十二星座を構成する代表的な十二の星の名前の語源となる言葉とは?星の名前におけるラテン語とギリシア語とアラビア語の比率
前回の記事書いたように、十二星座に代表されるような夜空に輝く星々を線で結びつけていくことによって描かれていくことになる様々な星座の種類については、
それぞれの星座の姿については、古代ギリシア人によってつくり上げられたギリシア神話に由来する星座が多いと考えられることになるものの、
それぞれ星座の名前については、こうした古代ギリシア人たちの文化を引き継いでいくことになった古代ローマ人が用いていた言語であるラテン語を起源とする星座の名前が多いと考えられることになるのですが、
それでは、
こうした十二星座を構成している一つ一つの星については、そうした十二星座を構成する主要な星たちの名前は、それぞれ具体的にどのような言語におけるどのような言葉を語源とする名称がつけられていると考えられることになるのでしょうか?
十二星座を構成する代表的な十二の星の名前の語源となった言葉とは?
そうすると、
こうした十二星座と呼ばれるそれぞれの星座を構成している主要な星、すなわち、それぞれの星座を代表する最も明るい星の名前がどのような言葉を語源として名づけられているのか?ということについて順番に書いていくと、
それについては具体的には以下のような形で記述していくことができると考えられることになります。
・・・
まず、十二星座のうちの最初の星座として挙げられることになる
おひつじ座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるハマル(Hamal)という名の星は、アラビア語において「羊」を意味するal-ḥamal (アルハマル)という単語に由来する名前を持つ星として位置づけられることになり、
その次に挙げられることになる
おうし座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるアルデバラン(Aldebaran)という名の星は、アラビア語において「後に続くもの」を意味するad-dabarān(アッ・ダバラーン)という言葉に由来する名前を持つ星として位置づけられることになります。
そして、それに対して、その次の
ふたご座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるポルックス(Hamal)という名の星は、ギリシア神話において登場する双子の英雄のうち弟であるポリュデウケースというギリシア語の名に由来する名前を持つ星、
かに座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるアルタルフ(Altarf)という名の星は、アラビア語において「端」や「終わり」といった意味を表すaṭ–ṭarf(アッターフ)という言葉に由来する名前を持つ星、
しし座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるレグルス(Regulus)という名の星は、ラテン語において「王子」または「小さな王」を意味する言葉が名前としてつけられた星、
おとめ座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるスピカ(Spica)という名の星は、ラテン語において「麦の穂」あるいは「矢じりのように尖った麦の穂先」といった意味を表す言葉が名前としてつけられた星、
てんびん座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるズベン・エス・カマリ(Zubeneschamali)という名の星は、アラビア語において「北の爪」を意味するal-zuban al-šamāliyya(アル・ズバン・アル・サマリヤ)という言葉が名前としてつけられた星、
さそり座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるアンタレス(Antares)という名の星は、ギリシア語において「火星に似たもの」を意味するΆντάρης (アンタレース)という言葉に由来する名前を持つ星、
いて座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるカウス・アウストラリス(Kaus Australis)という名の星は、アラビア語において「弓」を意味するal-qaus(アル・カウス)という単語と、ラテン語において「南」を意味するaustralis(アウストラリス)という単語が結びついてできた名前を持つ星、
やぎ座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるデネブ・アルゲディ(Deneb Algedi)という名の星は、アラビア語において「ヤギの尾」を意味するðanab al-jady(ダナブ・アル・ジャディー)という言葉に由来する名前を持つ星、
みずがめ座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるサダルスウド(Sadalsuud)という名の星は、アラビア語において「幸運の中の幸運」を意味するsa’dal -su’ūd(サダル・スウド)という言葉に由来する名前を持つ星、
うお座を構成する星のなかで最も明るい恒星にあたるアルファーグ(Alpherg)という名の星は、アラビア語において「水の流出」を意味するal-pherg(アル・ファーグ)という言葉に由来する名前を持つ星としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
十二星座を構成する主要な星の名前におけるラテン語とギリシア語とアラビア語の比率
それでは、次に、
こうした十二星座を構成している代表的な十二の星の名前の語源となった言葉について言語学的な観点からまとめていくと、こうした十二の星の名前にはそれぞれ、
おひつじ座のハマルという名の星はアラビア語、
おうし座のアルデバランという名の星はアラビア語、
ふたご座のポルックスという名の星はギリシア語、
かに座のアルタルフという名の星はアラビア語、
しし座のレグルスという名の星はラテン語、
おとめ座のスピカという名の星はラテン語、
てんびん座のズベン・エス・カマリという名の星はアラビア語、
さそり座のアンタレスという名の星はギリシア語、
いて座のカウス・アウストラリスという名の星はアラビア語とラテン語が半分ずつ、
やぎ座のデネブ・アルゲディという名の星はアラビア語、
みずがめ座のサダルスウドという名の星はアラビア語、
うお座のアルファーグという名の星はアラビア語、
といった言語を語源とする名前がつけられていると考えられることなります。
そして、
こうした十二星座を構成している主要な星の名前における語源となった言語の割合をラテン語とギリシア語とアラビア語の比率で表していくとすると、
ラテン語2.5:ギリシア語2:アラビア語7.5の割合で星の名前の語源となる言語が選ばれていて、実に6割以上の星の名前についてアラビア語を語源とする名前がつけられていると考えられることなります。
つまり、そういった意味では、
こういった十二星座に代表されるような夜空に輝く星の名前については、
一般的に、星座の名前の語源となった主要な言語であるギリシア語とラテン語のどちらでもなく、アラビア語を語源とする名称が最も多く用いられていると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:星の名前にアラビア語を語源とする名称が多い理由とは?イスラム世界のアラビア天文学における天文学的知識の継承と発展
前回記事:星座の名前にラテン語を起源とする名称が多い理由とは?古代ギリシアから古代ローマへの天文学的知識と神話の物語の継承
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