妖怪人間ベム・ベラ・ベロの名前の由来とは?アメリカなどの海外のSF作品とカマキリのような肉食昆虫の姿との関係
「妖怪人間」というのは、1968年から1969年に放送された動物とも人間とも言えないような奇怪な姿かたちをした異形の者たちが、
その醜い姿ゆえに人々から迫害を受けながらも、悪人や妖怪に虐げられている弱き人々を正義の心によって助け、いつか本当の人間の姿になれる日を夢見て悪と戦い続ける物語が描かれている
『妖怪人間ベム』という題名のテレビアニメ作品に登場する「ベム」「ベラ」「ベロ」という名の三人の主人公たちのことを意味する言葉ですが、
こうした『妖怪人間ベム』と呼ばれる1960年代に制作された古いテレビアニメ作品は、その独特との世界観と雰囲気から、四十年近くもの年月が過ぎたのちの
2006年に『妖怪人間ベム HUMANOID MONSTER BEM』というタイトルで原作の設定に大きなアレンジが加えられた第二作目の作品が制作されたほか、
最近では、
2017年になって第1作目の『妖怪人間ベム』が再放送されると同時に『俺たちゃ妖怪人間』と『俺たちゃ妖怪人間G(ジー)』というタイトルのギャグテイストの短編テレビアニメとしてリメイクされたことでも有名な
テレビアニメ界における金字塔的な作品のひとつとしても位置づけられることになると考えられることになります。
それでは、
こうした『妖怪人間ベム』というタイトルの言葉の内に含まれているこの物語の主人公のことを意味する「ベム」という言葉、
そして、残りの二人の主人公である「ベラ」と「ベロ」という言葉は、それぞれ具体的にどのような語源的な由来を持つ言葉であると考えられることになるのでしょうか?
「ベム」という言葉の由来とアメリカなどの海外のSF作品との関係
まず、
こうした『妖怪人間ベム』という題面自体の内にも含まれている三人の主人公のうちの筆頭に挙げられる人物のことを意味する「ベム」という言葉は、
この物語の2006年に制作された第二作目の作品においても『妖怪人間ベム HUMANOID MONSTER BEM』と記されているように、
英語ではBEM(ベム)と表記されることになります。
そして、
こうした英語におけるBEM(ベム)という言葉自体は、必ずしも「妖怪人間」として知られているこのキャラクター自体の固有名詞としてだけ用いられている言葉ではなく、もともとは、
英語におけるBug-Eyed Monster(バグ・アイド・モンスター)、すなわち、「昆虫の目玉を持つ怪物やエイリアン」のことを意味する言葉であったと考えられることになります。
ちなみに、
こうした昆虫のような複眼を備えた巨大な目を持つようなグロテスクな姿をした昆虫型のエイリアンや異星人というのは、日本だけではなく、アメリカなどのSF小説やSF映画などのうちにも世界的に広く見られる普遍的なモチーフの一つであり、
こうしたBug-Eyed Monster(バグ・アイド・モンスター)すなわちBEM(ベム)と似通った特徴を持つような昆虫型のエイリアンが登場する海外のSF作品としては、
例えば、
1977年にアメリカのSF作家であるオースン・スコット・カードによって書かれたSF小説である『エンダーのゲーム』(Ender’s Game)の中では、
Bugger(バガー)という名で呼ばれる女王を中心に種族全体が一つの意識を共有するハイブマインド(集団知性)と呼ばれる知性を持った高度な文明と優れた科学技術を持った昆虫型の姿をしたエイリアンが登場しますし、
1997年に製作されたアメリカのSF映画である『スターシップ・トゥルーパーズ』(Starship Troopers)では、
Bugs(バグズ)と呼ばれる軍隊アリやバッタやカマキリ、さらには、カメムシやゴミムシのような多様な姿かたちをした昆虫型の宇宙生物たちが登場し、
姿かたちは巨大でグロテスクな昆虫のようでありながら、高度な知性と社会性を備えて統率的な軍事作戦を展開してくるバグズと、人類の宇宙への植民活動の先兵となる地球連邦軍との間で繰り広げられる壮大な規模の宇宙戦争が描かれていくことになるのです。
「ベラ」と「ベロ」の由来とカマキリに代表される肉食昆虫の姿
それでは、次に、
こうした「ベム」(BEM)という言葉自体の由来に対して、「妖怪人間」に登場する残りの二人の主人公である「ベラ」と「ベロ」という二つの名前の由来はどのような言葉に求められることになるのか?ということについてですが、
まず、こうした二つの名前のうちの前者である
ベラ(BELA)に含まれているLAという語の部分は、
フランス語においてはla(ラ)という語は女性名詞のことを表す定冠詞とされていることからも分かる通り、「女性」のことを意味していると考えられ、
それは、英語におけるLady(レディー)のLaを表しているとも考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
上述したベム(BEM)という言葉の語源となる言葉の意味をそのままベラ(BELA)という言葉にも当てはめてみるとするならば、
こうしたベラ(BELA)という言葉は、Bug-Eyed Lady(バグ・アイド・レディー)、すなわち、「昆虫のような目をした女」といった意味を表す言葉であると考えられることになるのです。
そして、それに対して、後者の
ベロ(BELO)に含まれているLOという語の部分は、英語におけるLow(ロウ)やLittle(リトル)、すなわち、「小さな子供」のことを意味していると考えられ、
こうしたベロ(BELO)という言葉は、その言葉が示す具体的な意味合いとしては、Bug-Eyed Little Monster(バグ・アイド・リトル・モンスター)、すなわち、
「昆虫のような目をした小さな怪物」といった意味を表す言葉であると考えられることになるのです。
・・・
ちなみに、そう言われてみると、
「妖怪人間」の主人公の一人である「ベロ」が、人間の姿から自分本来の妖怪の姿へと変化した後の姿かたちは、
基本的には、三本の指を持ち、巨大な頭部のうちの左右の脳の部分が黄色く透けたようなグロテスクな形状に膨れている緑色の体色をした醜い人型爬虫類のような姿として描かれていると考えられることになるのですが、
こうした妖怪人間としての「ベロ」の姿は、遠目で見ると、
緑色の体色をした逆三角形の大きな顔に無数の複眼が集まって二つの巨大な黄緑色の眼球がついているカマキリの顔に似ているようにも見えなくはないので、
まさに、
そうしたカマキリに代表されるような肉食昆虫の姿かたちを一つのモチーフとすることによって、
こうした「ベム」「ベラ」「ベロ」と呼ばれる奇怪な姿かたちをした三人の妖怪人間の姿が生み出されていくことになったとも考えられることになるのです。
・・・
次回記事:妖怪人間が誕生した本当の理由とは?細胞生物学における不死なる人造細胞としてのベロ細胞との関係
前回記事:ベロ毒素とは何か?ベロ細胞の名前の由来となったエスペラント語における二重の意味とアフリカミドリザルの腎臓との関係
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