心理学における「孤立」と「知性化」の関係と感情の観念化の過程、防衛機制とは何か?⑮

前回書いたように、心理的ストレスが強い状況に直面した時に、そうした自分の心にとってすぐには受け入れることができない状況から自身の心を直接的に守ろとする心の働きのなかには、

「孤立」や「逃避」と呼ばれる自我の防衛機制の種類が含まれることになると考えられることになります。

そして、

こうした二つの防衛機制の働きのうちの前者である「孤立」と呼ばれる自我の防衛機制の働きにおいては、

しばしば、その後に、「知性化」と呼ばれるより洗練された高次の防衛機制の働きへと進展していくケースがあると考えられることになるのです。

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心理学における「知性化」の定義とその具体例

まず、前回も書いたように、深層心理学の分野においては、「孤立」(Isolationと呼ばれる自我の防衛機制のあり方は、

自分の心がすぐに受け入れることができないような過酷な現実の状況に対する感情を断絶して自分自身の心の中の世界へと閉じこもり、外界との心理的な関わりを遮断することによって自らの心を守ろうとする心の働きとして定義することができると考えられることになるのですが、

それに対して、

「知性化」(Intellectualizationと呼ばれる自我の防衛機制のあり方は、

いったん自分自身の心の内で遮断された感情や現状についての認識を知性的な働きによって観念化して整理していくことによって、論理的な形で理解していこうとする心の働きとして定義することができると考えられることになり、

例えば、

現状のトラウマとなるような出来事に対して、自分自身の心が感じているであろう痛みや感情を、難解な心理学的な用語を駆使して細かく分析していくような作業を通じて、

そうした自らの心が感じている感情自体を直接的に意識することは避けつつ、自分自身の心の内面のあり方を客観的に把握していこうとするような心理的態度などが、

こうした「知性化」と呼ばれる心の働きの具体例として挙げられることになると考えられることになります。

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「孤立」から「知性化」へと向かう過程において現れる感情の観念化

そして、そういった意味では、

こうした「知性化」と呼ばれる自我の防衛機制の働きにおいては、まずは、その前段階として

心理的ストレスの強い過酷な現状に対して自分自身の心が感じている痛みや感情が意識の内へと流れ込んでくることを遮断して、外界との心理的な関わりを断絶してしまう「孤立」と呼ばれる自我の防衛機制のあり方が機能していると考えられることになります。

つまり、

人間の心においては、こうした「孤立」から「知性化」へと向かう一連のプロセスにおいて、感情の観念化が進行していくと考えられることになり、

そうした人間の心の内部における感情の観念化の過程においては、まずは、「孤立」と呼ばれる自我の防衛機制の働きによって、自分自身の心の内面へと向き合う状況が確保されたのちに

一時的に遮断されていた心の痛みや感情が直接的な生身の形ではなく、論理的な分析を経た観念化された形へと整理されていくという「知性化」の過程を経ることによって、

現実の状況に対して新たな形で再び向き合い直していく心の準備が整えられていくことになると考えられることになるのです。

 

・・・

次回記事:防衛機制としての「分離」および「情動分離」の定義と具体例とは?無意識の領域における感情の分離と抑圧の進展、防衛機制とは何か?⑯

前回記事:自我の防衛機制における「孤立」と「逃避」の定義と心理学における「退行」との関係とは?防衛機制とは何か?⑭

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