古代ギリシアの四大競技大会とは?四つの古代都市の地理的な関係とそれぞれの競技大会の開催間隔と順序
古代ギリシアにおいてギリシア全土の各都市から人々が集まって行われていた大規模なスポーツの祭典としては、
現代のオリンピックの由来ともなったギリシアの古代都市オリンピアにおいて開催されていたオリンピアの祭典が最も有名であると考えられることになりますが、
こうした古代ギリシアにおける大規模なスポーツの祭典としては、そうした古代のオリンピックとしてのオリンピアの祭典のほかに、
ネメア大祭とイストモス大祭とピューティア大祭と呼ばれる全部であわせて四つの競技大会が定期的に開催されていたと考えられることになります。
それでは、こうした古代ギリシアにおける四大競技大会が開催されていたギリシアの各都市は、それぞれ具体的にどのような地理的な関係にあったと考えられ、
それぞれの競技大会は、いつ頃から始まり、どのくらい間隔で、互いにどのような順序で大会が開催されることになっていたと考えられることになるのでしょうか?
四大競技大会が行われていた古代ギリシアの各都市の地理的な関係
そうすると、まず、
こうした古代ギリシアにおける四大競技大会が行われていたギリシアの古代都市としては、オリンピア、ネメア、イストモス、デルポイという四つの都市の名が挙げられることになります。
そして、上記の図において示したように、
こうした古代ギリシアの四大競技大会が行われていた四つの古代都市は、どの都市も、ギリシア南部に位置するペロポネソス半島と、この半島とギリシア本土とをつなぐコリントス地峡の周辺に位置する都市にあたり、
こうした四つの古代都市のうち、
ペロポネソス半島西部に位置するオリンピア(Olympia)においては、ギリシア神話の主神ゼウスを祀る最も大きな祭典であったオリンピア大祭が開催されることになっていたのに対して、
ペロポネソス半島北東部に位置する古代都市であったネメア(Nemea)においては、オリンピア大祭と同じくゼウスを祀る競技の祭典にあたるネメア大祭が開催されることになっていたと考えられることになります。
そして、
ペロポネソス半島とギリシア本土をつなぐコリントス地峡に位置する古代都市であったイストモス(Isthmos)においては、海の神ポセイドンを祀るイストモス大祭が、
ギリシア本土とペロポネソス半島を隔てているコリンティアコス湾に面したギリシア本土側の古代都市であったデルポイ(Delphoi)においては、予言と音楽を司る光明神アポロンを祀るピューティア大祭がそれぞれ開催されていくことになっていたと考えられることになるのです。
古代ギリシアの四大競技大会の起源と開催間隔と順序とは?
そして、歴史上の資料における記録に基づくと、
オリンピア大祭は紀元前776年に始まったとされているのに対して、イストモス大祭とピューティア大祭は紀元前582年ごろ、ネメア大祭は紀元前573年ごろには少なくとも開催されていたと考えられることになるのですが、
そういった意味では、
こうした古代ギリシアにおける四大競技大会は、紀元前6世紀ごろの時点において、そうした競技大会としての基本的な形式がすでに確立されていたと考えられることになります。
また、それぞれの競技大会の開催間隔としては、
オリンピア大祭は、4年に1度の間隔で開催されていて、こうした古代のオリンピックにあたるオリンピア大祭を基準として考えた場合、
ネメア大祭とイストモス大祭は、2年に1度の間隔でオリンピア大祭が開かれる前後の年に開催されていて、
ピューティア大祭は、4年に1度の間隔でオリンピア大祭が開かれてから2年後の年に開催されていたと考えられることになります。
つまり、
ある年に、オリンピア大祭が開かれたとすると、その次の年にはネメア大祭とイストモス大祭が開かれ、さらにその次の年にはピューティア大祭が開かれることになり、
その次の年には再びネメア大祭とイストモス大祭が開かれたうえで、次の年になると再びオリンピア大祭が開かれる年に戻ってくるというように、
年ごとに競技大会がギリシアの各都市を順番に巡っていくような形で競技が行われていくことになっていたと考えられることになるのですが、
そういった意味では、
ちょうど現代でも、夏のオリンピックの前後の年には世界陸上が開催され、夏のオリンピックの2年後の年には冬のオリンピックが開催されることになっているのと同じように、
こうした古代ギリシアのオリンピア大祭を中心とする四大競技大会においては、
古代のオリンピックにあたるオリンピア大祭が開かれない年には、残りの三つの都市のいずれかで大きな競技大会が行われるという形で、
毎年必ず何らかの競技大会が開かれる仕組みになっていたと考えられることになるのです。
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①古代ギリシアの四大競技大会とは?四つの古代都市の地理的な関係とそれぞれの競技大会の開催間隔と順序
②ネメア大祭とは何か?古代ギリシア神話における起源となる二つの物語、ネメアの王子オペルテースの悲劇と鎮魂のための競技会
③イストモス大祭のギリシア神話の起源とは?王妃イーノーと息子メリケルテースの母子の悲劇と海の神パライモンとポセイドン
④ピューティア大祭のギリシア神話の起源とは?デルポイの巫女と神託の地を守護する聖なる大蛇ピュートーンとアポロンの関係
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次回記事:ネメア大祭とは何か?古代ギリシア神話における起源となる二つの物語、ネメアの王子オペルテースの悲劇と鎮魂のための競技会
前回記事:古代オリンピック競技の全体像とは?全部で13の競技種目の具体的な内容とそれぞれの種目における最初の優勝者の名前
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