蒟蒻ゼリーは本当に他の食品よりも窒息事故を起こしやすいの?蒟蒻ゼリー考②

今回の「蒟蒻ゼリー考②」は、
餅やパン、飴などの他の食品と比べた場合、蒟蒻ゼリーはどのくらい喉に詰まりやすいといえるのか? について、
具体的、客観的なデータに基づいて検証していきたいと思います。

スポンサーリンク

窒息事故の危険性は食品の種類ごとでどう違うの?

前回の「蒟蒻ゼリー考①」では、
交通事故で死ぬ確率と、食べ物を喉に詰まらせて死んでしまう確率はほぼ同じ。
つまり、交通事故と食べ物の誤嚥は同じくらい危険だ、ということが分かったわけですが、

今回は、どのような食品が食べ物の誤嚥による窒息事故を起こしやすいか、について調べていきましょう。

内閣府の食品安全委員会発刊の季刊誌『食品安全vol.24』によると、
主だった食品の種類ごとの一口あたり窒息事故頻度の数値、
つまり食品の種類ごとの誤嚥による窒息事故の危険性の比較は、以下のようになっています。

                  餅:6.8~7.6
           ミニカップゼリー:2.3~5.9
                 飴類:1.0~2.7
    こんにゃく入りミニカップゼリー:0.14~0.33
                 パン:0.11~0.25
                 肉類:0.074~0.15
                魚介類:0.055~0.11
                果実類:0.053~0.11
                米飯類:0.046~0.093

※ 上記の一口あたり窒息事故頻度の数値は、仮に日本全国で1億人の人がその食品を一口、口に入れるとして、その1億口あたりで窒息事故が起こる頻度を意味しています。

これでは数値に範囲があってまだ少し分かりにくいので、
それぞれの数値の最大値と最小値の平均値を出してまとめ直すと、以下のようになります。

                餅:7.2
         ミニカップゼリー:4.1
               飴類:1.85
  こんにゃく入りミニカップゼリー:0.235
               パン:0.18
               肉類:0.112
              魚介類:0.0825
              果実類:0.0815
              米飯類:0.0695

以上の数値を見れば分かるように、
蒟蒻ゼリーより窒息事故を起こしやすい食品としては、
を筆頭に、カップゼリーと並んでいて、

むしろ、通常のカップゼリーより、蒟蒻ゼリーの方が喉に詰まりにくいという結果になっています。

また、日常生活で食べる頻度が多い、より一般的な食品の危険性としては、
肉・魚・果物・ご飯はだいたい同じくらいで、とりわけ喉に詰まりやすい食品ではないことが分かります。

ただ、パンについては、ご飯より2.5倍ほど喉に詰まりやすいという結果になっています。

したがって、食事でパンを食べるときには、
急いでいっぺんに口に詰め込み過ぎないよう、水分を取りながら、
ご飯のときより少しゆっくりめで食べるようにした方がいいですね。

パンの誤嚥事故については、2008年に小学6年生の男子児童が給食で丸パンを一気に早く食べ過ぎて喉に詰まらせてしまい、結果として亡くなってしまうという事故があり、報道でも比較的大きく取り上げられました。

昔はパン食い競争のように、菓子パンなどを早食いするゲームが学校の運動会などでも行われることがありましたが、
知らないうちに意外と危険なことをさせられていたのかもしれません。

スポンサーリンク

蒟蒻ゼリーが窒息事故を起こしやすいとは言えないの?

さて、話を元に戻しまして、
改めて、蒟蒻ゼリーがどのくらい喉に詰まりやすい食品なのかということですが、
先の食品安全委員会のデータに基づくと、

窒息事故を起こしやすい危険性は、

餅:7.2に対して、蒟蒻ゼリー:0.235

ということになります。

つまり、このなかで一番喉に詰まりやすい食品である餅と比較した場合、
餅の方が蒟蒻ゼリーよりも30倍も喉に詰まらせてしまう危険性が高い
ということになります。

少なくとも、内閣府の食品安全委員会が分析したこのデータに基づく限りは、そういうことになります。

また、一般に窒息事故を起こしやすいと考えられている他のお菓子類と比較しても、
蒟蒻ゼリーの喉への詰まりやすさは、
カップゼリーの17分の1、飴の8分の1程度でしかなく、
パンと比べても危険性はその1.3倍に過ぎません。

したがって、このデータに基づく限り、一般的に、
蒟蒻ゼリーがとりわけ窒息事故を起こしやすい食品であるとは言えない
ということになります。

反対に、
このなかで最も窒息事故を起こしやすい食品であるを食べるときには、
食べ物を飲み込む嚥下反射が低下している高齢者を中心に、
十分な注意をはらう必要があると考えられます。

まとめ

内閣府の『食品安全vol.24』によると、窒息事故を起こしやすい食品として、
餅を筆頭に、カップゼリー、飴と並んでおり、むしろ、蒟蒻ゼリーの方が喉に詰まりにくい、という結果になっています。

パンについては、ご飯より2.5倍ほど喉に詰まりやすい、ということになります。

窒息事故を起こしやすい危険性は、餅の方が、蒟蒻ゼリーよりも30倍も高い、という結果が出ています。

したがって、一般的に、蒟蒻ゼリーがとりわけ窒息事故を起こしやすい食品であるとは言えない、ということになります。

次回「蒟蒻ゼリー考③」は?

次回の「蒟蒻ゼリー考③」は、
年齢層によって、一般的な食品と蒟蒻ゼリーとで誤嚥事故の引き起こしやすさに違いはあるのか? について、
具体的、客観的なデータに基づいて検証していきたいと思います。

 

シリーズ「蒟蒻ゼリー考」 INDEX
① 誤嚥による事故と交通事故ではどちらが危険なの?
② 蒟蒻ゼリーは本当に他の食品よりも窒息事故を起こしやすいの?
③ 蒟蒻ゼリーは子供にとっては危険な食べ物なの?

 

スポンサーリンク
サブコンテンツ

このページの先頭へ