XmasとX’masが両方とも不適切な表記とされる可能性と英語におけるクリスマスの正しい表記のあり方、XmasとX’masはどちらが正しい表記なのか?③
英語においてクリスマスのことを意味するXmasとX’masという二つの表記のあり方については、前々回の記事で書いたように、
こうした英語表記の内に含まれているXという文字を、古代ギリシア語においてイエス・キリストのことを意味するΧριστός(クリストス)という単語の頭文字にあたる文字として捉えたうえで、
そうしたギリシア文字のΧ(キー)をイエス・キリストの存在そのものを象徴する文字として捉える場合には、X’masではなくアポストロフィーをつけない形でXmasと表記するのが正しい表記のあり方となると考えられることになるのですが、
その一方で、前回の記事で書いたように
こうした英語表記の内に含まれているXという文字を、前述したΧριστός(クリストス)という古代ギリシア語の単語を英語のアルファベットへと音写した形にあたるXristosという単語の省略表記のあり方として捉える場合には、
英語のアルファベットにおけるアポストロフィーを用いた省略表記のあり方を用いてXmasではなくアポストロフィーをつけた形でX’masと表記するのも必ずしも文法的に誤った表現であるとまでは言い切れない慣用的には正しい表記のあり方として捉えていくことも十分可能であると考えられることになります。
そして、そこからさらに別の方向へと考えを推し進めていくと、こうしたXmasとX’masという二つの英語表記のあり方については、
前々回の記事で取り上げたXmasという表記のみを正しい表記のあり方として位置づける解釈のあり方と、
前回の記事で取り上げたXmasとX’masの両方とも正しい表記のあり方として位置づける解釈のあり方のほかに、
そもそも、こうしたXmasとX’masという表記のあり方を両方とも不適切な表記のあり方として位置づける解釈のあり方についても主張していくことができると考えられることになります。
XmasとX’masが両方とも英語における不適切な表記とされる可能性
そもそも、このシリーズのこれまでの記事で書いてきたように、
クリスマスのことを意味するXmasとX’masという二つの表記のあり方は、どちらの表記のあり方もその大本となる語源的な意味においては、
古代ギリシア語において「イエス・キリスト」のことを意味するΧριστός(クリストス)という単語と、英語において「ミサ」や「祭儀」のことを意味するmass(マス)という単語が組み合わせられることによって形づくられていった表記のあり方であると考えられることになるのですが、
こうしたXmasとX’masという二つの表記のあり方の語源的な意味における言葉の成り立ちのあり方からは、逆に言えば、
そうした古代ギリシア語という英語にとっては外来語にあたる言語において用いられているΧριστός(クリストス)という単語を、英語においてミサや祭儀のことを意味するmass(マス)という英語本来の単語と組み合わせて、
そうしたギリシア語と英語がハイブリッドになったような新しい英単語を勝手につくってしまうという単語の構成のあり方自体が、果たして英語における正しい表記のあり方と言えるのか?といった疑問も生じてくることになると考えられることになります。
そして、そういった意味では、
こうしたXmasとX’masという二つの表記のあり方は、
どちらも古代ギリシア語という英語にとって外来語にあたる言語において用いられている単語を英単語と無理やり合成してしまうことによってつくられたキメラのような単語であるという意味において、
英語における単語の正式な表記のあり方としては両方とも不適切な表記のあり方として捉えていくことも十分可能な解釈のあり方であると考えられることになるのです。
XmasとX’masという二つの表記に対する三つの解釈と英語におけるクリスマスの正しい表記のあり方
それでは、結局、
こうしたXmasとX’masという二つの表記のあり方をめぐる紛らわしい議論の根本にはいったいどのような問題があるのか?ということについてですが、
それについては、そもそも、
こうしたXmasやX’masといった英語表記の大本の語源となったΧριστός(クリストス)という単語が本来は古代ギリシア語という英語にとっては外来語にあたる単語であり、
英語という言語体系において、そうした外来語の単語を自らの内に含む言葉の正式な表記のあり方が、英語という言語の内にもともと存在している単語の本来の表記のあり方ほどには、文法的な意味においてもその表記のあり方が正確な形には定まっていないということが、こうした一連の問題の背景にはあると考えられることになります。
つまり、例えば、
日本語における外来語の表記のあり方においても、
violinという英単語の日本語の表記のあり方についてバイオリンとヴァイオリンという二つの表記のあり方のどちらの方が正しい表記のあり方であるのか?という問いについて、
すべての人が同意するような明確な答えを一意的に導き出していくことが困難であり、そこには一定の表記の揺れのようなものが生じていってしまうことが否めないとと考えられるのと同様に、
こうしたXmasとX’masという二つの表記のあり方についても、どちらの方が正しい表記のあり方であるのか?あるいは、両方とも適切な表記のあり方とは言えないのではないか?といった問題について明確な結論を出すことはそもそもが困難なことであるとも考えられることになるのです。
・・・
以上のように、
こうしたXmasとX’masという二つの表記のあり方については、
①Xmasという表記のみを正しい表記のあり方として位置づける解釈
②XmasとX’masの両方とも正しい表記のあり方として位置づける解釈
③XmasとX’masの両方とも不適切な表記のあり方として位置づける解釈
という三つの解釈のあり方を、それぞれが互いに同等に近い説得力を持った解釈のあり方として提示していくことができると考えられることになります。
そして、そういった意味では、
クリスマスという言葉の英語表記にあたる単語を書く場合には、
X’masと書いても必ずしも完全に間違いであるとまでは言い切れないものの、X’masと書くよりはXmasと書く方がより正しい表記のあり方として見なされる場合が多いと考えられる一方で、
こうしたXmasとX’masという二つの表記のあり方が両方とも不適切な表記のあり方として捉えられてしまう可能性もまったくないとは言い切れないと考えられることになるので、
結局は、
自分でこうしたクリスマスという言葉の英語表記にあたる単語を書く場合には、
XmasとX’masという二つの表記のあり方からどちらか一つを選ぶとするならば、なるべく前者のXmasという表記の方を選ぶようにしたうえで、
できれば、そうしたXmasやX’masといった英語にとっての外来語が混ざった表記のあり方は両方とも用いずに、
英語における本来の表記のあり方であるChristmasという表記のあり方を用いることが絶対に間違いのない最も正しい表記のあり方であると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:安息日は土曜日か日曜日か?旧約聖書と新約聖書の記述に基づくユダヤ教とキリスト教における安息日の位置づけの違い
前回記事:X’masを英語の正しい表記として捉える文法的な解釈の可能性、XmasとX’masはどちらが正しい表記なのか?②
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