自我の防衛機制における「孤立」と「逃避」の定義と心理学における「退行」との関係とは?防衛機制とは何か?⑭

このシリーズの第二回の記事で取り上げたように、自我の防衛機制の種類の分類のあり方としては、まずは、精神分析学の祖であるジークムント・フロイトの娘アンナ・フロイトによって取り上げられた

「抑圧」、「退行」、「反動形成」、「隔離」、「打ち消し」、「投影」、「取り入れ」、「自己自身への向け換え」、「逆転」、「昇華と置き換え」という全部で十種類の防衛機制の種類が挙げられることになるのですが、

こうしたアンナ・フロイトにによる自我の防衛機制の分類の内には含まれてはいないものの、人間の心が多大な心理的ストレスを伴う現実の生活へと適応していくために重要な働きを担っていると考えられる自我の機能としては、

このシリーズの前回の記事で取り上げた「合理化」と呼ばれる心の働きのあり方のほかにも、

さらに、「孤立」と「逃避」「知性化」と「身体化」「妄想」と「白昼夢」「解離」、そして、「転移」と「逆転移」といった多様な自我の防衛機制の種類を挙げていくことができると考えられることになります。

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心理学における「孤立」と「逃避」の定義とその具体例とは?

このうち、上述した九つの防衛機制の種類のうちの初めに挙げた「孤立」や「逃避」と呼ばれる心の働きは、

主に、事件や事故重病の告知身近な人物の死といった突然の不幸に見舞われた場合や、いじめや虐待などのつらい出来事、その他の衝撃的な事実の発覚といった

自分の心がすぐに受け入れることができないような心理的ストレスが極めて強い局面に追い込まれてしまったときに現れる心の働きであると考えられ、

「孤立」(Isolationの場合は、そうしたすぐには受け入れることができないような過酷な現実の状況に対する感情を断絶して自分自身の心の中の世界へと閉じこもり、外界との心理的な関わりを遮断することによって自らの心を守ろうとする心の働きとして定義することができると考えられるのに対して、

「逃避」(EscapeWithdrawalの方は、そうした過酷な現実の状況からより積極的な形で逃れるために、自分にとって心理的ストレスの原因となっている場所から物理的に遠ざかろうとしたり、そうした心理的ストレスの対象からは遠く離れた別の対象へと心理的に没入することによって過酷な現状から目をそらそうとしたりする心の働きとして定義することができると考えられることになります。

例えば、

学校や職場における人間関係のつまずきなどによる強い心理的ストレスによって自我が深く傷つけられた場合に、

そうした現状における人間関係の悪化がもたらす心理的ストレスから自分自身の感情を遮断してロボットのように無感情に振舞うようになる場合や、さらに心を深く閉ざして引きこもりがちになる場合には、

それは、「孤立」と呼ばれる自我の防衛機制の働きによって現状に対処していると考えられることになりますし、

それに対して、

そうした人間関係がもたらす心理的ストレスから積極的に逃れるために、実際に遠くの人里離れた山奥などへと引っ越してしまう場合や、辛い現状を忘れるために酒やギャンブルといった娯楽へとのめり込んでしまうような場合には、

そこでは「逃避」と呼ばれる自我の防衛機制のあり方が機能していると考えられることになるのです。

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「孤立」および「逃避」の機能と心理学における「退行」との関係

また、こうした「孤立」や「逃避」と呼ばれる自我の防衛機制の機能の定義のあり方に対して、

冒頭で挙げたアンナ・フロイトによる十種類の防衛機制の分類においても取り上げられている「退行」と呼ばれる心の働きは、

現状の自分にとっては克服することが困難なストレスが強い状況に置かれた時に、いったん現在の自分より以前の発達段階へと戻って、幼児的な行動や過去の行動様式に基づく行動をとろうとする心の働きとして定義することができると考えられることになるのですが、

こうした「退行」と呼ばれる防衛機制のあり方においては、現状に対す現在の自分の人格における思考や感情を停止させたうえで、自らの心の世界の内へと引き込もり

そこからさらに、幼児期といった自らの心の内に存在する過去の自分の姿へと没入することによって現状の過酷な状況から逃れようとする心の働きが見られると考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうした心理学における「退行」と呼ばれる心の働きは、今回取り挙げた「孤立」や「逃避」と呼ばれる自我の防衛機制のあり方が互いに組み合わさり、

それが特に、幼児期における自分自身の姿への逃避という極めて特殊で限定的な形において現れたより複雑で派生的な自我の防衛機制の働きとして捉えることもできると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:心理学における「孤立」と「知性化」の関係と感情の観念化の過程、防衛機制とは何か?⑮

前回記事:酸っぱいブドウ」のキツネは本当に愚か者だったのか?心理学における合理化の肯定的な解釈、合理化とは何か?③

このシリーズの前回記事:心理学における「合理化」の意味とその具体例とは?論理的に見える不合理な説明を導く心の働き、合理化とは何か?①、防衛機制とは何か?⑬

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