宇宙が「一様的」であるとは具体的にどういう意味か?宇宙全体の規模におけるエネルギーと物質の分布の均一性と同質性

前回の記事で書いたように、宇宙原理とは、もともとコペルニクスの原理や『プリンキピア』におけるニュートン力学の宇宙観に基づいて形成されていった現代の宇宙物理学における基本原理のことを意味する言葉であり、

それは一言でいうと、

大局的な観点においては、宇宙空間はいたるところで一様的かつ等方的であり、宇宙におけるあらゆる場所は同じ物理法則によって支配されているという原理を意味する言葉であると考えられることになります。

それでは、こうした宇宙原理において提示されているように、

宇宙が「一様的」であり「等方的」でもあるということは、より具体的にはどのようなことを意味していると考えられることになるのか?という問題について、

今回から次回へと続く二つの記事の中で、詳しく考察していってみたいと思います。

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宇宙背景放射による宇宙空間全体の温度とエネルギーの均一性

まず、

「一様的」「等方的」という二つの言葉のうちの前者である「一様性」の意味について考えていくと、

宇宙における「一様性」とは、宇宙全体において、物質やエネルギーの分布が均一であり、宇宙空間全体が同質的な性質によって満たされている状態のことを意味していると考えられることになります。

そうすると、

こうした宇宙における物質とエネルギーの一様性のうち、後者のエネルギーの一様性について考えていくと、

例えば、

物理学におけるエネルギーの代表格である熱エネルギーについては、

宇宙全体は、ビッグバン後の初期の宇宙における光子の放出の名残でもある宇宙背景放射と呼ばれるマイクロ波の電磁エネルギーによって満たされることによって、

恒星や惑星などの天体が存在しているごく一部の領域を除くと、宇宙空間の温度は、宇宙全体のどの地点においても、ほぼ3K(マイナス270℃)という一定の温度を保っていると考えられることになります。

このように、宇宙空間の温度の均一性に代表されるエネルギーの一様性という観点においては、宇宙原理における宇宙における「一様性」の要件は、

大局的な観点からは十分に満たされていると捉えることができると考えられることになるのです。

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観測可能な宇宙全体の規模における物質の分布の均一性と同質性

それに対して、

前者の宇宙における物質の一様性、すなわち、宇宙全体の構造における物質の密度の均一性という観点からは、こうした宇宙における「一様性」の要件は満たされていると考えられるのか?ということについてですが、

まず、

実際の宇宙においては、銀河のような無数の天体や星間物質が存在する物質やエネルギーが密な領域もあれば、その反対に、真空に近い暗黒の空間だけが広がる領域もあるというように、

その構造は銀河銀河団といったかなり大規模なレベルにおいてもとても均一であるとは言えないと考えられることになります。

しかし、その一方で、

半径465億光年にもおよぶ地球から観測可能な宇宙全体を、ハッブル半径と呼ばれる半径100億光年程度の球体の領域ごとに平均化した広大なスケールにおいて宇宙全体の構造を捉えていくと、

そうした宇宙のそれぞれの領域における物質の密度の平均密度との差は1/100程度という極めて微差のゆらぎのうちに収まるということが分かっていて、

そういった意味では、

こうした広大なスケールにおける宇宙の構造においては、宇宙全体における物質の分布の面においてもその均一性と同質性が保たれていると捉えることができると考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

宇宙が「一様的」であり「等方的」でもあるという宇宙原理における二つの要件のうちの前者である宇宙の「一様性」については、

 宇宙全体の構造においては、温度などのエネルギーの面においても、物質の密度と分布といった面においても、均一性と同質性が成立しているという点において、

大局的な観点からはその要件が十分に満たされていると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:宇宙が「等方的」であるとは具体的にどういう意味か?ビッグバン理論に基づく宇宙の等方性の説明

前回記事:宇宙原理とニュートン力学およびコペルニクスの原理との関係とは?現代物理学における基本原理としての宇宙原理の位置づけ

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