イエスの十字架の死が金曜日とされる理由とは?新約聖書の記述とユダヤ教の暦における安息日の位置づけに基づく具体的な根拠
カトリックやプロテスタントや東方正教会などの教会暦においては、
イエスの十字架の死からの復活を祝って3月下旬から4月下旬ごろの春分のあとの満月の次の日曜日に行われるイースターや復活祭と呼ばれる祭典の直前の金曜日がイエス・キリストの受難と死を記念する聖金曜日として位置づけられているように、
キリスト教においては、一般的に、十字架にかけられることによってキリストが処刑された日は、金曜日であったとされているのですが、
それでは、
このようにイエスの十字架の死が金曜日とされている理由としては、どのような聖書の記述のうちにその具体的な根拠を求めていくことができると考えられることになるのでしょうか?
ルカによる福音書におけるイエスの十字架の死から復活までの一連の出来事についての記述
イエスの十字架の死から復活までに起こった一連の出来事については、
マタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書といった新約聖書を構成している主要な書物である四福音書のそれぞれにおいて、かなり具体的な形で言及がなされているのですが、
そうした四福音書における新約聖書の記述のなかでも、
イエスの十字架の死から復活までの曜日の経過のあり方が最も分かりやすく形で示されている箇所としては、
例えば、ルカによる福音書における以下のような記述のうちに、そうした箇所を見いだしていくことができると考えられることになります。
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「されこうべ」と呼ばれている所に来ると、そこで人々はイエスを十字架につけた。犯罪人も、一人は右に一人は左に、十字架につけた。
そのとき、イエスは言われた。「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」人々はくじを引いて、イエスの服を分け合った。…
既に昼の十二時ごろであった。全地は暗くなり、それが三時まで続いた。太陽は光を失っていた。神殿の垂れ幕が真ん中から裂けた。
イエスは大声で叫ばれた。「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます。」こう言って息を引き取られた。
百人隊長はこの出来事を見て、「本当に、この人は正しい人だった」と言って、神を賛美した。…
さて、ヨセフという議員がいたが、善良な正しい人で…この人がピラトのところに行き、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出て、遺体を十字架から降ろして亜麻布で包み、まだだれも葬られたことのない、岩に掘った墓の中に納めた。その日は準備の日であり、安息日が始まろうとしていた。
(新約聖書「ルカによる福音書」23章33節~23章54節)
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つまり、上記のルカによる福音書における記述においては、
イエスが十字架にかけられて処刑された日は、「安息日の準備の日」、すなわち、安息日の前日にあたる日であるということが語られていると考えられることになるのです。
ユダヤ教の暦における安息日の位置づけとイエスの十字架の死が金曜日とされる具体的な理由
それでは、
こうした「安息日の準備の日」、すなわち、安息日の前日にあたる日とは、具体的に何曜日のことを指していたと考えられることになるのか?ということについてですが、それについては、
現在のキリスト教の教会暦においては、基本的には、十字架にかけられた死んだイエスがその三日目に復活したとされている日曜日が安息日とされているのですが、
イエスと弟子たちが生きていた1世紀ごろのパレスチナ地方のユダヤ人社会において用いられていたユダヤ暦においては、一週間は日曜日にはじまって土曜日に終わるとされていて、
ユダヤ教とキリスト教の共通の聖典である旧約聖書の創世記における記述の中で、神が天地創造の7日目に休息をとったとされていることに由来して、そうした一週間の最終日にあたる土曜日が安息日とされていたと考えられることになります。
したがって、
上述した新約聖書のルカによる福音書においてイエスが十字架にかけられた死んだ日とされている安息日の準備の日にあたる日というのは、
そうしたユダヤ教の暦における安息日の前日にあたる日、すなわち、土曜日の前日にあたる日である金曜日の日であったと解釈していくことができると考えられることになるのです。
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そして、以上のように、
キリスト教においてイエスの十字架の死が金曜日とされている具体的な理由としては、
四福音書などに代表される新約聖書の記述においては、イエスが十字架にかけられた死んだ日は、安息日の前日にあたる日であるとされていて、
イエスと弟子たちが生きていたユダヤ人社会においては、そうした安息日と呼ばれる日は現在の土曜日にあたる日とされていたため、
そうした理由から、
ユダヤ教における安息日である土曜日の前日にあたる日である金曜日が、十字架にかけられることによってキリストが処刑された日とされることになっていったと考えられることになるのです。
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次回記事:13日の金曜日が不吉な日とされる本当の理由とは?最後の晩餐における不吉な数字とユダの裏切りとテンプル騎士団との関係
前回記事:イエスは十字架の死から何日と何時間で復活したのか?新約聖書の記述に基づくイエスの死から復活までの正確な時間の算出
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