サイデリアル方式とは何か?②おひつじ座生まれの人が死んだときにはうお座になってしまうという問題点

前回の記事で書いたように、インド占星術などにおいて用いられているサイデリアル方式に基づく黄道十二宮の領域の配置のあり方においては、

天球上において星座を構成している特定の恒星の位置を基点として、十二宮の配置のあり方が定められていくことになるため、

西洋占星術において用いられているトロピカル方式の場合と比べて、天球上における実際の星座の位置とそれに対応する十二宮の位置との間のずれが少なくなると考えられることになるのですが、

その一方で、

こうしたサイデリアル方式と呼ばれる黄道十二宮の領域の配置のあり方においては、今度は、現代の日本を含む世界の大部分の国々において日常的に使用されている太陽暦に基づく暦のあり方であるグレゴリオ暦における日付との間でずれが生じていってしまうことになるという別の問題が生じていってしまうことになると考えられることなります。

スポンサーリンク

サイデリアル方式に基づく十二宮と十二星座が司る暦の期間の70年ごとのずれ

そうすると、まず、詳しくは前回の記事で書いたように、

こうしたサイデリアル方式と呼ばれる黄道十二宮の領域の配置のあり方においては、十二宮最初の領域にあたる白羊宮の位置が天球上におけるおひつじ座を構成している特定の恒星の位置を起点とする位置へと固定されることになるのですが、

その一方で、詳しくは「現在の春分点がおひつじ座ではなくうお座に位置する理由」の記事などで詳しく考察したように、

天球上における太陽の運行のあり方においては、

太陽の通り道にあたる黄道と天の赤道との昇交点の位置にあたり、地球上においては昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなる日にあたる春分点の位置は、歳差運動と呼ばれる地球の自転運動の中心軸にあたる地軸の微細なブレの影響を受けるによって、

黄道上25800年ほどの周期少しずつ西へと移動していくことになると考えられることになります。

したがって、サイデリアル方式においては、

そうした天球上における特定の恒星の位置に固定された十二宮の配置のあり方と、天球上における春分点や秋分点などといった黄道上における太陽の位置のあり方に基づく暦の期間との間に少しずつずれが生じていってしまうことになると考えられ、

具体的には、

こうしたサイデリアル方式に基づく黄道十二宮の領域の配置のあり方においては、グレゴリオ暦における実際の日付との対応関係に注目した場合、

十二宮最初の領域にあたる白羊宮に対応するおひつじ座が司る期間の起点となる日は、

25800÷36570.68

すなわち、だいたい70年ほどの期間が経過するごとに1日ずつ後ろへとずれ込んでいってしまうことになると考えられることになるのです。

スポンサーリンク

おひつじ座生まれの人が死んだときにはうお座になってしまうという奇妙な問題

それでは、このように、

黄道十二宮に対応する十二星座のそれぞれが司る暦の期間がだいたい70年ごとに1の割合で後ろへとずれ込んでいってしまうことによって、具体的にどのような問題が生じていくことになると考えられるのか?ということについてですが、

それについては、例えば、

サイデリアル方式に基づく現在の十二宮の配置においては、双魚宮に対応するうお座が司る期間は315日から413までの30日の期間、白羊宮に対応するおひつじ座が司る期間は414から513までの30日の期間としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのですが、

このように、サイデリアル方式の現在の十二宮の配置においては、414日生まれの人おひつじ座生まれとされることになると考えられるのに対して、

こうしたサイデリアル方式に基づく70年後の十二宮の配置においては、そうした十二星座のそれぞれが司る暦の期間1日ずつ後ろへとずれ込んでしまうことによって、

うお座が司る期間は316日から414までの30日の期間、おひつじ座が司る期間は415日から515までの30日の期間として位置づけ直されていくことになり、

それに伴って、同じ414日生まれの人が70年後にはうお座生まれに変わってしまうといった現象が起こってしまうことも理論上はあり得ると考えられることになります。

つまり、

こうしたサイデリアル方式に基づく黄道十二宮の配置のあり方においては、天球上における実際と星座の位置と黄道十二宮における十二宮の領域の配置との間のずれが少なくなることによって、そうした十二星座と十二宮との間の対応関係が直感的にも分かりやすく把握しやすくなる一方で、

生まれた時おひつじ座生まれだったはずの人が、死んだ時にはうお座になっていったというかなり奇妙な事態が生じてしまうことにもなりかねないというように、

同じ月日の生まれであっても、生まれた年代によって、星座の割り当てが変わってしまうといった不都合な問題も生じてしまうことになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:トロピカル方式とサイデリアル方式の違いとは?黄道十二宮の配置における両者の具体的な特徴の違いとそれぞれの方式の問題点

前回記事:サイデリアル方式とは何か?①インド占星術における星座を構成する恒星の位置を基準とした黄道十二宮の領域の画定

天文学のカテゴリーへ

スポンサーリンク
サブコンテンツ

このページの先頭へ