口唇期と肛門期とエディプス期のそれぞれの具体的な特徴とは?幼児期のリビドーの発達段階における複雑な心理構造の形成

フロイトの心理学においては、人間におけるあらゆる生命活動と心的活動の源となる根源的な心的なエネルギーのあり方が、リビドーと呼ばれるある種の性的なエネルギーとして位置づけられたうえで、

そうしたリビドーと呼ばれる性的な指向を持った心的なエネルギーのあり方は、幼少期から少年期そして青年期へとかけて段階的に発達していくことになると捉えられていくことになります。

そして、

そうしたリビドーの基礎的な機能が形成されていく0歳から6歳頃までの乳児期および幼児期のリビドーの発達段階は、

口唇期肛門期エディプス期と呼ばれる三つの発達段階へと区分されていくことになり、

それぞれの発達段階において、人間の身体においてリビドーが関連づけられていくことになる中心となる体の部位も移動していくことになると考えられることになるのです。

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口唇期における愛情や信頼といった肯定的な感情の基盤の形成

まず、生まれた直後から生後2歳頃までの乳幼児の時期は、リビドーの発達段階においては口唇期(こうしんき、oral stageにあたるとされていて、

この段階においては、乳幼児におけるリビドーの発達は口唇、すなわち、くちびるの周囲に限られていると考えられ、乳児は本能的に母親の乳房や哺乳瓶を吸うといった行為を通じて、必要な栄養摂取を行うと同時に、自らの欲求が充足されていく感覚を感じ取っていくことになります。

そして、口唇期の段階にある乳幼児は、

こうした自分のくちびるを通じて母乳などの栄養物を与えられるという行為がもたらす快感や充足感によってリビドーの充足を得ていくと同時に、

その心理面においては、自分にとって必要な時に自分が望むものが与えられることに対する安心感や、両親などの自分自身の保護者に対する信頼感を得ていくことになり、

そうした行為を繰り返していくことによって、自らの心の内に愛情や信頼といった人間にとって最も重要な肯定的な感情の基盤が形成されていくことになると考えられることになるのです。

肛門期における規律や節制といった社会生活に必要な行動原理の形成

そして、その次に、2歳頃から4歳頃までの時期は、リビドーの発達段階においては肛門期(こうもんき、anal stageにあたるとされていて、

この段階にある幼児は、尿意や便意を感じたらそのことを保護者などに伝えて、適切な時に適切な場所で排泄を行うというトイレットトレーニング(toilet training、排泄訓練)などを受けることによって、

リビドーの中心となる体の部位が口唇か肛門や泌尿器といった部位へと移動していくことになると考えられることになります。

そして、こうした肛門期の段階にある幼児は、

今すぐにトイレに行くのか、それとももう少し我慢するのかといった心理的な葛藤を経験すると同時に、自分自身の意思によって自らの排泄機能をコントロールすることを通じてリビドーの充足を得ていくことになると考えられ、

それと同時に、その心理面においては、自らの欲求のままに行動するのではなく、周りの状況やルールに合わせて適切なタイミングを見て行動するようになるというように、

自らの心の内に規律や節制といった他者と共に社会生活を営んでいくために必要な行動原理を形成していくことになると考えられることになるのです。

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エディプス期における性愛感情の芽生えと葛藤と抑圧を通じた自我や超自我やエスといった複雑な心理構造の形成

そして、その次の4歳頃から6歳頃に現れるリビドーの発達段階は、エディプス期(Oedipus stageまたは男根期(phallic stageと呼ばれることになり、

この時期におけるリビドーの発達段階がエディプス期と呼ばれる理由としては、それがエディプスコンプレックスエレクトラコンプレックスといった幼少期における子供が異性の親に対して無意識の内に抱く性愛感情が現れてくる時期と一致するからであると考えられることになるのですが、

こうしたエディプス期においては、子供たちは、男の子と女の子の互いの体の違いを見比べていくことなどを通じて男女の性的な違いに気づいていくことになり、

それによって、しばらく後の思春期などにおいて現れる強い恋愛感情などへと通じていくような基礎的な性愛感情が芽生えていくことになると考えられることになります。

しかし、

前述したように、こうしたエディプス期における性愛感情は、基本的には自分にとっての最も身近で最も深い愛情を感じる相手である両親、特にそのうちの異性の親に対して向けられていくことになるので、

そうした社会的にも家庭内においても認められることがない性愛感情は、葛藤を通じて、親子愛や家族愛といった別の愛の形へと置き換えられていくことによって、抑圧されていくことになります。

そして、

こうしたエディプスコンプレックスエレクトラコンプレックスにおいて見られるような性愛感情を中心とする多様な感情の葛藤と抑圧といった複雑な心理過程を経ていくことによって、

この時期の幼児の心の内部においては、自我や超自我やエスといった心の領域の分化が進んでいくことになり、

それによって、子供の心の内部においても、大人の人間と同様の複雑な心理構造を持った心のあり方が形成されていくことになると考えられることになるのです。

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次回記事:潜伏期と性器期におけるリビドーの無意識の領域への潜在化と意識への顕在化、リビドー潜伏期において知的能力が発達する理由

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