フランス国旗の青・白・赤の本当の意味と由来とは?①古代フランスを象徴する白とフランス革命を象徴する青と赤の融和

トリコロール三色旗)とも呼ばれるフランス国旗に描かれた青・白・赤という三つの色は、一般的には、自由・平等・友愛(博愛)というフランスの国家としての標語と対応づけて解釈されることが多くあります。

しかし、実際には、

フランス三色旗が生まれたフランス革命の時代には、こうした色と標語の対応関係はいまだ存在しておらず、

むしろ、こうした国旗の色と国家の標語との対応づけは、フランス国旗の色とフランスの国家としての標語がそれぞれ別々に選ばれてから、両者を効率よく覚えるために、後になって便宜的に対応づけられるようになっていったと考えられることになります。

それでは、フランス革命当初フランス三色旗においては、どのような経緯からこの三色が選ばれ、青・白・赤という三つの色には、それぞれ具体的にどのような意味が込められていると考えられることになるのでしょうか?

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ラファイエットによる三色旗の発案とフランス革命を象徴する「青と赤」

フランス三色旗は、フランス革命の指導者の一人であり、フランス人権宣言を起草したことでも知られるラファイエットLa Fayette)、

または、革命政府において初代パリ市長に選ばれたジャン・シルヴァン・バイイJean Sylvain Bailly)によって発案されたと考えられています。

そして、

1789に始まるフランスの市民革命であるフランス革命は、

714、国王政府側の圧政に反発したパリの市民たちによって、パリの東部にある要塞であったバスティーユ牢獄が襲撃されることによってその戦端が開かれることになるのですが、

こうしたフランス革命の原動力となったパリ市民軍の民兵たちが身につけていた花形帽章cockadeコケイド)と呼ばれる帽子につけられた記章が青と赤の二色の組み合わせであったことから、

フランス革命の象徴となるフランス三色旗にも、青と赤の二色が入れられることになります。

そして、

フランス革命を象徴する青と赤の二色に、上述したラファイエットが言うところの「古代フランスの色」とされるが加えられることによって、

フランス三色旗における青・白・赤という三つの色が揃うことになったと考えられることになるのです。

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「白」が古代フランスを象徴する色である理由とは?

それでは、フランス革命を象徴する「青と赤」に対して、なぜ「白」が古代フランスを象徴する色とされることになったのか?ということについてですが、

それは、一つには、フルール・ド・リスfleur-de-lis)と呼ばれる白百合の紋章フランス王室の紋章として古くから用いられてきたことが理由として挙げられることになります。

フルール・ド・リスは、実際には、ユリ目に属する花であるアヤメアイリス)をかたどった形の紋章となっていますが、fleur-de-lisのlisリス)はフランス語においても百合(ユリ)のことを意味する単語なので、言語表記上は白百合の紋章と呼ばれることになります。

フランス王国では、フランス・ドイツ・イタリアといったヨーロッパ諸国のルーツにあたるフランク王国のカロリング朝が987年に断絶して以降、フランス革命へと至るまで、カペー朝(987年~1328年)、ヴァロワ朝(1328年~1589年)、ブルボン朝(1589年~1792年)という歴代の王朝が続いていくことになりますが、

カペー朝に始まるこれらの歴代のフランス王家は、すべてパリ伯ユーグ・カペーを先祖とする王家であり、白百合の紋章をもつ王家が少なくとも800年間にわたってフランスを統治してきたと考えられることになるのです。

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そして、以上のように考えると、三色旗における青・白・赤という三つの色は、

フランス革命を象徴する「青と赤」の間に、歴代のフランスの王家の象徴であり「古代フランス」を意味する「白」が加えられることによって、

フランス革命によって生まれた新しい勢力と、王家に象徴されるフランスの伝統的な勢力一つに合わさって団結するということを象徴する色として用いられていると考えることができるかもしれません。

つまり、フランス三色旗は、

フランス革命を象徴する「青と赤」古代フランスを象徴する「白」が一つに合わさることによって、

フランス革命によって生まれた新しい力の内に、フランスの伝統的な古い力が組み入れられるという国家全体の融和の象徴として生まれたと考えられることになるのです。

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次回記事フランス革命の青と赤と百年戦争におけるパリ市民の指導者エティエンヌ・マルセル、フランス国旗の青・白・赤の本当の意味②

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