バクテロイデスとプレボテラの具体的な特徴と動物性タンパク質と食物繊維を分解する腸内細菌の種類の違い、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑰
前回の記事では、桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類のなかでも、
乳酸桿菌やビフィズス菌といった人間の体内に生息する代表的な腸内細菌の種類に続いて、セラチア菌やエンテロバクターといった人間の腸内に生息するその他の代表的な桿菌の種類について詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、それに引き続いて、
バクテロイデスとプレボテラ、そして、プロテウスやフゾバクテリウムといったその他の腸内細菌に分類されることになる代表的な桿菌の種類についても順番に取り上げていきたいと思います。
バクテロイデスの具体的な特徴と動物性タンパク質や脂肪を分解する腸内細菌としての位置づけ
まず、はじめに挙げた
バクテロイデス(Bacteroides)とは、幅0.5~1.5マイクロメートル、長さ1.5~8マイクロメートルほどの大きさをした棒状の形状をしたグラム陰性の嫌気性桿菌に分類される細菌であり、
人間を含めた哺乳類の腸内から口腔にかけて消化器全体に広く生息する腸内細菌あるいは常在菌の一種として位置づけられることになります。
そして、
こうしたバクテロイデスと呼ばれる細菌は、腸内に主要な栄養源となる炭水化物が不足している場合には、動物性タンパク質や脂肪を分解することによって養分を得ることができるため、
一般的に、肉や卵といった動物性の食品を多く食べている人の腸内においてより多く存在している腸内細菌の種類としても位置づけられることになると考えられることになるのです。
プレボテラの具体的な特徴と食物繊維を分解する腸内細菌としての位置づけ
そして、それに対して、その次に挙げた
プレボテラ(Prevotella)とは、幅0.3~0.7マイクロメートル、長さ1~2マイクロメートルほどの大きさをした棒状の形状をしたグラム陰性の嫌気性桿菌に分類される細菌であり、
前述したバクテロイデスと同様に、人間を含めた哺乳類の腸内から口腔にかけて消化器全体に広く生息する腸内細菌あるいは常在菌の一種として位置づけられることになります。
そして、
こうしたプレボテラと呼ばれる細菌は、人間の消化酵素によっては消化することができない植物細胞に含まれている食物繊維を分解する能力が高いため、
一般的に、野菜や果物といった植物性の食品を多く食べている人の腸内においてより多く存在している腸内細菌の種類としても位置づけられることになるのですが、
その一方で、
前述したバクテロイデス属に分類されている細菌の種類のなかにも、バクテロイデス・プレビウス(Bacteroides plebeius)のように、海藻などの食品に含まれている食物繊維を分解できる酵素を多く持った細菌の種類も存在しているため、
植物性の食品のなかでも、わかめや昆布やひじきなどといった海藻類を多く食べる食生活を営んでいる人の場合には、そうした植物性の食品を中心としたベジタリアンに近いような生活を送っている場合でも、
むしろ、
プレボテラよりも、前述したバクテロイデスに分類される腸内細菌の種類の方が腸内の細菌叢の分布において優勢を保っているケースもあると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうした腸内細菌の種類については、どのような種類の細菌が栄養源として動物性の食品に由来していてどのような種類の細菌が植物性の食品に由来しているといったこと、あるいは、どちらの種類の細菌が善玉でどちらが悪玉であるといったことは、
あまり一概には言い切ることができないようなところもあると考えられることになるのです。
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次回記事:渋沢栄一・津田梅子・北里柴三という三人の新紙幣の肖像に込められた現代の日本が実現を目指すべき三つの理念とは?
このシリーズの次回記事:フゾバクテリウムとプロテウス菌の具体的な特徴と歯周病や潰瘍性大腸炎との関係性、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑱
前回記事:セラチア菌とエンテロバクターの具体的な特徴と日和見感染や院内感染の原因菌としての位置づけ、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑯
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