宇宙原理とニュートン力学およびコペルニクスの原理との関係とは?現代物理学における基本原理としての宇宙原理の位置づけ

前回の記事で書いたようにコペルニクスの原理においては、16世紀のポーランドの天文学者であるコペルニクスによる天動説から地動説への転回のあり方が宇宙全体の構造へと適用されていくことによって、

地球中心的な宇宙観が否定されたうえで、より客観的に宇宙全体を俯瞰する立場から、この宇宙にはいかなる意味においても宇宙の中心といった特別な位置を占めるような天体も、特権的な地位を与えられた特別な観測者も存在しないとする宇宙観の転回が示されていくことになるのですが、

こうしたコペルニクスの原理に基づく宇宙論のあり方は、現代の宇宙物理学の分野においては、宇宙原理と呼ばれる原理として新たに捉え直されていくことなります。

スポンサーリンク

ニュートンの『プリンキピア』における宇宙観から現代物理学における宇宙原理への展開

宇宙原理cosmological principle、コスモロジカル・プリンシプル)とは、一言でいうと、

大局的な観点に立つと、宇宙空間はいたるところで一様的かつ等方的であり、宇宙におけるあらゆる場所は同じ物理法則によって支配されているとする現代の宇宙物理学において仮定されている基本原理のことを意味する言葉であり、

こうした宇宙原理と呼ばれる概念自体は、20世紀のイギリスの数学者にして天体物理学者でもあったエドワード・アーサー・ミルンEdward Arthur Milne、1896年~1950年)による相対性理論と宇宙論の研究などを通じて明確な形で確立されていった概念であると考えられることになります。

しかし、その一方で、

こうした宇宙全体に一様性と等方性を求める宇宙観自体は、コペルニクスによる天動説から地動説への転回にはじまる近代ヨーロッパにおける科学革命の大成者である17世紀のイギリスの物理学者にして天文学者でもあったアイザック・ニュートンIsaac Newton、1642年~1727年)の宇宙論のうちにも見いだすことができると考えられ、

ニュートンは1687に出版された彼の主著の一つである『プリンキピア』(自然哲学の数学的諸原理、 Philosophiæ Naturalis Principia Mathematicaにおいて、

それが地球上の物体であれ、太陽の周りを回っている惑星であれ、宇宙空間をより長大な楕円軌道で通過していく彗星であれ、

宇宙の内のあらゆる場所に存在するあらゆる物体には、同じ万有引力の法則が働くことによって、それらの物体の位置をすべて統一的に説明することができるとするニュートン力学の体系を築き上げていくことを通じて、

こうした宇宙原理の源流となる宇宙の基本原理のあり方をすでに提示していると捉えることもできると考えられることになるのです。

スポンサーリンク

現代物理学における基本原理としての宇宙原理の位置づけ

以上のように、

現代の宇宙物理学における基本原理として位置づけられている宇宙原理の理論は、

16世紀のポーランドの天文学者であるコペルニクスの天動説から地動説への転回に基づくコペルニクスの原理と、17世紀のイギリスの物理学者であるニュートンの『プリンキピア』において提示されているニュートン力学に基づく宇宙観に基づいて、

20世紀のイギリスの数学者でもあったE.A.ミルンなどによる相対性理論と宇宙論の研究のなかで明確な形で確立されていった原理であると考えられることになります。

そして、

ちょうど、コペルニクスの原理において、天動説から地動説への転回にともなって、地球が宇宙の中心にあるとされる特権的な地位から引きずり降ろされて、ほかの惑星たちと同等の立場で太陽の周りをぐるぐると回る天体の列へと組み入れられていくことになったのと同じように、

宇宙原理においては、宇宙全体の構造においても宇宙空間におけるすべての場所は、大局的な観点から見ると、

宇宙のどの場所においてもだいたい同じような密度で物質とエネルギーが均質的に分布しているという一様性と、

宇宙の内のどの観測点から見てもどちらの方向に宇宙の中心となるような特別な場所があるわけでもないという等方性が成立しているとされることによって、

宇宙におけるあらゆる場所は同じ物理法則によって支配されているとする現代物理学における基本原理が根拠づけられることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:宇宙が「一様的」であるとは具体的にどういう意味か?宇宙全体の規模におけるエネルギーと物質の分布の均一性と同質性

前回記事:コペルニクスの原理とコペルニクス的転回の違いとは?宇宙全体の構造における地球中心的な宇宙観を否定する宇宙論的転回

物理学のカテゴリーへ
宇宙論のカテゴリーへ

スポンサーリンク
サブコンテンツ

このページの先頭へ