十二星座と十二宮の違いとは?天球上における具体的な位置関係と両者の概念の具体的な定義と特徴の違い
星占いや占星術と呼ばれる天球上における太陽や月や星々などの天体の位置関係に基づいて人生や社会における出来事の吉凶を見極めていく占いのあり方においては、
白羊宮や金牛宮といった黄道十二宮と呼ばれる天球上における十二の領域の配置のあり方を土台として占いが行われていくことになると考えられることになるのですが、
その一方で、
こうした星占いにおける天球上における十二の領域の区分のあり方については、
おひつじ座やおうし座といった十二星座の名前がそのまま当てはめられていく形で呼び表されていくことも多いと考えられることになります。
それでは、
こうした黄道十二宮と黄道十二星座、あるいは単に、十二宮と十二星座として呼び表されている概念は、正確な意味においては、具体的にどのような関係にある概念であると考えられ、
両者の間には具体的にどのような特徴の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのでしょうか?
黄道十二宮と黄道十二星座の具体的な定義と特徴の違い
そうすると、まず、
こうした十二宮と十二星座と呼ばれる占星術に関連する二つの互いに似通った概念のうちの前者にあたる十二宮、すなわち、黄道十二宮とは、
一言でいうと、
天球上の太陽の通り道にあたる黄道を中心とする南北に約8度ずつ幅にして約16度にわたる天球上の帯状の領域にあたる黄道帯における等分割された十二の領域のことを意味する概念として定義することができると考えられることになります。
そして、
こうした天球上における黄道十二宮の区分のあり方においては、西洋占星術において広く用いられている一般的な黄道十二宮の配置のあり方であるトロピカル方式に基づいた場合、
地球上においては昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなる日にあたる春分点を基点として、黄道上を30度ずつに区切ったそれぞれの領域に対して、
白羊宮、金牛宮、双児宮、巨蟹宮、獅子宮、処女宮、天秤宮、天蝎宮、人馬宮、磨羯宮、宝瓶宮、双魚宮という黄道十二宮における十二の領域が割り当てられていくことになると考えられることになります。
そして、それに対して、
後者の十二星座、すなわち、黄道十二星座とは、
一言でいうと、
そうした天球上における黄道を中心とする幅16度の帯状の領域にあたる黄道帯に位置している代表的な十二個の星座のことを意味する概念であり、
こうした天球上における黄道十二星座のうちには、具体的には、
おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座という星占いなどでお馴染みの全部で十二個の星座の名前が挙げられていくことになると考えられることになるのです。
十二宮と十二星座との位置関係の大きなずれと13番目の星座としてのへびつかい座
そして、
天文学や占星術の歴史において、こうした黄道十二宮と呼ばれる天球上の黄道帯における十二の領域の区分のあり方が定められていくことになった紀元前1000年ごろの古代バビロニアの時代には、
実際の天球上においても、白羊宮や金牛宮といった十二宮の領域のそれぞれに、おひつじ座やおうし座といった十二星座が位置づけられていたため、そうした十二星座の名前に基づいて、黄道十二宮の名前が付けられていくことになっていったと考えられることになるのですが、
その一方で、
そうした黄道十二宮の基点となっている春分点の位置は、歳差運動と呼ばれる地球の自転運動の中心軸にあたる地軸の傾きの微細なブレの影響を受けるによって、黄道上を少しずつ西へと移動していくことになるため、
現在の天球上においては、黄道十二宮の基点、すなわち、十二宮の最初の領域にあたる白羊宮の起点となっている春分点の位置は、白羊宮が対応する星座にあたるおひつじ座ではなく、その西隣にあたるうお座へと移動してしまっていると考えられることになります。
そして、さらに言えば、
こうした黄道十二宮のそれぞれに対応することになる十二星座の位置についても、実際の天球上においては、そうした十二星座の配置はぴったりと等間隔に並んでいるわけではなく、
こうした黄道帯と呼ばれる天球上の帯状の領域においては、実際には、前述した十二星座のうちには含まれていないへびつかい座も含めた全部で13個の星座が位置することになるため、
そういった意味では、
こうした黄道十二宮と呼ばれる天球上の黄道帯における十二の領域の配置のあり方と、そうした十二宮のそれぞれに対応することになる黄道十二星座との実際の天球上における位置関係は互いに大きくずれてしまっていると考えられることになるのです。
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以上のように、
こうした十二宮と十二星座、すなわち、黄道十二宮と黄道十二星座と呼ばれる星占いや占星術に関連する二つの互いに似通った概念における具体的な特徴の違いについて、一言でまとめると、
黄道十二宮とは、天球上の太陽の通り道にあたる黄道を中心とする帯状の領域にあたる黄道帯を春分点を基点として30度ずつに区切っていくことによって定められていくことになる天球上の黄道帯における形式的な領域の区分のあり方のことを意味する概念として定義することができるのに対して、
黄道十二星座とは、そうした黄道十二宮が配置されていくことになる黄道帯上に位置している代表的な十二個の星座にあたる天球上の黄道帯における実際の星座そのものの存在のことを指し示す概念として定義することができるといった点に、
こうした十二宮と十二星座の両者における主要な特徴の違いを見いだしていくことができると考えられることになります。
そして、
西洋占星術において広く用いられているトロピカル方式と呼ばれる一般的な配置のあり方に基づいた場合、
十二宮の最初の領域にあたる白羊宮には、それに対応する星座にあたるおひつじ座ではなく、その西隣の星座にあたるうお座が位置しているというように、
現在の天球上における十二宮と十二星座との位置関係については、実際には、両者の間にかなり大きなずれが存在すると考えられることになるのです。
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次回記事:星占いにおける黄道十二宮のことを十二星座の名前で呼ぶのは間違いなのか?
前回記事:トロピカル方式とサイデリアル方式の違いとは?黄道十二宮の配置における両者の具体的な特徴の違いとそれぞれの方式の問題点
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