イエスは十字架の死から何日と何時間で復活したのか?新約聖書の記述に基づくイエスの死から復活までの正確な時間の算出
前回の記事で書いたように、新約聖書における記述においては、イエスは十字架の死から三日目に復活したと書かれているものの、この場合の「三日目」とは、
イエスが十字架にかけられた日を「一日目」とする言わば数え年のような日数の数え方における「三日目」であって、
イエスの十字架の死から復活までに経過した時間は、実際の三日間よりはかなり短い時間であったと考えられることになるのですが、
それでは、
こうしたマタイによる福音書やルカによる福音書といった新約聖書における記述に基づいて計算していくと、正確には、イエスは十字架の死から何日と何時間で復活したと考えられることになるのでしょうか?
マタイによる福音書で「午後の三時」とされるイエスの十字架の死の時刻
そうすると、まず、
新約聖書における記述のなかでは、イエスが十字架にかけられてから苦難を受けて死へと至るまでの壮絶な姿が、かなり具体的な描写を通じて語られていて、
例えば、新約聖書のマタイによる福音書における以下のような記述においては、イエスが命を落とすことになったかなり正確な時刻についての記述も見いだしていくことができます。
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彼らはイエスを十字架につけると、くじを引いてその服を分け合い、 そこに座って見張りをしていた。…さて、昼の十二時に、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。
三時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
そこに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、「この人はエリヤを呼んでいる」と言う者もいた。そのうちの一人が、すぐに走り寄り、海綿を取って酸いぶどう酒を含ませ、葦の棒に付けて、イエスに飲ませようとした。
ほかの人々は、「待て、エリヤが彼を救いに来るかどうか、見ていよう」と言った。しかし、イエスは再び大声で叫び、息を引き取られた。
(新約聖書「マタイによる福音書」27章35節~50節)
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つまり、
こうしたマタイによる福音書における記述に基づくと、
イエス・キリストは、彼が十字架にかけられた日であるとされている金曜日の午後の三時ごろに十字架のうえで息を引き取ったと考えられることになるのです。
ルカによる福音書で「明け方早く」とされるイエスの復活の時刻
そして、それに対して、
イエスがそうした十字架の死から復活するまでに経過した日々についての具体的な記述は、例えば、ルカによる福音書のうちの以下のような言葉のうちに、そうした記述を見いだしていくことができると考えられることになります。
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さて、ヨセフという議員がいたが、善良な正しい人で…この人がピラトのところに行き、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出て、遺体を十字架から降ろして亜麻布で包み、まだだれも葬られたことのない、岩に掘った墓の中に納めた。その日は準備の日であり、安息日が始まろうとしていた。
イエスと一緒にガリラヤから来た婦人たちは、ヨセフの後について行き、墓と、イエスの遺体が納められている有様とを見届け、家に帰って、香料と香油を準備した。婦人たちは、安息日には掟に従って休んだ。…
そして、週の初めの日の明け方早く、準備しておいた香料を持って墓に行った。見ると、石が墓のわきに転がしてあり、中に入っても、主イエスの遺体が見当たらなかった。そのため途方に暮れていると、輝く衣を着た二人の人がそばに現れた。
婦人たちが恐れて地に顔を伏せると、二人は言った。「なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか。あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。人の子は必ず、罪人の手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活することになっている、と言われたではないか。」
(新約聖書「ルカによる福音書」23章50節~24章7節)
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ちなみに、
上記のルカによる福音書の記述において書かれている「安息日」とはユダヤ教においては土曜日のことを指していて、また、ユダヤ教やキリスト教における「週の初めの日」とは日曜日のことを指すことになるのですが、
そういった意味では、こうしたルカによる福音書における記述に基づくと、
イエスは、ユダヤ教における「安息日の準備の日」であった金曜日に十字架にかけられて命を落として、岩に掘った墓の中に納められたのち、
安息日であった土曜日の丸一日を経て、その次の日の「週の初めの日」にあたる日曜日の「明け方早く」、つまり、だいたい午前6時から7時ごろくらいに墓の中から姿を消して復活することになったと考えられることになるのです。
新約聖書の記述に基づくイエスの死から復活までの正確な時間の算出
そして、以上のように、
上述したようなマタイによる福音書やヨハネによる福音書といった新約聖書の記述に基づいて、
イエスが十字架にかけられて死んだ日時を金曜日の午後3時ごろとしたうえで、土曜日の丸一日を経て、イエスはその次の日の日曜日の早朝7時ごろに復活したと解釈していくことができるとした場合、
こうした新約聖書における具体的な記述に基づいて算出されたイエス・キリストが十字架の死を受けてから復活するまでの正確な時間は、
金曜日の午後3時から日付が変わるまでの9時間と、土曜日の丸一日の24時間、そして日曜日の早朝7時までの7時間という三つの時間を足し合わせた
9+24+7=40時間
となると考えられることになります。
つまり、こうした新約聖書における具体的な記述に基づくと、
イエスの十字架の死から復活までに経過した時間は、およそ40時間、すなわち、1日と16時間という2日間にも満たないかなり短い時間のうちに
イエス・キリストは十字架の死からの復活をとげることになっていったと解釈していくことができると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:イエスの十字架の死が金曜日とされる理由とは?新約聖書の記述とユダヤ教の暦における安息日の位置づけに基づく具体的な根拠
前回記事:イエスは金曜日に死んでから三日後に復活したのに復活祭が日曜日に行われる理由とは?数え年の日数の数え方に基づく解釈
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