ノロウイルス対策のための手洗いの手順とは?ノロウイルス対策⑩
今回は、患者の部屋やトイレなどのレッドゾーンから退出した後や、汚染物の除染処理後におこなう、感染予防のための手洗いの手順、について考えてみたいと思います。
ノロウイルス汚染物の除染処理後に注意することは?
さて、ノロウイルスの患者の部屋やトイレなどのレッドゾーンから退出した後や、汚染物の除染処理後におこなう、感染予防のための手洗いについてですが、
このシリーズ初回の「ノロウイルスの特徴」の項目でも書いたように、
ノロウイルスには、細菌にある細胞膜や、インフルエンザなどのウイルスにあるエンベロープといった脂質からなる膜が存在しないので、
石鹸やアルコールなどでウイルス自体を失活させることは困難です。
しかし、ノロウイルスは、
他の汚れなどと一緒になって、皮膚の表面や皮脂などに付着しているので、
ウイルス自体を失活化・破壊することはできなくても、
ウイルスを含んでいる皮脂ごと洗い流すことで、
十分、ウイルスを排除する効果があると考えられます。
したがって、
石鹸やハンドソープをしっかり泡立ててから、
シャボンで皮膚の表面、皮脂ごと洗い落とすイメージで、
手首から、手の甲、指の一本一本、そして、爪の間まで、手の各部分を意識して、しっかり洗い上げることが大切です。
また、洗面台と蛇口は、
ウイルス感染の危険地帯と安全地帯の間にある、境界地帯のイエローゾーンです。
せっかく洗い上げてきれいになった手で、
最後に、ウイルスが付着したままの蛇口の取っ手に触れてしまっては、
元も子もありません。
ですから、
一度、しっかりシャボンをつけて手を洗ったら、
次に、蛇口の取っ手や洗面台まわりなどを、シャボンをつけて洗い流し、
最後に再び手を仕上げ洗いしてから、
きれいになった蛇口の取っ手を持って水を止め、
グリーンゾーンである安全地帯、通常の生活空間へと戻るようにしましょう。
ノロウイルス汚染物の除染処理後の手洗いの手順とは?
こうした手洗いとその前後の手順の流れをまとめると、以下のようになります。
① 患者の部屋やトイレ、汚染物の処理などのレッドゾーンから出たら、マスクやビニール手袋などを外して、ビニール袋などの所定の場所にしまう。
② そのまま、なるべく何にも手を触れないように注意しながら、イエローゾーンである洗面台へと向かう。
③ 洗面台で石鹸やハンドソープをしっかり泡立てて、シャボンで手首から爪の間までしっかりと洗い込む。
④ 一度、手のシャボンを水で洗い流してから、再び石鹸を泡立てて、蛇口の取っ手をシャボンをつけて洗い流す。
⑤ 最後に、再び石鹸をつけて手を仕上げ洗いし、
シャボンをすべて水で洗い流してから水を止め、
清潔なタオルで手を拭けば、
手洗いによるノロウイルス予防対策は完了!
すっきりして、グリーンゾーンである通常の生活空間へと戻る。
以上です。
次回のシリーズ「ノロウイルス対策⑪」は、第3の感染ルート、「食品感染(食中毒)」による感染機会を減らすための予防対策、について考えてみたいと思います。
まとめ
ノロウイルスは、皮膚の表面や皮脂などに付着しているので、シャボンで皮脂ごと洗い流せば、ウイルスを排除する効果があります。
レッドゾーンからの退出後や、汚染物の除染処理後の手洗いの手順は、
まず、マスクやビニール手袋などを外してビニール袋などの所定の場所にしまい、イエローゾーンである洗面台へと向かいます。
次に、石鹸やハンドソープを泡立て、シャボンで手首から爪の間までしっかりと洗い、一度、手のシャボンを水で洗い流してから、再び石鹸を泡立てて、蛇口の取っ手を洗い流します。
再び、石鹸をつけて手を仕上げ洗いし、シャボンをすべて水で洗い流してから、清潔なタオルで手を拭けば、ノロウイルス予防のための手洗いはバッチリ完了!
以上です。