水生植物の四つの分類とは?沈水植物・抽水植物・浮葉植物・浮水植物に分類される代表的な植物の種類とクジラやイルカのような植物の種族
水生植物あるいは水草といった言葉は、一般的には、水中や水辺において生育する植物の種族のことを意味する総称として用いられることが多い言葉ですが、
こうした水生植物という言葉は、より厳密な生物学的な定義においては、そうした水中や水辺に生育する様々な植物のなかでも、藻類などの原始的な植物の種族を除いた
被子植物や裸子植物などといった高等植物に分類される維管束植物のなかでも植物体の大部分が淡水を中心とする水中に存在する状態で生活を営んでいる植物の種族のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
そして、
こうした水生植物と呼ばれる植物の区分には、生物学的な分類においては、本来は陸上植物に分類されている種子植物のなかでも最も進化した植物の種族として位置づけられることになる、主に、被子植物を中心とする植物の種類が分類されていくことになると考えられることになるのですが、
つまり、そういった意味では、
こうした水生植物と呼ばれる水中で生活する維管束植物として位置づけられる植物のグループは、進化論的な観点から見れば、
海水を中心とする水中で生活していた比較的原始的な構造をした植物の種族にあたる藻類から、コケ植物といった陸上植物へと進化したのち、
さらに、根と茎と葉の明確な区別を持つシダ植物や種子植物などの維管束植物と呼ばれる高等植物に分類される陸上植物の段階にまで到達しながら、
その後、
新たに水中生活に適応した植物体の構造を獲得することによって、河川や池や沼などを中心とする水中へと再び戻っていくような形で進化を遂げていくことになった特殊な植物の種族として位置づけられることになると考えられることなります。
つまり、そういった意味では、
こうした水生植物と呼ばれる植物の種族は、本来は陸上植物に分類される高等植物の種族でありながら、新たに水中生活に適応していくことによって水の中へと還っていった古くて新しい植物の種族、
言わば、
植物界におけるクジラやイルカのような存在として捉えることができると考えられることになるのです。
水生植物の四つの分類と沈水植物・抽水植物・浮葉植物・浮水植物に分類される代表的な植物の種類
そして、
こうした水生植物と呼ばれる植物の種族は、生物学的な区分においては、さらに、沈水植物・抽水植物・浮葉植物・浮水植物と呼ばれる四つの植物のグループへと分類していくことができると考えられることになります。
そして、このうち、はじめに挙げた
沈水植物(ちんすいしょくぶつ)とは、根が水底の土中に固着していて花や茎などを含めた植物体全体が水面下に沈んだ状態で生活を営んでいる水生植物のことを意味する言葉であり、
こうした沈水植物に分類される代表的な植物の種類としては、
キンギョモ(金魚藻)、マツモ(松藻)、イバラモ(茨藻)、クロモ(黒藻)、フサモ(房藻)、エビモ(海老藻)、アマモ(甘藻)、カナダモ(カナダ藻)、セキショウモ(石菖藻)、ウミショウブ(海菖蒲)などといった植物の種類の名が挙げられることになります。
そして、それに対して、その次に挙げた
抽水植物(ちゅうすいしょくぶつ)とは、根は水底の土中に固着しているものの花や茎や葉などの植物体の上部が水上に出た状態で生活を営んでいる水生植物のことを意味する言葉であり、
こうした抽水植物に分類される代表的な植物の種類としては、
ハス(蓮)、キバナハス(黄花蓮)、アシ(葦)、ガマ(蒲)、マコモ(真菰)、コウホネ(川骨)、オモダカ(面高)、ミズアオイ(水葵)などといった植物の種類の名が挙げられることになります。
また、その次に挙げた
浮葉植物(ふようしょくぶつ)とは、根は水底の土中に固着していて葉が水面に浮かんでいるような状態で生活を営んでいる水生植物のことを意味する言葉であり、
こうした浮葉植物に分類される代表的な植物の種類としては、
スイレン(睡蓮)、ヒシ(菱)、オニバス(鬼蓮)、ジュンサイ(蓴菜)、アサザ(浅沙)、ヒツジグサ(未草)、ヒルムシロ(蛭蓆)、ガガブタ(鏡蓋)などといった植物の種類の名が挙げられることになます。
そして、最後に挙げた
浮水植物(ふすいしょくぶつ)とは、根が水底に固着せずに水中に垂れていて植物体全体が水面に浮遊しているような状態で生活を営んでいる水生植物のことを意味する言葉であり、
こうした浮水植物に分類される代表的な植物の種類としては、
ウキクサ(浮草)、アカウキクサ(赤浮草)、タヌキモ(狸藻)、サンショウモ(山椒藻)、ホテイアオイ(布袋葵)などといった植物の種類の名が挙げられることになると考えられることになるのです。
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