サイデリアル方式とは何か?①インド占星術における星座を構成する恒星の位置を基準とした黄道十二宮の領域の画定
前々回 と 前回の記事で書いてきたように、占星術における黄道十二宮の領域の配置のあり方において用いられることになるトロピカル方式とサイデリアル方式と呼ばれる二つの方式のうちの前者にあたるトロピカル方式においては、
天球上における太陽の運行の基点となっている春分点や秋分点、夏至点や冬至点などといった黄道上における太陽の位置だけに基づいて十二宮の配置のあり方が定められていくことになると考えられることになるのですが、
それでは、それに対して、
こうした二つの方式のうちの後者にあたるサイデリアル方式における十二宮の領域の配置のあり方は、具体的にどのような特徴をもった十二宮の領域の配置のあり方として定義することができると考えられることになるのでしょうか?
天文学的におけるサイデリアルという言葉の具体的な意味とは?
そうすると、まず、
こうしたサイデリアル方式と呼ばれる黄道十二宮の領域の配置のあり方は、日本における一般的な星占いにおいても広く用いられている西洋占星術ではなく、
主に、インド占星術などの分野などにおいて用いられることが多い十二宮の領域の配置方式のあり方であると考えられることになるのですが、
こうした占星術におけるサイデリアル(siderial)という言葉は、英語において「星の」「恒星の」「星座の」といった意味を表す単語として定義されることになります。
そして、
占星術や天文学の分野におけるサイデリアル方式においては、まさに、そうした英語におけるサイデリアル(siderial)という単語の意味通り、
天球上において星座を構成している恒星の位置のあり方に基づいて黄道十二宮の領域の配置のあり方が定められていくことになると考えられることになるのです。
サイデリアル方式における黄道十二宮の具体的な配置のあり方
それでは、
こうしたサイデリアル方式と呼ばれる方式においては、より具体的にはどのような形で黄道十二宮の領域の配置のあり方が定められていくことになるのか?ということについてですが、
それについては、まず、
黄道十二宮の最初の領域にあたる白羊宮に対応する星座にあたるおひつじ座を構成している特定の一つの恒星の位置がそうした白羊宮のはじまりの位置として定められたうえで、
そうしたおひつじ座を構成している特定の恒星の位置を基点として、黄道上を30度ずつに区切ったそれぞれの領域に対して、
白羊宮、金牛宮、双児宮、巨蟹宮、獅子宮、処女宮、天秤宮、天蝎宮、人馬宮、磨羯宮、宝瓶宮、双魚宮と呼ばれる黄道十二宮における十二の領域が割り当てられていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたサイデリアル方式に基づく黄道十二宮の領域の区分のあり方の基点となる恒星の正確な位置については、
この方式を採用しているインド占星術の諸派においても必ずしも見解の統一がなされておらず、それぞれの流派によって互いに異なる座標が用いられていくことになるのですが、
一般的には、現在の天球上の位置関係においては、
こうしたサイデリアル方式に基づく黄道十二宮の領域の区分のあり方においては、トロピカル方式の場合と比べて、
だいたい天球上の黄道座標の経度において23度から25度、十二宮のそれぞれの領域が司る暦の期間の長さに直すとだいたい23日から25日ほどのずれが生じていくことになると考えられることになります。
そして、具体的には、トロピカル方式との日付のずれを24日程度とした場合、
サイデリアル方式に基づく黄道十二宮の領域の区分のあり方において、白羊宮から双魚宮までの十二宮に対応することになる、おひつじ座からうお座までの十二星座のそれぞれが司る暦の期間については、
白羊宮に対応するおひつじ座は、4月14日から5月13日までの30日の期間を司る星座、
金牛宮に対応するおうし座は、5月14日から6月13日までの31日の期間を司る星座、
双児宮に対応するふたご座は、6月14日から7月15日までの32日の期間を司る星座、
巨蟹宮に対応するかに座は、7月16日から8月15日までの31日の期間を司る星座、
獅子宮に対応するしし座は、8月16日から9月15日までの31日の期間を司る星座、
処女宮に対応するおとめ座は、9月16日から10月16日までの31日の期間を司る星座、
天秤宮に対応するてんびん座は、10月17日から11月16日までの31日の期間を司る星座、
天蝎宮に対応するさそり座は、11月17日から12月16日までの30日の期間を司る星座、
人馬宮に対応するいて座は、12月17日から1月14日までの29日の期間を司る星座、
磨羯宮に対応するやぎ座は、1月15日から2月12日までの29日の期間を司る星座、
宝瓶宮に対応するみずがめ座は、2月13日から3月14日までの30日の期間を司る星座、
双魚宮に対応するうお座は、3月15日から4月13日までの30日の期間を司る星座
といった形でそれぞれの星座が司ることになる一年における暦の期間が位置づけ直されていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:サイデリアル方式とは何か?②おひつじ座生まれの人が死んだときにはうお座になってしまうという問題点
前回記事:トロピカル方式とは何か?②春分点の位置の移動に基づく十二宮と十二星座の位置関係のずれと識別記号としての十二宮の名称
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