ギリシア神話における五人の復讐の女神の名とそれぞれの具体的な特徴とは?復讐の女神の女王として母なる女神ヘーラーの姿

前回書いたように、ギリシア神話における復讐の女神の名としては、最も有名な女神としては、

アレークトーティーシポネーメガイラという三姉妹の女神の名が挙げられることになると考えられるのですが、

ギリシア神話のなかで、復讐の女神としてその名が記されている有名な女神としては、そのほかにも、ネメシスという女神の名も挙げられることになります。

そして、こうした復讐という私的制裁の感情を体現する神々の名としては、さらにもう一人、復讐の女神の女王と呼ぶべき存在の名を挙げることができると考えられることになるのです。

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ギリシア神話における神々の正義と憤怒の体現者としてネメシスの位置づけと復讐の女神アレークトーとの違い

ネメシス(Nemesisとは、もともと古代ギリシア語において「当然の報いを与える」といった意味を持つ言葉から派生してできた名前であり、

女神ネメシスが持つもう一つの名前であるアドラステイア(Adrasteia「逃れられぬもの」のことを意味する言葉であるように、

彼女は、人間が犯した罪に対して決して逃れることができない必然的な報復を与える役割を担う女神として捉えられることになります。

そして、ギリシア神話においては、

こうしたネメシスと呼ばれる女神は、人間が犯す様々な罪のなかでも、特に、神々に対する傲慢や不遜に対して罰を与える神として描かれていくことになり、

そうした神々の立場から見た正義と義憤を体現する報復の女神あるいは復讐の女神として位置づけられていくことになるのです。

ところで、

人間が犯す様々な罪を道徳的な観点から罰して正義と憤怒に基づく制裁を与える女神としては、前回取り上げた三姉妹の復讐の女神のうちの筆頭に挙げられるアレークトーの名も挙げられることになるのですが、

アレークトーの場合には、親殺しの罪不義不貞の罪といった人間が人間に対して犯す罪がその制裁と復讐の対象となっているのに対して、

ネメシスの場合には、前述したように、神々に対する傲慢や不遜の罪といった人間が神々に対して犯す罪が制裁と報復の対象となっているといった点に、

こうした二人の復讐の女神が担う役割の主要な違いが見られると考えられることになるのです。

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復讐の女神の女王として母なる女神ヘーラーの姿とは?

そして、

ギリシア神話における通常の神々の分類においては、復讐や報復の女神としては挙げられてはいないものの、こうしたネメシスやアレークトーといった復讐の女神たちよりも嫉妬深く、人間に対してさらに執拗な復讐と報復を加えていく姿が描かれている女神の名としては、

さらに、もう一人、ギリシア神話における主神ゼウスの妻であるヘーラー、あるいは、ローマ神話において彼女と同一視される存在であるユーノーの存在を挙げることができると考えられることになります。

ギリシア神話におけるヘーラーは、その名自体が古代ギリシア語において「貴婦人」や「女主人」のことを意味する言葉であるように、ギリシア神話に登場するあらゆる女神たちのなかの至高の存在である最高位の女神として位置づけられていて、

彼女は、男女の間の結婚と母性とを司るギリシア神話における母なる女神としても位置づけられているのですが、

そうした母なる女神としてのヘーラーは、嫉妬深く復讐心に満ちた心を持つ側面を持った女神としても描かれていて、

彼女は、自分の夫であるゼウスの浮気相手となった愛人たちに対する復讐として、彼女たちを醜い姿をした怪物へと変えてしまったり、ゼウスと愛人との間に生まれた子供たちに呪いをかけたり、その命を奪うように仕向けたりすることによって自らの報復と復讐を果たしていくことになります。

また、詳しくは前回の記事で書いたように、トロイアの英雄アエネーアースの遍歴の物語が描かれている長編叙事詩である『アエネーイス』においては、

トロイア戦争での確執からアエネーアースに対して深い怒りと憎悪を抱いている女神ヘーラーが、自分のもとに復讐の女神の筆頭として列せられるアレークトーを呼び寄せて

彼女の力を用いて、新天地でアエネーアースが出会った国の人々との間に不和と憎しみの感情を引き起こして彼らを血みどろの戦いへと導くことで、さらなる復讐を加えていく場面が描かれていくことになりますが、

このように、

復讐の女神をも使役することによって、自らの復讐を成し遂げていく母なる女神であるヘーラーは、

これまでの記事で書いてきたアレークトーティーシポネーメガイラ、そしてネメシスといった四人の復讐の女神たちよりも、さらに嫉妬深く執拗な復讐を求めていく女神であり、

彼女は、言わば、そうした復讐の女神たちの女王としても位置づけることができる存在として捉えていくこともできると考えられることになるのです。

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以上のように、

ギリシア神話における復讐の女神としては、

エリーニュスとして総称されるアレークトーティーシポネーメガイラという三姉妹の女神のほかに、ギリシア神話における神々の正義と憤怒の体現者としてのネメシスという女神の名も挙げられることになり、

彼女たちのほかにも、さらに、そうした復讐の女神たちの女王とでも呼ぶことができる存在として、母なる女神ヘーラーの名も挙げることができると考えられることになります。

そして、

こうしたギリシア神話における主要な五人の復讐の女神たちは、それぞれ、

アレークトーは、怒りや憤怒といった感情が伴う道徳的な罪全般を取り仕切る女神、

ティーシポネーは、人間が犯す様々な罪の中でも最も罪深い行いである殺人の罪とそれに対する罰を司る女神、

メガイラは、嫉妬や妬みといった感情が強く関わる不倫や姦通といった罪や、そのほかの偽証や窃盗といった罪などについても罰する女神、

ネメシスは、人間が犯す神々に対する傲慢や不遜の罪に対して、決して逃れることができない必然的な報復を与える女神、

ヘーラーは、主神ゼウスの妻にして、最高位の女神に列せられる母なる女神でもありながら、こうした四人の復讐の女神たちよりもさらに嫉妬深く執拗な復讐を求める女神として位置づけられることになると考えられることになるのです。

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次回記事:口唇期と肛門期とエディプス期のそれぞれの具体的な特徴とは?幼児期のリビドーの発達段階における複雑な心理構造の形成

前回記事:アレークトーとティーシポネーとメガイラの三人の復讐の女神たちが司る罪と罰の具体的な内容と『アエネーイス』における記述

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