細菌性食中毒の四つの分類とは?生体内毒素型と食物内毒素型そして感染型と感染症型に分類される代表的な細菌の種類

前回の記事で書いたように、細菌が原因となる食中毒の種類は、大きく分けて、毒素型感染型と呼ばれる二つのタイプの細菌性食中毒のグループへと分類されることになると考えられることになるのですが、

厚生労働省などの公的機関においても用いられている食中毒の原因物質のより厳密な分類のあり方に基づくと、

こうした細菌性食中毒の原因となる病原菌の分類においては、毒素型感染型といった分類のあり方のほかに、生体内毒素型感染症型といったより細かい分類のあり方も示されていくことになります。

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感染型と毒素型の両方の特徴を持った細菌の種族としての生体内毒素型の食中毒菌の位置づけ

 

190020021b 細菌性食中毒の四つの分類

前回書いたように、食中毒の原因となる細菌の種類は、大きく分けて、

人体に対する細菌の感染と増殖によって食中毒を引き起こすことになる感染型食中毒菌と、細菌が生産する毒素によって食中毒を引き起こすことになる毒素型食中毒菌という二つのグループへと分類されることになるのですが、

その一方で、冒頭でも述べたように、

食中毒の原因となるすべての細菌の種類がこうした毒素型感染型という二つの細菌性食中毒の原因菌のグループへときれいに分類することができるというわけではなく、

例えば、

前回の記事では細菌型の細菌性食中毒の原因菌として分類した病原性大腸菌のうち、O157に代表されるような腸管出血性大腸菌と呼ばれる細菌の種族は、

人間の腸内で増殖していく際に、ベロ毒素などの毒素を放出することによってより重篤な食中毒の症状を引き起こしていくことになるので、

そういった意味では、

こうした腸管出血性大腸菌に分類されるような細菌の種族は、人体に感染したのちに、毒素を生産することになるという感染型と毒素型の両方の特徴を持った細菌の種族としても捉えることもできると考えられることになります。

そして、それと同様に、

前回の記事では毒素型の細菌性食中毒の原因菌として分類したセレウス菌ウェルシュ菌といった細菌の種族についても、

これらの細菌の種族は、芽胞(がほう)と呼ばれる耐熱性の構造を形成した状態で人間の体内へと取り込まれたのちに、人間の腸内で毒素を生産することによって食中毒の症状を引き起こしていくことになるので、

こうした人体に感染したのちに毒素を生産することによって食中毒の症状を引き起こしていくタイプの細菌の種族は、

感染型と毒素型の両方の特徴を持った細菌の種族であるという意味で、中間型、あるいは、生体内毒素型と呼ばれるタイプの病原菌のグループへと分類することができると考えられることになるのです。

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食物内毒素型食中毒菌と感染症型食中毒菌の定義

そして、それに対して、

こうした毒素型の食中毒菌に分類される細菌の種族のうち、

人間の体内ではなく、食品や飲料水の内部において生産した毒素によって食中毒の症状を引き起こすことになる一般的な毒素型病原菌のタイプは、改めて、

食品内において毒素の生産を行う細菌の種族、すなわち、食物内毒素型食中毒菌として分類し直されることになると考えられることになります。

また、その一方で、

感染型の食中毒菌に分類される細菌の種族についても、

コレラ菌チフス菌などのように、それぞれ細菌の名称自体が特有の症状を示すような一つの独立した感染症や疾患の原因菌としても位置づけられるような有名な細菌の種類については、

それが単なる食中毒の原因菌であるというよりは、特有の症状を示す比較的有名な特定の感染症の原因となる細菌の種族であるという意味において、

単なる感染型の食中毒菌としてではなく、感染症型食中毒菌と呼ばれる新たな食中毒菌のグループへと、改めて位置づけ直されていくことになると考えられることになるのです。

細菌性食中毒の四つの分類のあり方とは?

以上のように、

細菌が原因となる食中毒の種類は、食中毒の原因物質のより厳密な分類のあり方に基づくと、

食物内毒素型生体内毒素型そして感染型感染症型という四つのグループへと分類していくことができると考えられることになります。

そして、

それぞれの細菌性食中毒の病原菌のグループへと分類されることになる代表的な細菌の種類としては、冒頭で挙げた図において示したように、

食物内毒素型の食中毒菌としては、黄色ブドウ球菌ボツリヌス菌といった細菌の種類が、

生体内毒素型の食中毒菌としては、セレウス菌ウェルシュ菌腸管出血性大腸菌毒素原性大腸菌といった細菌の種類が、

感染型の食中毒菌としては、カンピロバクターサルモネラ菌腸炎ビブリオナグビブリオエルシニア菌、リステリア菌腸管病原性大腸菌腸管侵入性大腸菌凝集性大腸菌といった細菌の種類が、

感染症型食中毒菌としては、コレラ菌赤痢菌チフス菌パラチフスA菌といった細菌の種類がそれぞれ挙げられることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:化学物質による食中毒の原因となる代表的な原因物質の種類とは?有害な化学物質の混入を原因とする食中毒の代表的な事例

前回記事:毒素型と感染型の細菌性食中毒の違いとは?両者に分類される代表的な細菌の種類とそれぞれの食中毒の具体的な特徴

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