動物園仮説とプラネタリウム仮説の関係とは?地球上から観測される宇宙の姿の改ざんを通じた太陽系全体の隔離処置の実現
前回の記事で書いたように、動物園仮説や保護区仮説と呼ばれる仮説理論においては、
この広大な宇宙の内には人類よりも高度な先進文明を築き上げている地球外知的生命体や宇宙人と呼ばれる存在がきっといるに違いないが、
そうした高度な科学技術を持った先進文明を築いていると考えられる宇宙人たちは、地球人たちのことをまるで動物園の見世物であるかのような単なる観察対象として捉えているか、
そうでなければ多文化主義における先住民の文化の尊重にあたるのような観点から地球人の独自の文化や価値観のあり方を保護していくために、
地球人との直接的な接触や交流を避けるための隔離処置や保護処置のような対策を講じているかもしれないといった考え方が提示されていくことになります。
それではこうした動物園仮説においては、具体的にはどのような方法が用いられることによって、地球人の側に気づかれることがないように、そうした地球という惑星全体あるいは太陽系全体の隔離処置のようなものが施されていると想定することができると考えられることになるのでしょうか?
プラネタリウム仮説における地球から観測される宇宙の姿をねつ造する大規模な仕掛け
こうした動物園仮説における地球への適切な隔離処置のあり方を説明する具体的な
アイディアとしては、代表的なものとして、
2001年に、イギリスのSF作家であるスティーブン・バクスター(Stephen Baxter)によって考案されたプラネタリウム仮説と呼ばれる仮説理論を挙げることができると考えられることになります。
プラネタリウム仮説(planetarium hypothesis)においては、高度な科学技術を持った宇宙人たちの先進文明では、銀河系内に存在する全エネルギーの大部分を自由にコントロールすることができるということが前提とされたうえで、
宇宙人たちは、そうした銀河系内の膨大なエネルギーの内の一部を使って地球あるいは太陽系の周りを取り囲む巨大なスクリーンのようなものをつくり上げることによって、地球人たちに幻の宇宙の姿を見せているといった想定がなされていくことになります。
つまり、こうしたプラネタリウム仮説と呼ばれる仮説理論においては、
ちょうど私たちがプラネタリウムを訪れて、頭上のドーム型のスクリーンに投影された人為的につくり出された精巧な星空を鑑賞することによって、実際の夜空を見ているのと同じような疑似体験をすることがあるのと同じように、
地球から観測されている宇宙の姿は、実際に存在する現実の宇宙そのものの姿ではなく、それは宇宙人が有する高度な科学技術を駆使することによってつくり出された地球や太陽系を取り囲むスクリーン上に映し出されたねつ造された宇宙の姿に過ぎないのかもしれないといった仮説理論のアイディアが提示されていると考えられることになるのです、
地球上から観測される宇宙の姿の改ざんを通じた動物園仮説の実現
また、
こうしたプラネタリウム仮説におけるような太陽系を取り巻く巨大な球形のスクリーンのような仕掛けといったものは、さすがに少し大規模すぎるにしても、
そうした銀河系全体のエネルギーの大部分を自由に操ることができるような力を持った宇宙人たちにとっては、
地球上に到達する光のうちの一部について、その光の方向や空間自体をねじ曲げてしまうことなどによって、地球上の観測地点から観測される宇宙の姿のうちの一部に盲点のようなものをつくり出すことは比較的容易であるとも考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうしたプラネタリウム仮説において示されているような地球上から観測される宇宙の全景のねつ造や、地球上に到達する一部の光の方向や空間をねじ曲げるといった方法を用いることによって、
地球から観測することができる宇宙の姿のすべてまたはそのうちの一部を改ざんしてしまうことは十分に可能であるとも考えられることになり、
宇宙人たちは、そうした方法を用いて、この銀河系に地球人以外の知的生命体が存在していることを示す証拠を地球人たちの目から覆い隠してしまうことによって、
動物園仮説において主張されているような地球や太陽系全体を銀河系の他の領域から隔離または保護する環境をつくり出すことは十分に可能であるとも考えられることになるのです。
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