アレークトーとティーシポネーとメガイラの三人の復讐の女神たちが司る罪と罰の具体的な内容と『アエネーイス』における記述

前回書いたように、ギリシア神話において復讐を司る女神たちは、主に、エリーニュスという名で言及されている場合が多く、

こうしたエリーニュスと呼ばれる復讐の女神たちの個別の名前としては、通常の場合、アレークトーティーシポネーメガイラという姉妹の女神の名が挙げられることになります。

それでは、こうしたアレクトとティシフォネとメガイラスと呼ばれる三人の復讐の女神たちは、それぞれより具体的にはどのような罪と罰を司る女神であると考えられ、

ギリシア神話の物語の中では、それぞれどのような形でその姿を現していくことになるのでしょうか?

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アレークトーとティーシポネーとメガイラの三人の復讐の女神たちが司る罪と罰の具体的な内容

まず、こうした三姉妹の復讐の女神のうちの筆頭に挙げられているアレークトー(Alectoとは、もともと古代ギリシア語において「止まらぬもの」「絶え間ない怒り」といった意味を表す言葉であり、

アレークトーは、怒りや憤怒といった感情が伴う道徳的な罪全般を取り仕切る女神として位置づけられていて、

ギリシア神話の物語のなかでは、彼女は、そうした罪を犯した罪人の心に取り憑いて、その心を内側から苛むことで狂気へと導くことによって罰を与える女神として描かれていくことになります。

それに対して、

その次に名前が挙げられれている復讐の女神であるティーシポネー(Tisiphoneは、人間が犯す様々な罪の中でも最も罪深い行いである殺人の罪とそれに対する罰を司る女神として位置づけられていて、

彼女は、そうした重い罪を犯した罪人たちが閉じ込められている底なしの奈落であるタルタロスの地獄の門を守る番人としても描かれていくことになります。

そして、

最後に挙げたメガイラ(Megaeraとは、古代ギリシア語において「嫉妬するもの」「嫉妬深い女」といった意味を表す言葉であり、

メガイラは、復讐の女神であると同時に嫉妬や妬みを司る女神であるともされていて、特に、そうした感情が強く関わる男女の間の不倫や姦通といった罪、その他にも、偽証や窃盗といった罪などについても罰する女神として位置づけられることになるのです。

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『アエネーイス』におけるアレークトーとティーシポネーの二人の女神についての記述

そして、

こうした三姉妹の復讐の女神のうちのはじめに挙げたアレークトーティーシポネー二人の女神については、

古代ギリシア・ローマ神話における様々な物語の中でも特に有名な作品のうちの一つとして挙げられる『アエネーイス』の物語においても詳しい描写がなされていくことになります。

『アエネーイス』とは、トロイア戦争におけるトロイア側の英雄アエネーアースが、ギリシア軍との戦いに敗れて祖国が滅んでしまった後、放浪の旅の末に新天地イタリアへとたどり着き、のちのローマの礎を築くまでの物語が語られている古代ローマの詩人ウェルギリウスによって書かれた叙事詩であり、

この物語において、復讐の女神アレークトーは、

ローマ神話における主神ユーピテルの妻にして至高の女神であるユーノー、あるいは、こうしたユーノーと同一視される存在であるギリシア神話における主神ゼウスの妻にして最高位の女神であるヘーラーのもとに仕える女神の一人として描かれていて、

トロイア戦争における確執から、トロイア本国が滅びた後も、トロイアの英雄であったアエネーアースのことを憎んでいたユーノーは、

アエネーアースが新天地イタリアへとたどり着き、この地を治めるラティヌス王の娘ラウィーニアと婚姻を結ぶことによって、平和のうちにこの地に自らの王国を築き上げようとする歩みを進めていた際に、

冥界からアレークトーを呼び寄せて、彼女に自分が怒りと憎しみを抱く相手であるアエネーアースに対するさらなる復讐を命じると、

アレークトーは自分が持つ復讐と狂気の力をラティヌス王の妻アマタと、ラウィーニアに思いを寄せていた隣国のルトゥリ人の王トゥルヌスに用いることによって、彼らと新参者であるアエネーアースとの間に不和と憎しみの感情を引き起こさせることになります。

そして、

ラウィーニアを奪われたことに対する怒りと復讐の感情に自らの心を苛まれた王妃アマタとトゥルヌスの軍勢がアエネーアースが率いる祖国を失ったトロイア人の軍勢に襲いかかることによって、両者の間に戦争が勃発してしまうことになり、

アエネーアースは、再び、血塗られた戦いの上に、苦難の内に自らの王国を築いていくことを強いられることになってしまうことになるのです。

また、こうした『アエネーイス』の物語においては、もう一人の復讐の女神であるティーシポネーについても言及がなされていて、

そこでは、この物語の主人公であるアエネーアースが、新天地イタリアへとたどり着く前の放浪の旅の途上で、冥界の道へと赴いていた際に、

地獄へと続く道を閉ざす大きな門の傍らにそびえ立つ鉄塔の上からその道を通って地獄へとやってくる者たちを見下ろして見張りをする役目を担っている復讐の女神ティーシポネーの姿が描かれることになるのです。

・・・

次回記事:ギリシア神話における五人の復讐の女神の名とそれぞれの具体的な特徴とは?復讐の女神の女王として母なる女神ヘーラーの姿

前回記事:復讐の女神エリーニュスが慈愛の女神エウメニデスとも呼ばれる二つの理由とは?

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