虫媒花の昆虫の種類に基づく五つの区分とは?ハチ媒とチョウ媒とガ媒とハエ媒と甲虫媒に分類される代表的な植物の種類
詳しくは「虫媒花の二つの区分」の記事で書いたように、チョウやミツバチなどといった昆虫の媒介によって受粉が行われる虫媒花における花粉の受粉のあり方は、
花粉の送り手と受け手となる花や植物の側からは、花蜜花と花粉花と呼ばれる二つのグループへと分類されていくことになるのですが、
それに対して、
花粉の運び手となる昆虫の側からは、そうした虫媒花における花粉の受粉のあり方は、花粉の運び手となる昆虫の種類に応じて、
ハチ媒やチョウ媒、さらには、ガ媒やハエ媒や甲虫媒と呼ばれるようなグループへと分類されていくことになると考えられることになります。
ハチ媒とチョウ媒に分類される代表的な昆虫と植物の種類
このうち、最も多くの虫媒花の花粉の運び手となっている昆虫の種類としては、ミツバチ(蜜蜂)やマルハナバチ(丸花蜂)といったハチ類に分類される昆虫の種類の名が挙げられることになり、こうしたハチ媒によって花粉の受粉が行われる代表的な植物の種類としては、
サクラやアブラナ、ヒマワリ、シロツメクサ(クローバー)、ミカン、クリ、さらには、レンゲやニセアカシアなどといった蜂蜜の原料ともなる蜜源植物に分類される植物の名が多く挙げられることになると考えられることになります。
それに対して、
アゲハチョウ(揚羽蝶)やモンシロチョウ(紋白蝶)などといった鱗翅類(りんしるい)に分類されるチョウ類によって花粉の受粉が行われる代表的な植物の種類としては、
ユリやヒガンバナ、カーネーション、ムラサキツメクサ(アカツメクサ)といった植物の名が挙げられることになり、
こうしたチョウ媒花に分類される植物は、長い口吻で蜜を吸い取るというチョウの採蜜方法に対応して細長い筒状の形状をした花をつける植物や、チョウが好む色であるともされている、赤系統や紫系統の色をした花をつける植物が多いと考えられることになるのです。
ガ媒とハエ媒と甲虫媒に分類される代表的な昆虫と植物の種類
そして、それに対して、
チョウと同じ鱗翅類に分類される昆虫の種類であるスズメガ(雀蛾)やヤガ(夜蛾)などといったガ(蛾)によって花粉の受粉が行われる代表的な植物の種類としては、
マツヨイグサ、カラスウリ、ハマユウ、サギソウ、オシロイバナといった植物の名が挙げられることになるほか、アサガオやユウガオなどといった植物もガ(蛾)によって花粉の媒介が行われているケースが多いと考えられることになるのですが、
こうしたガ媒花に分類される植物は、夜行性の種類が多い昆虫であるガ(蛾)の生活形態のあり方に合わせて、日中よりも夜間において開花する白っぽい色をした花をつける植物が多く分類されることになると考えられることになります。
また、その次に挙げた
クロバエやハナアブ(花虻)などといったハエ類によって花粉の受粉が行われる代表的な植物の種類としては、
ラフレシアやザゼンソウ(座禅草)などといった悪臭を放つ花を咲かせることで有名な植物の種類の名が挙げられることになるほか、
キクやヤツデ、ヤブガラシやユキノシタ、チドメグサなどといった植物もこうしたハエ類によって花粉の媒介が行われているケースが多いと考えられ、
こうしたハエ媒花に分類される植物に悪臭を放つ種類が多い理由としては、これらの植物は花粉の運び手となるハエの好みに合わせて、あえて、腐った肉のような悪臭を放つ花を咲かせてハエを自分のもとに呼び寄せていると考えられることなります。
そして、その他にも、
カブトムシやクワガタムシ、ツチハンミョウなどといった甲虫類に分類される昆虫の種族によって花粉の受粉が行われる虫媒花もあり、そうした甲虫媒によって花粉の受粉が行われる代表的な植物の種類としては、
オニバス(鬼蓮)やスイレン(睡蓮)、コブシ(辛夷)、ニワトコ(接骨木)などといった植物の名が挙げられることになると考えられることになるのです。
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以上のように、
虫媒花と呼ばれる花や植物のグループは、花粉の運び手となる昆虫の種類に基づくとハチ媒花とチョウ媒花とガ媒花とハエ媒花と甲虫媒花と呼ばれる五つのグループへと分けられていくことになると考えられ、それぞれの虫媒花のグループに分類されることになる代表的な昆虫と植物の種類としては、
ミツバチやマルハナバチといったハチ類に分類される昆虫によって花粉の受粉が行われるハチ媒花に分類される代表的な植物の種類としては、
サクラ、アブラナ、ヒマワリ、シロツメクサ(クローバー)、ミカン、クリ、レンゲ、ニセアカシアといった植物の種類が挙げられることになるのに対して、
アゲハチョウやモンシロチョウといったチョウ類に分類される昆虫によって花粉の受粉が行われるチョウ媒花に分類される代表的な植物の種類としては、
ユリ、ヒガンバナ、カーネーション、ムラサキツメクサ(アカツメクサ)といった植物の種類が挙げられることになり、
それに対して、
スズメガやヤガといったガ(蛾)に分類される昆虫によって花粉の受粉が行われるガ媒花に分類される代表的な植物の種類としては、
マツヨイグサ、カラスウリ、ハマユウ、サギソウ、オシロイバナ、アサガオ、ユウガオなといった植物の種類が挙げられることになり、
クロバエやハナアブといったハエ類に分類される昆虫によって花粉の受粉が行われるハエ媒花に分類される代表的な植物の種類としては、
ラフレシア、ザゼンソウ、キク、ヤツデ、ヤブガラシ、ユキノシタ、チドメグサなといった植物の種類が挙げられることになるのに対して、
最後に挙げた
カブトムシやクワガタムシやツチハンミョウといった甲虫類に分類される昆虫によって花粉の受粉が行われる甲虫媒花に分類される代表的な植物の種類としては、
オニバス、スイレン、コブシ、ニワトコなといった植物の種類の名が挙げられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:裸子植物なのに風媒花ではなく虫媒花に分類される植物とは?ソテツにおける風媒と虫媒の両立と害虫であるゾウムシとの関係
前回記事:水生植物の四つの分類とは?沈水植物・抽水植物・浮葉植物・浮水植物に分類される代表的な植物の種類
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