色の一般的なイメージとは?

そもそも、

太陽のことを表す色として一般的にどのような色が用いられることになるのか?ということについては、古今東西の世界において共通するような統一的なイメージが存在するというわけではなく、

日本国内においては、日本の国旗に描かれている太陽を象徴する赤い日の丸のイメージから、太陽のことを表す色としては「赤」のイメージが強いと考えられることになるものの、

例えば、

ギリシア神話における光明神にして太陽神として位置づけられることもあるアポロン、あるいは、ヒンドゥー教における最高神にして太陽を象徴する神であるヴィシュヌといった神々は、金色あるいは黄色といった色として表現される光や衣をまとった存在として描かれていることが多いように、

もともと、

こうしたヨーロッパインドなどの世界の諸地域においては、太陽のことを表す色としては「金色」「黄色」といった色が用いられることの方がむしろ一般的であったとも考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

世界的に見ても、太陽のことを表す色として「赤」ではなく「黄色」を用いることは、むしろ一般的な表現のあり方であると考えられることになるため、

天球における太陽の通り道のことを指して、「黄色」という色を太陽の象徴として用いたうえで「黄道」という表現を用いることも、何の違和感もないむしろ自然な表現のあり方であるとも考えられることになるのですが、

その一方で、詳しくはこれから述べていくように、

こうした天球における太陽の通り道のことを指して「黄道」という「黄色」という色を用いた表現が使われることになった直接的な由来は、

こうした世界の各地における太陽の色の一般的なイメージとの関係というよりは、古代中国思想における陰陽五行説との関係のうちにその大本の起源を求めていくことができると考えられることになるのです。

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陰陽五行説における五色の正色と太陽の通り道としての黄道との関係

そうすると、まず、

こうした古代中国における陰陽五行説の思想に基づく天文学暦学易占などの知識を用いて物事の吉凶や禍福を占っていく方術である陰陽道(おんみょうどう)においては、

あらゆる凶悪が避けられるとされている何事を行なうにも吉とされる日のことを意味する言葉として、黄道吉日(こうどうきちにち)という言葉が用いられることがあるように、

そもそも、こうした黄道という言葉自体が陰陽道、そして、その思想の大本にある古代中国における陰陽五行説の思想に起源を持つ言葉であると考えられることになります。

そして、

こうした古代中国の陰陽五行説の思想においては、この世界に存在する万物は、木・火・土・金・水と呼ばれる五つの要素によって形づくられているとされていて、

こうした木・火・土・金・水という五つの要素は、色彩においてはそれぞれ、青・赤・黄・白・黒という五つの色へと結びつけられていくことになると考えられることになります。

そして、さらに、

古代中国においては、こうした陰陽五行説における五色の正色とされる五つの色のうち、青・赤・白・黒という四つの色については、青竜・白虎・朱雀・玄武という東西南北四つの方位を守る神獣の存在と結びつけられていくことになり、

そうした東西南北という四つの方位は、さらに、春夏秋冬という四つの季節の移り変わりのあり方とも結びつけられていくことによって、

こうした陰陽五行説における色と方角と季節との関係においては、

春=東=青夏=南=赤秋=西=白冬=北=黒という対応関係が成立していくことになると考えられることになります。

そして、

こうした陰陽五行説の思想において正色として位置づけられている青・赤・黄・白・黒という五つの色のうち、上述した東西南北春夏秋冬という四つの方位と季節のあり方のうちのいずれとも結びつけられずにただ一つ残っている色として「黄」という色が挙げられることになると考えられることになるのですが、

そういった意味では、

天球における太陽の通り道のことを指して日本語においては「黄道」という言葉が用いられている理由としては、

太陽は、その天球上における運行において、陰陽五行説において青・赤・白・黒という四つの色と結びつけられている東西南北という四つの方位に位置づけられる天球上の領域を順々にめぐっていくと同時に、それによって、春夏秋冬という四つの季節のあり方を地球上において順々にもたらしていくことになるため、

そうした東西南北と春夏秋冬というすべての方位と季節を順番にめぐっていく存在である太陽に対して、こうした陰陽五行説において最後に残された正色である「黄」という色が割り当てられることになったというのが、

こうした天球における太陽の通り道のことを意味する言葉として、「黄色」という色の表現を用いた「黄道」という言葉が用いられることになったと大本の由来であると解釈していくこともできると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:黄道とは何か?④天の赤道と黄道という天球上における二つの大円の位置関係と両者の交点としての春分点と秋分点の位置づけ

前回記事:黄道とは何か?②古代ギリシア語における語源と日食との関係

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