新型コロナウイルスの感染者は今日10万人を超えるが重要なことは中国以外の世界各国での新規感染者の増加数の変化にある
世界全体における新型コロナウイルスの感染者数は、今日、2020年3月7日に、ついに10万人を超えることになる。
(それぞれの機関が各国の集計を合算するタイミングの違いによってその日付は一日ほど前後にずれ込むことはあるが)
しかし、世界が直面している本質的な問題は、そうした世界全体の感染者数の総計が10万人という一つの節目となる数値を超えたということにあるのではなく、
ここ10日間ほどの世界各国における感染者数の増加のあり方、
より正確に言えば、
中国以外の世界各国における新規感染者の増加のあり方に大きな変化が生じたということがほぼ確定的な事態となりつつあるということにある。
3月6日までの新型コロナウイルスの感染者数の推移と中国以外の世界全体における新規感染者の推移
3月1日から3月6日までの今月に入ってからの世界全体における感染者数の推移のあり方を見ていくと以下のようになる。
3月1日:86040人
3月2日:88388人
3月3日:90318人
3月4日:92880人
3月5日:95479人
3月6日:98274人
1日ごとにだいたい2000人~2500人ほど感染者数が増えているので、3月6日の次の日には、98274人+2000人で最低でも100274人の感染者数が計上されることになると推定されることになるため、
冒頭でも書いた通り、今日、3月7日に、世界全体における新型コロナウイルスの感染者数は10万人を超えることになる。
しかし、このことには、単に感染者の総計を示す数字の列が一桁大きくなるとなる一つの視覚的な節目を迎えたということ以上には大きな意味はない。
問題は、そうした世界全体における感染者の増え方の速度の変化、なかでも、中国以外の世界各国における新規感染者の増加のあり方についての大きな変化にある。
2月26日から3月6日までの10日間における
中国と日本およびクルーズ船を除く
世界全体における新規感染者の推移について示すと以下のようになる。
2月26日:280人
2月27日:622人
2月28日:914人
2月29日:1050人
3月1日:1423人
3月2日:1760人
3月3日:1715人
3月4日:2411人
3月5日:2283人
3月6日:2792人
中国と日本を除く世界各地での新規感染者は、2月26日の段階においては280人であったのに対して、その10日後の3月6日には、その10倍の2792人にまで増加している。
そして、
こうした1日あたり2000人~3000人という新規感染者の増加数は、2月初旬から中旬ごろまでの感染拡大が最も深刻だった時期の中国国内における新規感染者の増加率とほぼ一致することになる。
つまり、現時点における世界の状況は、少なくとも統計データが示す数値の範囲内においては、
イラン、イタリア、韓国などを中心とする世界各国における感染拡大の状況が最も感染拡大が深刻だった時期の中国国内における新規感染者の増加の勢いを超えて、
さらなる未知の領域へと感染拡大が進展してく節目となる時を迎えつつあることを示していると考えられるということである。
世界全体における感染拡大の進展が大きな岐路へとさしかかる重要な時
以前に「新型コロナウイルスによる医療崩壊はいつ起きるのか?」の記事で詳しく考察したように、日本国内において新規感染者の増加が医療崩壊を引き起こす可能性がある危険水域にまで達するのは、
患者を受け入れることが可能な病床数と入院期間との関係から、自宅療養で治癒する軽症者を除く新型コロナウイルスの新規感染者の増加数が1日あたり360人を超えるペースへと到達した瞬間となると考えられる。
そして、そういった意味では、
現在の日本におけるここ一週間ほどの新規感染者の増加数は平均30人ほどのペースにとどまっているので、まだ危険水域へと達するまでには10倍以上も余裕があると考えられることにはなるのだが、
その一方で、
イラン、イタリア、韓国などの現時点における感染拡大の上位三国においては、1日あたり500人を超えるペースで新規感染者の増加が進展しているため、
前述した基準に基づくと、
これらの国々においては、すでに、医療崩壊が危惧されるレベルにまで、新型コロナウイルスの感染拡大が進展してしまっていると解釈することもできる。
以上のように、
今日、2020年3月7日という日は、世界全体における新型コロナウイルスの感染者数が10万人を超えることになるという意味において重要な日というわけではなく、
中国以外の世界各国における新規感染者の増加数が感染拡大の最も深刻だった時期の中国国内における1日あたり3000人の水準を超えるレベルへと到達し、
このまま世界全体が新型コロナウイルスのパンデミックによって中国の武漢における感染拡大を超えるほどの深刻な事態へと陥ってしまうかどうかが決まる大きな岐路へとさしかかりつつあるという点において重要な時を迎えつつあると考えられるのである。
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