A型肝炎ウイルスによる食中毒の症状と感染経路、食中毒の原因となる代表的な五つのウイルスの種類と具体的な特徴とは?④

このシリーズの初回から前回までの記事では、食中毒ウイルス性の胃腸炎の原因となる代表的なウイルスの種類として挙げられることになる

ノロウイルスロタウイルスサポウイルスA型肝炎ウイルスE型肝炎ウイルスという全部で五つのウイルスの種類のうちの

ノロウイルスロタウイルスサポウイルスという三つのウイルスにおけるウイルス粒子自体の構造の特徴や、それぞれのウイルスによって引き起こされることになる食中毒や胃腸炎の具体的な症状の違いのあり方について詳しく考察してきましたが、

今回取り上げるA型肝炎ウイルスE型肝炎ウイルスといった二つのウイルスは、両方ともその名の通りウイルス性の肝炎を引き起こすウイルスの種類として分類されることになるのですが、

これらのウイルスは、それと同時に、消化器系の症状も引き起こし、汚染された水や食品を介して感染が広がる食中毒の原因となるウイルスの種類としても分類されることになると考えられることになります。

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A型肝炎ウイルスにおけるウイルス粒子の構造と感染経路

まず、

こうした食中毒の原因となる二つの肝炎ウイルスの種類のうちの前者であるA型肝炎ウイルス(hepatitis A virusは、

ウイルス粒子の構造としては、大きさは直径約27ナノメートル程度の正二十面体の形をしていて、

エンベロープと呼ばれる脂質性の膜を持たないため、アルコールや界面活性剤などの薬品に対する耐性が強く、感染を予防するための消毒を行う場合には、

85℃以上で1分間以上加熱するといった高温による加熱処理などが必要とされることになります。

また、

こうしたA型肝炎ウイルスの感染経路としては、

汚染された水や食品などを介して感染が広がっていくことが多いため、上下水道の整備がなされていない衛生環境の劣悪な地域を中心に感染が広がっていくケースが多く、

そのほかにも、

食品の加熱が不十分である場合などには、ノロウイルスなどの場合と同様にカキなどの二枚貝が感染源となるケースや、レタスやラズベリーや冷凍イチゴといった輸入野菜などが原因となって感染が引き起こされたケースなども報告されています。

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A型肝炎ウイルスによる食中毒の具体的な症状と肝細胞の破壊の仕組み

そして、

こうした汚染された水や食品などを介して人間の体内へと侵入したA型肝炎ウイルスは、消化器官から吸収されて血管内へと侵入したのち肝臓へと到達することになり、肝臓を拠点として増殖をはじめていくことになり、

A型肝炎ウイルス自体は増殖を繰り返していく際に、宿主となる肝臓の細胞自体を破壊することはないのですが、

増殖を続けて勢力を拡大していくA型肝炎ウイルスに対抗して、人体の側の免疫細胞が抗体をつくって肝細胞ごと攻撃してしまうことによって、

27週間という比較的長い潜伏期間ののちに、

下痢発熱吐き気嘔吐といった消化器系を中心とする症状に加えて、黄疸肝腫大といった肝炎に特有の症状なども現れていくことになります。

そして、

こうしたA型肝炎ウイルスによる食中毒および肝炎の症状は、通常の場合、12か月程度で肝機能が回復することによって治まっていくことになるのですが、

1%以下のかなり稀なケースではあるもののこうしたウイルス性の肝炎の症状が悪化することによって劇症肝炎腎不全あるいは心筋障害といったより重篤な症状が引き起こされる場合もあるので、

黄疸などの肝機能障害の症状が完全に消失するまでは、病状の変化に注意を払うことが必要な疾患としても位置づけられることになります。

また、

こうしたA型肝炎ウイルスによって引き起こされる食中毒および肝炎の症状が治まって病状が回復した後には、ウイルスに対する強い免疫が獲得されることによって、

その後は二度とA型肝炎ウイルスに感染することはなくなると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:E型肝炎ウイルスによる食中毒の症状と感染経路、食中毒の原因となる代表的な五つのウイルスの種類と具体的な特徴とは?⑤

前回記事:サポウイルスによる食中毒の症状とウイルス名の由来、食中毒の原因となる代表的な五つのウイルスの種類と具体的な特徴とは?③

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