毒素型と感染型の細菌性食中毒の違いとは?両者に分類される代表的な細菌の種類とそれぞれの食中毒の具体的な特徴
以前にも「食中毒原因菌として指定されている16種類の細菌」の記事などで書いたように、
食中毒の原因となる代表的な細菌の種類としては、カンピロバクター、ウェルシュ菌、病原性大腸菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌という細菌性食中毒の病原体となる五大病原菌のほかにも、
ボツリヌス菌、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、セレウス菌、ナグビブリオ、エルシニア菌、リステリア菌、コレラ菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフスA菌といった細菌の種類が挙げられることになるのですが、
こうした細菌性食中毒の病原体となる様々な細菌の種族たちは、それぞれの細菌が食中毒の症状を発生させる際の具体的な働きのあり方に応じて、
毒素型と感染型と呼ばれる二つのタイプの細菌性食中毒のグループへと分類されることになると考えられることになります。
毒素型の細菌性食中毒の特徴と原因となる代表的な細菌の種類
まず、
こうした二つのタイプの細菌性食中毒のグループのうちの前者である毒素型の細菌性食中毒とは、細菌の存在自体ではなく細菌が生産する毒素によって引き起こされるタイプの食中毒のことを意味していて、
こうした毒素型の細菌性食中毒においては、
人間が食べる前にすでに食品や飲料水の内部において増殖していた細菌が生産した毒素が、飲食の際に人間の体内へと取り込まれたのちに、そうした毒素が引き起こす化学反応によって下痢や腹痛や嘔吐といった食中毒の症状が引き起こされることになると考えられることになります。
そして、
こうした毒素型の細菌性食中毒を引き起こす原因となる細菌の代表的な種類としては、
黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌、セレウス菌やウェルシュ菌といった細菌の種類が挙げられることになります。
また、
こうした毒素型の細菌性食中毒においては、
食品の内部で増殖していた細菌を加熱処理などで全滅させたとしても、その細菌が生産する毒素が黄色ブドウ球菌の場合のように耐熱性を持つタイプの毒素であった場合には、
加熱処理などによって殺菌される前にすでに食品の内部で増殖していた細菌が残した毒素の働きによって、すでに細菌自体は死滅している食品からでも食中毒が発生してしまう危険性があるほか、
飲食の後に実際に食中毒の症状が出てしまってから体内に入った細菌を駆除しようとしたとしても、体内に入る前に細菌によってすでに生産されていた毒素の影響によって食中毒の症状が進行してしってしまうことになるので、あまり抗生物質が効かないといった特徴なども挙げられることになるのです。
細菌型の細菌性食中毒の特徴と原因となる代表的な細菌の種類
そして、それに対して、
後者である感染型の細菌性食中毒とは、人体に対する細菌の感染自体が直接的に食中毒の原因となるタイプの食中毒のことを意味していて、
こうした感染型の細菌性食中毒においては、
食品や飲料水に含まれていた細菌が人間の小腸や大腸などの消化器官の内部において増殖していく際に、そうした消化器官の細胞を破壊していってしまうことによって、下痢や腹痛や嘔吐といった食中毒の症状が引き起こされることになると考えられることになります。
そして、
こうした細菌型の細菌性食中毒を引き起こす原因となる細菌の代表的な種類としては、前述した毒素型の細菌性食中毒の原因菌には分類されなかった
カンピロバクターや病原性大腸菌、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ、ナグビブリオ、エルシニア菌、リステリア菌、コレラ菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフスA菌
といった細菌の種類が挙げられることになると考えられることになるのです。
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