中秋節とは何か?日本における月見の慣習のあり方の違いと中秋の名月とお中元の慣習を合わせたような年中行事としての解釈
中秋節(ちゅうしゅうせつ)とは、中国や香港、台湾やベトナムなどといった東アジアを中心とする国や地域において、旧暦の8月15日に祝われる伝統的な年中行事のことを意味する言葉として定義されることになりますが、
こうした中国を中心とする国や地域において中秋節が祝われることになる旧暦の8月15日にあたる日は、日本国内においては秋の季節に見られる美しい月を愛でる中秋の名月にあたる日として位置づけられることになります。
それでは、
こうした中国を中心とする国や地域における中秋節と呼ばれる伝統的な年中行事と、日本における中秋の名月といった行事との間には具体的にどのような関係があると考えられることになるのでしょうか?
中秋節と中秋の名月における月見の慣習のあり方の違い
そうすると、まず、
中秋節や中秋の名月といった行事が営まれていくことになる旧暦の8月15日は、現在の日本において用いられている太陽暦に基づく暦のあり方である新暦の日付では9月7日から10月8日の毎年異なるいずれかの日へと位置づけられることになるのですが、
中国を中心とする国や地域における中秋節の位置づけにおいては、そうした旧暦の8月15日の夜は、日本における中秋の名月と同様に、一年中で最も美しい月が見られる日とされることになります。
そして、
こうした中秋節の祭日においては、月を眺めながら酒食を楽しむといった慣習が営まれていくのですが、そうした中秋節の月見の際には、日本における月見団子の代わりに、
月餅(げっぺい)と呼ばれる月に見立ててつくられた干し柿やクルミなどが入れられた餡を小麦粉の生地で包んだ丸くて平たい形をした焼き菓子が供えられることになるのです。
日本における中秋の名月とお中元の慣習を合わせたような年中行事としての中秋節の位置づけ
また、
こうした中秋節の慣習においては、香港などの地域においては、細く長い形状をした麺を綿々と続く長い人生のあり方へとかけていくことによって、年長者に対してその長寿を願う長寿麵を贈る慣習などがあるほか、
中国の他の地域においても、こうした中秋節を迎えることになるだいたい一か月ほど前の時期から、日頃からお世話になっている人々や友人や知人たちに月餅を配って回るといった習慣もあるように、
こうした中秋節の慣習は、日本における中秋の名月のように、美しい月を愛でるという月の鑑賞のみに主眼を置いた慣習というよりは、むしろ、
日本において夏の時期に親戚や恩師あるいは仕事の取引先などといったお世話になった人たちに贈り物をする習慣などとして有名な年中行事にあたるお中元の慣習などともよく似たところがある慣習としても捉えていくことができると考えられることになります。
ちなみに、
日本におけるお中元の慣習は、もともとは、こうした旧暦の8月15日に行われる中秋節のちょうど一か月前の日にあたる旧暦の7月15日の中元節の頃に行われていた年中行事であったと考えられることになるのですが、
つまり、そういった意味では、
こうした中秋節と呼ばれる中国や香港、台湾やベトナムなどといった東アジアを中心とする国や地域において旧暦の8月15日に祝われる伝統的な年中行事は、
日本における中秋の名月とお中元の慣習を一つに合わせたような年中行事のあり方として解釈していくことができると考えられることになるのです。
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