原核生物と原生生物の違いとは?具体的な特徴の違いと両者に分類される代表的な生物の種類
以前に「真核生物と原核生物の違い」の記事で書いたように、原核生物とは、一言でいうと、核膜を持たずに細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する単細胞生物のことを意味する言葉ですが、
こうした原核生物という言葉に対して、それと非常によく似た言葉として原生生物という言葉も存在します。
そして、
こうした原核生物と原生生物という二つの生物の分類のあり方においては、両者は互いに生物体としての構造が大きく異なる似て非なる生物の種族であると考えられることになるのですが、
それでは、こうした原生動物と原核生物の両者は、具体的にどのような点において互いに異なっていると考えられることになるのでしょうか?
原核生物と原生生物の具体的な特徴の違いと両者に分類される代表的な生物の種類とは?
まず、冒頭でも述べた通り、
原核生物とは、核膜を持たずに細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する単細胞生物のことを意味する言葉であり、
こうした原核生物に分類される代表的な生物の種族としては、細菌や、単細胞性の藻類の一種であるラン藻(シアノバクテリア)といった生物の種族が挙げられることになります。
それに対して、
原生生物とは、核膜を持たない原核生物に対して、核膜を持つことによって核と細胞質が明確に区分されている細胞によって構成されている通常の生物のことを意味する真核生物のなかでも、
通常、動物・植物・菌類といった一般的な生物の分類には属さないと考えられている単細胞生物の総称として用いられている言葉であり、
こうした原生生物に分類される代表的な生物の種族としては、アメーバやミドリムシといった原生動物や、菌類と動物の能力をあわせ持った生物である変形菌(粘菌)、
さらには、ミズカビなどの真菌の一種や、藻類のうちの珪藻や渦鞭毛藻、単細胞性の海藻の一部などもこうした原生生物のうちに含まれることがあります。
つまり、
生物の大きな分類のあり方においては、地球上に存在するあらゆる生物は、
まず、その生物体を構成している細胞の構造の違いによって、真核生物と原核生物という二つの大きなグループへと分類されたうえで、
そうした大きな生物のグループのうちの一方である真核生物の方に、一般的な動物や植物、菌類などが含まれることになり、
そうした一般的な生物の分類のいずれにも属さない単細胞性の真核生物として原生生物という生物の種族の分類のあり方を定義することができると考えられることになるのです。
単細胞生物と多細胞生物の関係における原核生物と原生生物の位置づけ
以上のように、
一般的な生物学上の分類においては、
すべての生物は、核膜を持たずに細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する単細胞生物である原核生物と、
核膜を持つことによって核と細胞質が明確に区分されている細胞から構成されている通常の生物である真核生物とに分類されることになります。
そして、
原核生物に分類されるすべての生物は、細胞一つ一つが単体で生物体を形成する単細胞生物に分類されるのに対して、
真核生物に分類される生物は、細胞一つ一つが単体で生物体を形成する単細胞生物と、人間を含む通常の動物や植物のように、複数の細胞が集まって一つの生物体を形成する多細胞生物とに分かれることになります。
そして、
こうした真核生物のなかでもさらに単細胞性の真核生物に分類される生物の一区分として、原生生物という生物の種族が分類されることになると考えられることになります。
つまり、
原核生物は、核膜を持たずに細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する単細胞生物であるのに対して、
原生生物は、核膜を持つことによって核と細胞質が明確に区分されている真核生物のなかでも、動物・植物・菌類といった一般的な生物の分類に属さない単細胞性の真核生物であるといった点に、
原核生物と原生生物という二つの生物の種族のそれぞれにおける具体的な特徴の違いがあると考えられることになるのです。
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次回記事:原生動物とは何か?鞭毛虫類・肉質虫類・胞子虫類・繊毛虫類の四つの原生動物の種族と分類される代表的な生物の種類
このシリーズの前回記事:ネクロトーシスとは何か?アポトーシスとネクローシスの中間に位置する細胞死のあり方
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