自我と超自我とエスという人間の心の三つの部分の具体的な特徴と性質とは?フロイトの精神分析学③、深層心理学とは何か?⑤
このシリーズの前回の記事で書いてきたように、フロイトの精神分析学における前期の心理学理論においては、
人間の心の構造のあり方は、意識と前意識と無意識と呼ばれる三つの階層構造において捉えられていると考えられることになります。
そして、
こうしたフロイトの精神分析学における人間の心の三層構造のあり方は、フロイトの後期の心理学理論においては、
自我と超自我とイド(エス)と呼ばれる三層構造として改めて捉え直されていくことになると考えられることになるのです。
自我と超自我とエスという人間の心の三つの部分の具体的な特徴と性質
冒頭で述べたように、フロイトの精神分析学における後期の心理学理論においては、人間の心の階層構造のあり方は、
自我(ego)と超自我(super-ego)とエス(Es)またはイド(id)と呼ばれる三つの心の領域へと区分されていく形で捉え直されていくことになります。
そして、
こうした自我と超自我とエス(イド)と呼ばれる心の領域それぞれの具体的な特徴と性質としては、
エス(イド)と呼ばれる心の領域は、「~が欲しい」「~したい」といった人間の心の奥底に存在する本能的欲求や衝動的欲求を司る部分であるのに対して、
超自我と呼ばれる心の領域は、「~すべきだ」「~してはならない」といった人間の行動を規制する道徳的命令や社会的規範を体現する部分であると考えられることになります。
そして、それに対して、こうしたフロイトの精神分析学における心理学的な概念としての自我の定義においては、
自我と呼ばれる心の領域は、こうしたエスや超自我において生じる様々な心の働きの全体の統制を図ることによって、現実における意識的な選択や行動を決定するという役割を担った人間の心の中心的な部分を占める領域として位置づけられることになると考えられることになるのです。
自我を中心とするエスと超自我の間の適切なバランス関係
以上のように、
フロイトの精神分析学における後期の心理学理論においては、人間の心を形作っている三層構造のあり方が、自我と超自我とエスという三つの部分から構成されていると捉え直されたうえで、
現実における人間の行動や様々な心理現象のあり方は、そうした自我と超自我とエス(イド)と呼ばれる人間の心の内部に存在する三つの部分の相互作用によって説明されていくことになります。
そして、
こうした自我と超自我とエスと呼ばれる人間の心における三つの部分それぞれの具体的な性質と特徴としては、
エス(イド)は、「~が欲しい」「~したい」といった本能的な欲求や衝動を司る心の部分であるのに対して、
超自我は、「~すべきだ」「~してはならない」という道徳的な命令や規範を司る心の部分であり、
自我は、そうしたエスと超自我の両方の部分から生じる様々な心の働きを一つに取りまとめたうえで、「私は~する」「~しようと思う」という現実的な行動や選択を決定づける役割を担う人間の心の中心的な部分として位置づけられることになります。
そして、
上記の三つの心の部分のなかでも、特に、こうした心理学的な概念としての自我を中心に据え置く形で、人間の心の三層構造のあり方を捉えていく場合には、
こうした自我と呼ばれる心の部分は、イドと超自我という人間の心の階層構造の内に存在する互いに対立する二つの心の働きの板ばさみになりながら、
そうした両者の心の働きの間の適切なバランスをとっていく形で現実における様々な行動や選択のあり方を決定していくことによって、
人間おける心の健全な状態が保たれていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:「意識・前意識・無意識」と「自我・超自我・エス」という心理学的な階層構造のモデルの間の具体的な共通点と相違点とは?
前回記事:無意識の領域の大きさが抑圧を受けることで増大する仕組みとは?人間の心における抑圧の強さと無意識の領域の大きさとの関係
このシリーズの前回記事:意識と前意識と無意識の三層構造における抑圧と検閲とリビドーの関係とは?フロイトの精神分析学②、深層心理学とは何か?④
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