星座の由来のほとんどがギリシア神話に求められる理由とは?古代ギリシアにおける幾何学と天文学の発展と星座との対応関係
前回の記事で書いたように、おひつじ座やおうし座などといった十二星座に代表されるような星座の起源については、バビロニア神話などの古代メソポタミアの神話のうちにその大本の起源が求められることがある一方で、
基本的には、こうした夜空に輝く大部分の星座の姿が現在の星座の形にも通じるような形へと定まっていったのは、ギリシア神話が形づくられていくことになった古代ギリシアの時代であったと考えられることになります。
それでは、このように、
夜空に輝く大部分の星座の由来がこうしたギリシア神話のうちに求められることになるということには具体的にどのような理由があると考えられることになるのでしょうか?
古代ギリシアにおける幾何学と天文学の発展と星座との関係
そうすると、まず、
こうした現在の星座の形へと通じる星座の姿の多くが古代ギリシアの時代において確立されていくことになった一つの理由としては、
ギリシア神話を生み出していくことになった古代ギリシアの人々が持っていたと考えられる数学的な思考や観点が挙げられることになると考えられることになります。
古代ギリシアのアテナイにあった哲学者プラトンによって開かれた現代におけるアカデミーすなわち大学の大本の起源となったと考えられるアカデメイアと呼ばれる学園においては、
その学園の入り口の門には「幾何学を知らざる者、ここより入るべからず」という言葉が掲げられていたとも後世において語り継がれていくことになるように、
古代ギリシアの人々は、数学の分野、特にその中でも、幾何学の分野に興味をもっていて、そうした学問分野において優れた業績を残していくことになっていったと考えられることになります。
そして、
こうした数学的で論理的な思考、その中でも特に、幾何学的な発想を重視していたと考えられる古代ギリシアの天文学者たちは、
夜空に輝く星々についても、そうした天球上に位置する大小の星々が互いに線で結びつけられて幾何学的な図形として把握されていったうえで、
それが天球上における恒星や星座の形や位置関係が示された星図の形として体系化されていくことによって、現代の星座の姿へと通じる様々な星座の形が確立されていくことになっていったと考えられることになるのです。
体系化された物語としてのギリシア神話の確立と幾何学的な秩序に基づいて体系化された星座との対応関係
そして、
こうした夜空に輝く大部分の星座の型がギリシア神話のうちにその起源を持つものとして位置づけられるようになっていったもう一つの理由としては、
古代ギリシアの時代における神話物語そのものの体系化といった点も挙げられることになると考えられることになります。
ギリシア神話の起源は、紀元前15世紀ごろの時代にまでその大本の起源をさかのぼっていくことができると考えられることになるのですが、
その後、
それまで口承の形で語り伝えられてきたギリシア神話の原型となる様々な物語たちは、紀元前8世紀ごろの時代に、ヘシオドスやホメロスなどといった古代ギリシアを代表する詩人たちの手によって、
それぞれの神話の物語における神々の関係や物語の時系列的な秩序などが整理されてまとめられていくことによって、壮大な体系的な広がりを持つ長編叙事詩としてのギリシア神話が確立されていくことになっていったと考えられることになります。
そして、以上のように、
こうした体系的な物語として確立されたギリシア神話と、それと同じように、幾何学的な秩序に基づいて体系化された星座の形とが互いに対応づけられていくことによって、
現代の星座の姿へと通じる大部分の星座の形とその具体的な由来が、こうしたギリシア神話における体系化された神話の物語の内に位置づけられていくことになっていったと考えられることになるのです。
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次回記事:英語とラテン語における十二星座の名前の表記と発音のあり方の比較、ラテン語を語源として形づくられていった星座の名称
前回記事:十二星座の由来におけるバビロニア神話とギリシア神話との関係とは?二つの神話をつなぐ星座の由来となる物語の系譜
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