子午線とは何か?地球上と天球上における子午線の具体的な定義の違いと赤道と地平線との位置関係
子午線とは、言葉自体の語源的な意味においては、十二支における子(ねずみ)が司る方位にあたる北の方位と、十二支における午(うま)が司る方位にあたる南の方位とを結ぶ線のことを意味していて、
すなわち、北と南の方位のことを意味する子と午を結ぶ線という意味でこうした子午線と呼ばれる言葉が用いられていると考えられることになるのですが、
こうした子午線と呼ばれる概念は、それが地球上における方角の基準線のことを意味することになるのか、それとも、天球上における方角の基準線のことを意味することになるのかという観点の違いに応じて、具体的な意味が大きく異なっていくことになると考えられることになります。
地球上における子午線の定義と赤道および経線との関係
そうすると、まず、上記の左側の図において示したように、
こうした子午線という言葉が、様々な国や地域などが位置づけられていくことになる地球上における方角の基準線のことを意味する言葉として用いられている場合には、
地球上において赤道と直交する位置関係にある北極と南極を結ぶ線が、そうした地球上における子午線として定義されることになると考えられることになります。
そして、より具体的に言えば、例えば、
かつてイギリスの王立の天文台にあたるグリニッジ天文台が位置していたロンドン市の南東部の地区にあたるグリニッジを通る子午線が地球における経度の基点となる本初子午線と呼ばれる経度0度の子午線として位置づけられたうえで、
こうしたグリニッジを通る子午線を基準とする時刻が世界時または世界標準時などと呼ばれる世界共通の基準となる時刻とされていて、
それに対して、
日本標準時の基準となる子午線は、兵庫県明石市を通る東経135度の子午線として位置づけられているように、
こうした地球上における子午線は、そうした本初子午線を0度として東方180度まで至ることになる東経と、西方へと180度まで至ることになる西経へと分かれていく基準線にあたる経線と基本的には同じ意味を表すことになると考えられることになるのです。
天球上における子午線の定義と正午や正子といった時刻との関係
そして、それに対して、
こうした子午線という言葉が、地球上ではなく天球上における方角の基準線のことを意味する言葉として用いられている場合には、
天球上において地平線と直交する位置関係にある天の北極と天の南極を結ぶ線が、そうした天球上における子午線として定義されることになると考えられることになります。
そして、より具体的に言えば、例えば、
天球上での太陽の日周軌道において、太陽が地平線の上方において子午線を通過することになる太陽の南中時刻にあたる時刻が正午(しょうご)と呼ばれていて、
それに対して、
太陽が地平線の下方において子午線を通過することになる、言わば、太陽の北中時刻とも呼ぶべき時刻が正子(しょうし)と呼ばれことになるように、
こうした天球上における子午線は、地球から観測において太陽や月、さらには、夜空に輝く星々が位置づけられていくことになる天球上における天体の方角や時刻を計るときの基準となる線として機能することになると考えられることになるのです。
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そして、以上のように、
こうした地球上と天球上における子午線の具体的な意味の違いのあり方について、一言でまとめると、
地球上の子午線は、地球上において赤道と直交する位置関係にある北極と南極を結ぶ線として定義されることになり、別名では経線とも呼ばれることになるのに対して、
天球上の子午線は、天球上において地平線と直交する位置関係にある天の北極と天の南極を結ぶ線として定義されることになり、こうした天球上における子午線のことは地球上における子午線と区別して、特に、天の子午線と呼ばれることになるといった点に、
こうした地球上の子午線と天球上の子午線の両者における主要な意味の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:十二辰とは何か?天球上における十二辰の具体的な配置と太陽や月や星など天体の総称としての「辰」という漢字の意味
前回記事:正午と正子における天球上の太陽の位置の違いとは?太陽の南中時刻と北中時刻としての天文学における正午と正子の定義
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