雌雄同株と雌雄異株の広義と狭義における意味の違いとは?シダ植物とコケ植物における雌雄同株と雌雄異株の分類

前回書いたように、一般的に、雌雄同株や雌雄異株といった生物学における概念は、主として、

雄花や雌花といった単性花をつける種子植物における植物の分類のあり方を示す言葉として用いられることが多い用語であると考えられることになりますが、

こうした狭義における雌雄同株と雌雄異株という言葉の定義のあり方に対して、

広義における雌雄同株や雌雄異株の概念においては、

シダ植物やコケ植物といった、種子植物以外に分類される植物についても、こうした雌雄同株と雌雄異株という概念が用いられることになると考えられることになります。

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雌雄同株と雌雄異株の概念の種子植物以外の植物の種類への適用

まず、雌雄同株と雌雄異株というそれぞれの言葉の意味は、一言でいうと、

雌雄同株とは、雌と雄の性質が同じ株、すなわち、同一の個体の内に共に存在する植物のことを意味する言葉であり、

雌雄異株とは、雌と雄の性質が異なる株、すなわち、別々の個体に分かれて存在する植物のことを意味する言葉であると捉えることができると考えられることになります。

そして、

こうした雌雄同株と雌雄異株というそれぞれの概念の言葉自体の定義においては、

それが一株、二株と数えることができる草木のような存在であり、有性生殖を行う雌雄の区別をもつような個体でありさえすれば、

必ずしも、そうした植物が、種から芽を出して花をつける種子植物ではなかったとしても、

その植物が、一つの個体の内に雌と雄の性質が同居している雌雄同株に分類されるのかそれとも、雌と雄の性質が互いに異なる別々の個体に分かれて存在する雌雄異株に分類されるのかという区別のあり方を、種子植物の場合と同様につけることができると考えられることになります。

シダ植物が雌雄同株、コケ植物が雌雄異株に分類される理由とは?

すると、

陸上に存在する一般的な植物のなかで、種子植物に分類されない植物の種類としては、

花をつけずに胞子によって繁殖するシダ植物やコケ植物といった種類の植物の種族が挙げられることになりますが、

こうしたシダ植物やコケ植物と呼ばれる植物たちは、胞子体と呼ばれる無性世代の状態にあるときに、自らの内に胞子を形成したうえで、それを外へと向けて放出し、

そうして遠くへと飛ばされていった胞子が発芽することによって繁殖が進められていくことになります。

そして、

このようにして胞子から発芽したシダ植物やコケ植物は、今度は、配偶体と呼ばれる雌や雄の性質をもった形態へと変化し、

そうした配偶体と呼ばれる有性世代の段階において、有性生殖が行われることによって受精卵が形成され、そこから新たな世代の胞子体が育っていくことになります。

そして、

こうした有性世代にあたる配偶体の段階にあるシダ植物やコケ植物において、

シダ植物においては、一つの配偶体(前葉体)の内に、造卵器と造精器の両方が同時に形成され、一つの個体の内に雌と雄の性質が共に備わった状態で有性生殖が行われていくことになるのに対して、

コケ植物においては、配偶体は、造卵器だけをもつ雌株造精器だけをもつ雄株と呼ばれる別々の個体に分かれた状態で有性生殖が行われていくことになるので、

有性世代にあたる配偶体の段階において、一つの個体の内に雌と雄の性質が共に備わっているシダ植物は、雌雄同株の植物として分類されることになり、

それに対して、

有性世代にあたる配偶体の段階において、雌と雄の性質が別々の個体に分かれた状態で存在しているコケ植物は、雌雄異株の植物として分類されることになると考えられることになるのです。

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以上のように、

雌雄同株と雌雄異株という植物の分類のあり方は、

狭義の意味においては、単性花をつける種子植物において、

雌花と雄花が同一の個体に咲く植物のことを指して雌雄同株という言葉が、
雌花と雄花が別々の個体に咲く植物のことを指して雌雄異株という言葉が用いられることになると考えられるのですが、

それに対して、

広義の意味においては、種から芽を出し花をつける種子植物についてだけではなく、シダ植物やコケ植物といった花をつけることのない植物の分類のあり方にも広く適用することができる概念であり、

その場合、

シダ植物は、有性世代にあたる配偶体の段階において、一つの個体の内に雌と雄の性質が共に備わった状態で存在していることから雌雄同株へと分類され、

コケ植物は、有性世代にあたる配偶体の段階において、雌と雄の性質が別々の個体に分かれた状態で存在していることから雌雄異株へと分類されることになると考えられることになります。

つまり、より分かりやすく言えば、

シダ植物の場合は、その生命の後半の段階において、個体全体が雌と雄の両方の性質を兼ね備えた状態、すなわち、雌しべと雄しべの両方を備えた一つの花のような状態にあることによって雌雄同株の状態が実現され、

それに対して、

コケ植物においては、その生命の後半の段階において、一つ一つの個体が雄株と雌株と呼ばれる二つの状態のいずれかへと分かれていき、

言わば、個体全体が一つの雄花、あるいは、一つの雌花のような存在へと変化することによって、雌雄異株の状態が実現されることになると考えられることになるのです。

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次回記事:両性花は雌雄同株と雌雄異株のどちらに分類されるのか?両性花が広義の意味における雌雄同株に分類される理由とは?

前回記事:雌雄同株と雌雄異株の違いとは?両者に分類される植物の具体的な種類の代表例とイチョウなどの雌雄異株の植物における雌株と雄株の区別

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