星座の名前にラテン語を起源とする名称が多い理由とは?古代ギリシアから古代ローマへの天文学的知識と神話の継承
前回の記事書いたように、おひつじ座やおうし座などといった十二星座に代表されるような夜空に輝く星座の名前のほとんどは、基本的にはラテン語を語源とすることよって現代の天文学において用いられているそれぞれの星座の名称が定められていくことになっていったと考えられることになるのですが、
それでは、
このように星座の名前にラテン語を起源とする名称が多い理由としては、具体的にどのような理由が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
現在へと通じる星座の姿の大本の起源としてのギリシア神話と古代ギリシア語の存在
そうすると、まず、詳しくは前々回の記事で書いたように、
現代の天文学においても用いられている星座の名前の多くは、その名前の由来がギリシア神話やバビロニア神話さらにはシュメール神話などといった古代神話のうちに求められることになると考えられ、
そのなかでも特に、そうした現代の星座の姿へと通じる大部分の星座の具体的な由来のあり方については、
紀元前8世紀ごろの時代までに確立されたと考えられているギリシア神話における体系化された神話的物語の内にその直接的な由来が求められていくことになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
現代の天文学において広く認められている星座の名前についても、その大本の起源については、こうした現代の星座の姿へと通じる大部分の星座の具体的な由来がその内に求められていくことになるギリシア神話と、
そうしたギリシア神話が語り伝えられ、長編叙事詩の形で書き記されていくことになった言語である古代ギリシア語のうちに求められることになるとも考えられることになるのです。
古代ギリシアから古代ローマへの天文学的知識と神話の継承
そして、その後の歴史の流れにおいては、
紀元前3世紀までにイタリア半島を統一した古代ローマ人たちが、こうしたギリシア神話と呼ばれる神話体系をつくり上げた民族である古代ギリシア人たちが暮らしていたバルカン半島の南部の諸地域へも版図を広げていき、地中海世界全体を支配下へと組み入れていくなかで、
古代ギリシア人たちが古代ギリシア語においてつくり上げてきたギリシア神話の体系についても、古代ローマ人たちが自らの言語であるラテン語においてつくり上げてきたローマ神話の体系内へとそのまま引き継がれていくことになっていったと考えられることになります。
そして、それと同様に、
古代ギリシアの学問的中心地であったアテナイが位置していたアッティカ半島やペロポネソス半島などといった古代ギリシア人と関わりの深いヨーロッパの諸地域についても、古代ローマの支配下へと組み入れられていくなかで、
こうしたギリシア神話と呼ばれる壮大な神話体系をつくり上げてきた民族である古代ギリシア人たちが持っていた天文学などといった自然学や幾何学的な知識についても、そのまま古代ローマにおける学問体系の内へと組み入れられていくことになっていったと考えられることになるのですが、
その際に、
古代ギリシア人たちが持っていた星座の知識やそれぞれの星座における神話的な由来のあり方についても、そのまま古代ローマにおける学問体系の内へと引き継がれていき、
そうした古代ローマ人たちの言語であるラテン語によって記述され直していくことになっていったと考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
このように、夜空に輝く大部分の星座の名前にラテン語を起源とする名称が多い具体的な理由としては、
古代ギリシア語を用いていた古代ギリシア人たちの手によって築き上げられてきた星座についての天文学的知識や、それぞれの星座のギリシア神話における由来といった数々の知識が、
ラテン語を用いていた古代ローマ人たちが持つ学問体系やローマ神話の体系の内へと引き継がれていくことによって、
そうした古代ギリシアにおける天文学的知識と神話的な由来に基づいて定められていくことになっていった星座の名前についても古代ギリシア語ではなくラテン語を直接的な起源とする名称が用いられていくようになっていったと考えられることになるのです。
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次回記事:十二星座を構成する代表的な十二の星の名前の語源となる言葉とは?星の名前におけるラテン語とギリシア語とアラビア語の比率
前回記事:英語とラテン語における十二星座の名前の表記と発音のあり方の比較、ラテン語を語源として形づくられていった星座の名称
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