餅が喉に詰まったときの背部叩打法ってどうやるの?餅喉対策③
今回は、このシリーズ初回の
の最後の項目にあたる第4の背部叩打法について、詳しく見ていきたいと思います。
第4.餅が喉に詰まったときの背部叩打法のやり方は?
餅が喉に詰まったときの対処法の最後、第4の背部叩打(こうだ)法は、
次のようにおこないます。
まず、対象者が立った状態でも座った状態でもいいので、
利き腕の手の平の付け根で対象者の左右の肩甲骨の間あたりを、
連続してトン、トン、ドン、と、
リズムをつけて、強めの力で叩きます。
対象者の頭を自然に前へ下げるような姿勢にして、
利き腕の反対の手で対象者の胸のやや下あたりを押さえて、支えながら、
叩くようにするとより効果的です。
異物が詰まっている喉奥のあたりから、口にめがけて異物が飛び出してくるようなイメージをもって叩いていくといいでしょう。
意識不明などで対象者が倒れていたり、横になっていて体を起こすのが難しい場合は、
胃からの逆流による窒息の悪化を防ぐため、
体を横向きに寝かせたうえで背部叩打法を行います。
このときも、背中側から口の外へ向けて異物が取れて飛び出していくようなイメージをもって叩いていくことが大切です。
また、対象者が乳児の場合は、
乳児をうつぶせにして、利き腕の反対の腕に乗せ、口元を手の平で支えたうえで、
乳児の頭を身体より低くした状態で背部叩打法をおこないます。
意識がないときに腹部突き上げ法を行うのはダメなの?
第1の場合分けで、意識不明、妊婦、1歳未満の乳児、が対象者の場合は、
第3の腹部突き上げ法(ハイムリック法)はおこなわず、
すぐに、第4の背部叩打法へ進むと書きましたが、
それは、腹部を強く圧迫する腹部突き上げ法だと、
内臓損傷や、胃からの逆流による窒息の悪化、などのリスクが高まるからです。
また、それ以外の対象者の場合は、
腹部を圧迫するときの力の強さや、実際にやってみたときの手ごたえによって、
どのくらいまで続けてよいかは程度差がありますが、
だいたい4回程度(3回から6回)、
腹部突き上げ法を試みても効果が見られないときは、
第4の背部叩打法に切り替えた方がいいかもしれません。
これは、喉への異物の詰まり方によっては、腹部圧迫があまり効果的でない場合もあることと、
強く複数回にわたって腹部を圧迫し続けると、妊婦や乳児ではない場合でも、
内臓などにダメージが生じてしまうリスクが高まってくるからです。
心臓マッサージでも、あまり強い力で胸部を圧迫し続けると、
胸骨や肋骨を骨折してしまうことがあるのと同じようなことです。
・・・
以上のようなことを頭に入れたうえで、
改めて、このシリーズ最初に書いた
餅が喉に詰まったときの対処法の要点フローチャートを見直していただければ、
お正月に、万が一、お餅を喉に詰まらせて苦しがっている人に出くわしても、
パニックにならずに、ある程度、最善に近い対応がとれるのではないでしょうか。
すべてを詳しく記憶することはできないまでも、
一度、頭の中でシュミレーションして、流れとして対処法をイメージしておくと、
いざという時に、きっと役立ってくれることと思います。
まとめ
餅が喉に詰まったときの対処法の最後、第4の背部叩打法は、
手の平の付け根で左右の肩甲骨の間あたりを、連続して強めの力で叩きます。
対象者が乳児の場合は、うつぶせにし、口元を手の平で支えたうえで、頭を身体より低くした状態で背部叩打法をおこないます。
意識不明、妊婦、1歳未満の乳児、が対象者の場合は、
内臓損傷や、胃からの逆流による窒息の悪化、などのリスクが高まるので、腹部突き上げ法はおこないません。
それ以外の対象者の場合も、腹部突き上げ法を4回程度試みても効果が見られないときは、背部叩打法に切り替えます。
次回「餅喉対策④」は?
次回「餅喉対策④」は、
そもそも、餅を喉に詰まらせなければ、餅が喉に詰まったときの対処法は必要ないわけですから、
餅が喉に詰まらないように食べるにはどうすればいいのか、
ということについて考えていきたいと思います。
シリーズ「餅喉対策」 INDEX
① 餅が喉に詰まったときの対処法はどうするの?
② 餅が喉に詰まって窒息しているときの対処法は?
③ 餅が喉に詰まったときの背部叩打法ってどうやるの?
④ 餅を喉に詰まらせないように食べるにはどうすればいいの?