インテリジェントデザイン説は宇宙人の存在を肯定するのか?否定するのか?有神論と無神論における互いに異なる二つの帰結

以前の記事でも書いたように、人類のような知的生命体の存在を広大な宇宙のなかでも唯一無二であるような極めて稀な存在として捉えるレアアース仮説といった天体物理学の分野における議論は、

そうした極めて稀な存在としての人類や生命の存在を、偶然生じたものではなく、何らかの偉大な知性によって意図的に設計されたものであると考えるインテリジェントデザイン説といった生命論的な議論とも深い関係にあると考えられることになるのですが、

その一方で、前回の記事で書いたように、こうしたインテリジェントデザイン説における議論は、そうした偉大な知性を持った設計者のことをある種の地球外知的生命体のような存在として捉える考え方へとつながっていくケースもあると考えられることになります。

それでは結局、こうしたインテリジェントデザイン説と呼ばれる生物学的な学説からは、宇宙人の存在を肯定する議論と宇宙人の存在を否定する議論のいったいどちらが帰結することになると考えられることになるのでしょうか?

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有神論と無神論におけるインテリジェントデザイン説の捉え方の違い

まずは、詳しくは前回の記事でも書いたように、無神論の立場に立つ人がインテリジェントデザイン説を唱える場合、

地球上における生命の設計者である偉大なる知性を持った存在は、この宇宙の内部に存在する人類以外の知的生命体、すなわち、地球外生命体や宇宙人と呼ばれる存在のうちに求められることになるので、

それは必然的に、宇宙人の存在を肯定する議論へとつながっていくことになると考えられることになります。

それに対して、

人類の歴史や宗教における伝統的な価値観に基づく宇宙の創造主や全知全能なる超越者としての神の存在を信じる有神論の立場に立った場合、

そうしたこの宇宙そのものを創り上げた宇宙を超越する存在あるいは宇宙に外在する存在としての神は、

広大な宇宙の中から、何らかの特別な意図を持ってこの太陽系と呼ばれる恒星系を選び、そうした太陽系の内に位置する地球という星をやはり何らかの特別な意図によって生命のあふれる星へと創り上げていったと解釈されることになります。

したがって、その場合、

この宇宙の内部に、人類以外の知的生命体すなわち宇宙人が存在するのか?という問いについての答えは、

そうした宇宙の創造主である神の特別な意志の働きのあり方次第でどちらの場合もあり得ると考えられることになり、

その正確な答えは、単なる被造物である我々人類にとってはあずかり知ることができない文字通り神のみぞ知る答えであると考えられることになるのですが、

例えば、

そういった神の特別な意志によって選ばれた星であるとされる地球において、完全な意味において知的生命体と呼ばれる種族ただ一つ人類だけであるように、

結局、そういった神の特別な意志によって選ばれた星というものも、それが適当にやたらと選ばれて複数存在するというよりは、

深遠なる思慮に基づく最善なる選択としてただ一つの地球という星が選ばれたと考える方が、どちらかというとしっくりとくる解釈であると考えられることになるので、

そういった意味において、それはどちらかというと人類以外の知的生命体の存在、すなわち、宇宙人の存在を否定する議論へとつながりやすい考え方であると捉えられることになるのです。

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宇宙人の存在の実在性の有無に関する二つの異なる帰結

以上のように、

こうしたインテリジェントデザイン説と呼ばれる生物学的な学説に基づいて、地球外知的生命体や宇宙人といった存在の実在性の有無についての議論を展開していく場合、

そこでは、宇宙の創造主や全知全能なる超越者としての神の存在を信じるのか否か?という有神論と無神論という二つの立場の違いに応じて、互いに大きく異なる二つの帰結が生じていくことになると考えられることになります。

つまり、一言でいうと、

伝統的な価値観における神の存在を否定し、地球上における生命は宇宙の内部の地球以外の場所に存在する何らかの知的存在によって設計されたと考える無神論的インテリジェント説からは、必然的に宇宙人の存在を肯定する議論が導かれていくことになるのに対して、

そうした伝統的な価値観における神の存在を肯定し、地球上における生命はこの宇宙そのものを創り上げた宇宙を超越し外在する存在としての神の特別な意志によって創り上げられていったと考える有神論的インテリジェント説からは、基本的には宇宙人の存在を否定する議論が導かれていく場合が多いと捉えることができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:動物園仮説および保護区仮説とは何か?高度な先進文明を持った宇宙人が地球人との接触や交流を避ける理由

前回記事:無神論の立場から見たインテリジェントデザイン説の解釈と地球上の生命の設計者としての地球外知的生命体の存在

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