黄道とは何か?②古代ギリシア語における語源と日食との関係
前回の記事で書いたように、黄道(こうどう)とは、一言でいうと、
地球から観測されることになるすべての天体がその上に配置されていくことになる天球と呼ばれる一種のプラネタリウムのような仮想的な球面の上を太陽の位置が一年をかけて西から東へと一周していくことになる天球上の太陽の通り道として定義することができると考えられることになります。
そして、
こうした天文学の分野における黄道という言葉は、英語ではecliptic(イクリプティック)と呼ばれることになるのですが、
こうした天球上の太陽の通り道としての黄道のことを意味する英語におけるeclipticという言葉は、その言葉自体の大本の語源においては、
古代ギリシア語に起源を持つ言葉であり、それは、日食と呼ばれる天体現象とも深い関わりのある言葉であると考えられることになります。
「黄道」を意味する英語のeclipticのラテン語と古代ギリシア語における由来とは?
そうすると、まず、
こうした日本語において天球上の太陽の通り道として黄道のことを意味する英語におけるecliptic(イクリプティック)という言葉は、直接的には、
ラテン語において「日食」のことを意味していたeclipsis(エクリプシス)という単語を語源とする言葉であると考えられることになります。
そして、
こうした英語におけるeclipticと、ラテン語におけるeclipsisという単語について、さらに、この言葉の大本の語源となる単語にまでその由来をさかのぼっていくと、
古代ギリシア語において「消失」や「消滅」のことを意味していたと考えられるἔκλειψις(エクレープシス)という単語にまで行き着くことになると考えられることになります。
そして、
こうした古代ギリシア語におけるἔκλειψις(エクレープシス)という単語は、この単語が持つ「消失」や「消滅」といった意味の中でも、
特に、「天体の消失」のことを意味する言葉として用いられていた単語であったと考えられ、それは、一義的には、
地球からの観測において太陽の姿が一時的に消失してしまう天体現象のことを意味する「日食」のことを意味する言葉として用いられることが多い単語であったと考えられることになるのです。
天文学における「日食」と「黄道」との関係
そして、
こうした日食と呼ばれ天文学的な現象は、一言でいうと、
地球から観測されることになる太陽の位置が月の後ろに隠れてしまうことによって、太陽の姿が地球上からは一時的に見えなくなってしまう現象として定義されることになりますが、
より正確に言うと、こうした日食と呼ばれる天体現象のあり方は、
黄道と呼ばれる天球上の太陽の軌道と重なる位置に、地球の周りを回っている月の位置が来てしまうことによって、太陽と月と地球という三つの天体がちょうど一直線上に並んでしまうことになり、
それによって、太陽の光が月によって遮られて地球まで届かなくなってしまうことで、地球上の観測者の視点からは、まるで一時的に太陽が消失してしまったかのように見える天文学的現象として説明されることになると考えられることになります。
そして、そういった意味では、
こうした日食と呼ばれる天体現象は、黄道と呼ばれる天球上の太陽の通り道のうえに地球上における月の軌道が重なることによって引き起こされる天文学的現象として捉えることができると考えられることになるため、
前述したように、
もともとは「日食」のことを意味していたラテン語におけるeclipsis(エクリプシス)や、古代ギリシア語におけるἔκλειψις(エクレープシス)という単語を大本の語源とする英語におけるecliptic(イクリプティック)という単語が、
天球上の太陽の通り道としての黄道のことを意味する言葉として用いられるようになっていったと考えられることになるのです。
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次回記事:黄道とは何か?③日本語における言葉の由来と陰陽五行説との関係、太陽を表す色として赤ではなく黄色が用いられている具体的な理由
前回記事:黄道とは何か?①天球上の太陽の通り道としての黄道の定義と太陽の年周運動と天球の回転運動との関係
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