マイコプラズマの具体的な三つの特徴と分類される代表的な四つの細菌の種類
前回の記事では、マイコプラズマと呼ばれる細菌の種族について、古代ギリシア語に基づく名称の由来や、球菌や桿菌といった一般的な細菌との大きさの比較といった観点から詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、
そうしたマイコプラズマと呼ばれる細菌の種族の具体的な特徴について改めてまとめていく形で記述していったうえで、こうしたマイコプラズマと呼ばれる細菌によって引き起こされることなる代表的な細菌感染症の種類についても詳しく考察していきたいと思います。
マイコプラズマと呼ばれる細菌の種族の具体的な特徴のまとめ
そうすると、まず、
こうしたマイコプラズマと呼ばれる細菌の種族の具体的な特徴についてまとめると、それについては、以下で述べるような三つの具体的な特徴を挙げていくことができると考えられることになります。
①球菌や桿菌といった一般的な細菌において見られる細胞体の外殻構造にあたる細胞壁が存在せず、二重膜構造をした薄い細胞膜によってのみ細胞体が包まれている。
②通常の状態では球形や卵型の形状をしているものの、前述したように細胞壁と呼ばれる頑丈な外殻構造を持たないため、糸状や螺旋状といった多様な形態へと変化していくことができる多形性の細菌の種族である。
③球形や卵型といった基本的な形態においては、直径0.1~0.3マイクロメートルくらいという最小の部類に属する非常に小型の細菌として分類される。
つまり、一言でまとめると、
こうしたマイコプラズマと呼ばれる細菌の種族は、
①細胞壁を持たない、②多形性、③非常に小型の細菌という三つの特徴を持つ特殊な細菌の種族として位置づけられることになると考えられることになるのです。
マイコプラズマを病原体とする代表的な細菌感染症の種類
そして、次に、
こうしたマイコプラズマ属と呼ばれる細菌の種族には、100種類を超えるような数多くの細菌の種類が分類されることになるのですが、
その中でも特に、人間に対して細菌感染症を引き起こしてしまうことになる代表的な細菌の種類としては、例えば、
マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、
マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、
マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)、
マイコプラズマ・ファーメンタンス(Mycoplasma fermentans)、
といったマイコプラズマ属に分類される具体的な細菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになります。
そして、このうち、はじめに挙げた
マイコプラズマ・ニューモニエと呼ばれる細菌によっては、主に、マイコプラズマ肺炎に代表されるような上気道炎や気管支炎、肺炎などといった呼吸器系の症状が引き起こされていくことになり、
マイコプラズマ肺炎においては、肺炎球菌などの一般的な細菌によって引き起こされることになる通常の肺炎の場合とは異なり、痰を伴わない乾いた咳が長く続いていくことになり、その他には、咽頭痛や発熱、頭痛や倦怠感といった症状が引き起こされていくことになると考えられることになります。
そして、それに対して、それ以外の
マイコプラズマ・ホミニス、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ファーメンタンスといった細菌の種類を原因とする細菌感染症においては、
主に、尿道炎や前立腺炎、子宮頸管炎といった泌尿器系や生殖器官に対して感染が引き起こされることになるほか、
最後に挙げたマイコプラズマ・ファーメンタンスと呼ばれる細菌を原因とする細菌感染症などにおいては、
そうしたマイコプラズマの感染が引き金となって、人体の免疫系が刺激されて自己抗体と呼ばれる自分自身の身体を構成している細胞に反応して免疫細胞による攻撃を促してしまう抗体が生産されてしまうことによって、
関節リウマチなどのリウマチ性疾患に代表されるような自己免疫疾患が引き起こされてしまうケースもあると考えられることになるのです。
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次回記事:クラミジアという細菌の名称の由来と一般的な細菌やウイルスとの大きさの比較、古代ローマの兵士と細胞の「青色のマント」
前回記事:マイコプラズマという細菌の名称の由来と一般的な細菌との大きさの比較
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