トロピカル方式とサイデリアル方式の違いとは?黄道十二宮の配置における両者の具体的な特徴の違いとそれぞれの方式の問題点
占星術における白羊宮や金牛宮といった黄道十二宮の領域の配置のあり方は、一般的に、トロピカル方式とサイデリアル方式と呼ばれる二つの方式へと分類されることになると考えられることになるのですが、
こうしたトロピカル方式とサイデリアル方式の違いについて、一言でいうと、
トロピカル方式とは、主に西洋占星術などにおいて用いられている春分点を基点とする黄道上における太陽の位置だけに基づいて定められる十二宮の配置のあり方であるのに対して、
サイデリアル方式とは、主にインド占星術などにおいて用いられている天球上における星座を実際に構成している特定の恒星の位置に基づいて定められる十二宮の配置のあり方として定義することができると考えられることになります。
それでは、
こうしたトロピカル方式とサイデリアル方式と呼ばれる二つの黄道十二宮の配置のあり方には、より具体的にはどのような特徴の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのでしょうか?
トロピカル方式とサイデリアル方式における具体的な特徴の違い
そうすると、まず、
こうしたトロピカル方式とサイデリアル方式と呼ばれる二つの黄道十二宮の配置のあり方のうちの前者にあたるトロピカル方式においては、
天球上における太陽の通り道にあたる黄道と天の赤道との昇交点の位置にあたり、地球上においては昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなる日にあたる春分点を基点として黄道帯における十二宮の領域の配置のあり方が定められていくことになり、
具体的には、
天球上において太陽が黄道を一周していく時間の長さにあたる太陽年の基準となっている黄道上における春分点の位置が黄道十二宮のうちの最初の領域にあたる白羊宮のはじまりの位置として定められたうえで、
そうした春分点を基点として黄道上を30度ずつに区切ったそれぞれの領域に対して、白羊宮、金牛宮、双児宮、巨蟹宮、獅子宮、処女宮、天秤宮、天蝎宮、人馬宮、磨羯宮、宝瓶宮、双魚宮と呼ばれる黄道十二宮における十二の領域が割り当てられていくことになると考えられることになります。
そして、それに対して、
後者にあたるサイデリアル方式においては、
天球上において星座を構成している恒星の位置のあり方に基づいて黄道十二宮の領域の配置のあり方が定められていくことになり、
具体的には、
黄道十二宮の最初の領域である白羊宮に対応する星座にあたるおひつじ座を構成している特定の一つの恒星の位置がそうした白羊宮のはじまりの位置として定められたうえで、
そうしたおひつじ座を構成している特定の恒星の位置を基点として、黄道上を30度ずつに区切ったそれぞれの領域に対して、黄道十二宮における十二の領域が割り当てられていくことになると考えられることになるのです。
占星術を行う上での両者の方式に基づく黄道十二宮の配置のあり方の問題点
そして、
こうしたトロピカル方式とサイデリアル方式と呼ばれる二つの黄道十二宮の配置のあり方には、どちらの方式を採用した場合においても実際に占星術を行っていくうえで別々の問題点が生じていってしまうことになると考えられ、
具体的には、
前者のトロピカル方式の場合には、
十二宮の配置の基点となっている春分点の位置が、実際の天球上においては、歳差運動と呼ばれる地球の自転運動の中心軸にあたる地軸の微細なブレの影響を受けることによって、黄道上を少しずつ西へと移動していくことになるため、
現在の天球上における実際の春分点の位置は、白羊宮に対応する星座にあたるおひつじ座の近くにあたる位置から、その西側に位置する星座であるうお座の近くにあたる位置へと移動してしまっていると考えられるように、
トロピカル方式においては、そうした黄道上における春分点の移動に伴って、黄道帯における十二宮の配置のあり方と、それに対応することになる実際の天球上における十二星座の位置のあり方が大きくずれていってしまうことになるという問題点が生じていってしまうことになると考えられることになります。
そして、それに対して、
後者のサイデリアル方式の場合には、
十二宮の配置の基点となる座標は天球上における実際の星座を構成している特定の恒星の位置に固定されることになるため、
トロピカル方式の場合のように黄道帯における十二宮の配置のあり方と、それに対応することになる実際の天球上における十二星座の位置のあり方に大きなずれが生じることはほとんどなくなると考えられることになるのですが、
その代わりに、
サイデリアル方式においては、十二宮に対応する十二星座のそれぞれが司る暦の期間がだいたい70年ごとに1日の割合で後ろへとずれ込んでいってしまうことによって、
同じ月日の生まれであっても、生まれた年代によって、星座の割り当てが変わってしまうという問題点が生じていってしまうことになると考えられることになるのです。
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以上のように、
こうしたトロピカル方式とサイデリアル方式と呼ばれる二つの黄道十二宮の配置のあり方における具体的な特徴の違いについて、一言でまとめると、
トロピカル方式においては、天球上において太陽が黄道を一周していく時間の長さにあたる太陽年の基準となっている春分点の位置を基点として黄道上を30度ずつに区切ったそれぞれの領域に対して十二宮の領域が割り当てられていくことになり、
こうしたトロピカル方式に基づく十二宮の配置においては、黄道上における春分点の移動に伴って、実際の天球上における十二星座の位置と十二宮の配置のあり方に大きなずれが生じていってしまうことになるのに対して、
サイデリアル方式においては、黄道十二宮の最初の領域である白羊宮に対応する星座にあたるおひつじ座を構成している特定の恒星の位置を基点として黄道上を30度ずつに区切ったそれぞれの領域に対して十二宮の領域が割り当てられていくことになり、
こうしたサイデリアル方式に基づく十二宮の配置においては、十二星座と十二宮との位置関係があまり大きくずれることはない代わりに、年代が進んで行くごとに、十二宮に対応する十二星座のそれぞれが司る暦の期間のあり方に大きなずれが生じていってしまうことになるといった点に、
こうしたトロピカル方式とサイデリアル方式における主要な特徴の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:十二星座と十二宮の違いとは?天球上における具体的な位置関係と両者の概念の具体的な定義と特徴の違い
前回記事:サイデリアル方式とは何か?②おひつじ座生まれの人が死んだときにはうお座になってしまうという問題点
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