菌類の分類のあり方のまとめと真菌・粘菌・細菌という三つの菌類の種族に分類される代表的な菌類の名前
菌類とは、運動性を持たずに細胞壁を持つという点では植物と共通する性質を持ってはいるもの、光合成は行わずに植物や動物などの他の生物体などに寄生することなどによって生活するという点では植物と異なる性質を持っている生物の一群のことを指す言葉であり、
詳しくは「狭義と広義における菌類の定義の違い」の記事で考察したように、
そうした菌類と呼ばれる生物の種族には、狭義においてはカビや酵母やキノコといった真菌類に属する生物の種類が分類されるのに対して、広義においては粘菌や細菌も含むより多くの生物の種族が分類されると考えられることになります。
そこで、今回の記事では、こうした一連の菌類に関する記事の総まとめとして、
最後に、こうした菌類に区分される生物の具体的な分類のあり方と、それぞれの分類に含まれる代表的な菌類の種類について一通りまとめていく形で改めて書いておきたいと思います。
菌類の種類のまとめと真菌と粘菌と細菌という三つの菌類の種族
まず、
生物学的な狭義の意味における菌類の定義では、冒頭で述べた一般的な菌類の定義を満たす生物の種族のうち、動物や植物といった通常の生物と同様に、
細胞の内部に核膜を持ち、核と細胞質が明確に区分されている真核生物に分類される菌類、すなわち、真菌と呼ばれる生物のグループのみが菌類に分類されることになるのですが、
こうした真菌と呼ばれる菌類の種族は、上記の図において示したように、
鞭毛菌類・接合菌類・子嚢菌類・担子菌類といった四つのグループへとさらに細かく分類されることになると考えられることになります。
真菌に分類される菌類の特徴と分類される代表的な菌類の種類
そして、
こうした四つの分類の最初に挙げた鞭毛菌類(ツボカビ類)に分類される菌類の特徴としては、
胞子を形成する際に、鞭毛と呼ばれる水中などで遊泳運動を行うことができる小器官を持った遊走子が形成されるという点が挙げられ、
こうした鞭毛菌類(ツボカビ類)と呼ばれる真菌のグループに分類される代表的な菌類の種類としては、
ツボカビ、フクロカビ、ボウフラキンといった菌類の種類が挙げられることになります。
そして、
次に挙げた接合菌類に分類される菌類の特徴としては、
胞子をつくり出す器官である胞子のうが形成される際に、二つの菌糸が接合することによってつくられる接合胞子のうが形成されるという点が挙げられ、
こうした接合菌類と呼ばれる真菌のグループに分類される代表的な菌類の種類としては、
ケカビ、ハエカビ、クモノスカビといった菌類の種類が挙げられることになります。
また、
その次に挙げた子嚢菌類に分類される菌類の特徴としては、
胞子を形成する際に、子嚢(しのう)と呼ばれる微小な袋状の組織が形成されるという点が挙げられ、
こうした子嚢菌類と呼ばれる真菌のグループに分類される代表的な菌類の種類としては、
ビール酵母やパン酵母、アオカビ、コウジカビ、アカパンカビといった菌類の種類が挙げられるほか、チャワンタケやアミガサタケ、トリュフといった一部のキノコもこうした子嚢菌類に区分される真菌の一種に分類されることになります。
そして、
最後に挙げた担子菌類に分類される菌類の特徴としては、
胞子を形成する際に、菌糸の末端に担子器(たんしき)と呼ばれる胞子をつくることに特化した細胞が形成されるという点が挙げられ、
こうした担子菌類と呼ばれる真菌のグループには、
マツタケ、シイタケ、ヒラタケ、ホンシメジ、ブナシメジなどの食用キノコや、ベニテングタケ、タマゴテングタケ、ドクツルタケ、ドクフウセンタケ、ニガクリタケなどの毒キノコといった大部分のキノコの種類がこうした担子菌類と呼ばれる真菌のグループに分類されることになるのです。
粘菌と細菌に分類される菌類の特徴と分類される代表的な菌類の種類
そして、
こうした真菌に分類される菌類の種族に対して、
広義の意味における菌類の定義では、粘菌や細菌といった生物の種族も菌類のグループに内に含まれることになります。
このうち、粘菌(変形菌)と呼ばれる菌類の種族の特徴としては、
その他の通常の菌類の性質とは異なり、細胞壁を持たずに、自らの体を変形させていくことによって移動と捕食を行うことができるほか、
成長する際に、細胞分裂を伴わない核分裂を行うことによって、一つの細胞の内に無数の核が存在する多核体の構造を持った生物体へと成長していくといった点が挙げられることになり、
こうした粘菌(変形菌)と呼ばれる菌類のグループに分類される代表的な菌類の種類としては、
ツノホコリ、ムラサキホコリ、クモノスホコリ、ススホコリといった菌類の種類が挙げられることになります。
そして、もう一つの菌類のグループである細菌については、
核膜によって細胞核と細胞質が明確に区分される真核生物に分類されている真菌の場合とは異なり、
細菌の場合は、核膜を持たずに細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する原核生物に分類されるという点が主要な特徴として挙げられることになり、
こうした細菌と呼ばれる菌類のグループに分類される菌類の種類としては、
乳酸菌や納豆菌などの人間の生活に役立つ細菌や、大腸菌、黄色ブドウ球菌や結核菌といった病原体となる細菌や、光合成を行う細菌であるシアノバクテリアといった多様な細菌の種類が挙げられることになるのです。
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以上のように、
菌類に区分される生物の具体的な分類のあり方についてまとめていくと、この記事の冒頭部分で挙げた図において示したように、
広義における菌類は、真菌と粘菌と細菌という三つの菌類の種族へと区分されたうえで、狭義における菌類である真菌は、さらに、鞭毛菌類・接合菌類・子嚢菌類・担子菌類と呼ばれる四つのグループへと細かく区分されていくことになると考えられることになります。
そして、
こうした真菌と呼ばれる菌類の種族のうちの
鞭毛菌類(ツボカビ類)と呼ばれるグループには、ツボカビ、フクロカビ、ボウフラキンといった菌類の種類が、
接合菌類には、ケカビ、ハエカビ、クモノスカビといった菌類の種類が、
子嚢菌類には、ビール酵母やパン酵母、アオカビ、コウジカビ、アカパンカビ、チャワンタケ、アミガサタケ、トリュフといった菌類の種類が、
担子菌類には、マツタケ、シイタケ、ヒラタケ、ホンシメジ、、ベニテングタケ、タマゴテングタケ、ドクツルタケ、ドクフウセンタケ、ニガクリタケといった菌類の種類が
それぞれの菌類のグループに分類される代表的な菌類の種類として挙げられることになります。
また、こうした真菌に分類される菌類に対して、粘菌と細菌という残りの二つの菌類の種族に分類される代表的な菌類の種類としては、
粘菌(変形菌)と呼ばれる菌類の種族には、ツノホコリ、ムラサキホコリ、クモノスホコリ、ススホコリといった菌類の種類が、
細菌と呼ばれる菌類の種族には、乳酸菌、納豆菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌、シアノバクテリアといった多様な菌類の種類がそれぞれ挙げられることになると考えられることになるのです。
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