独立栄養生物と従属栄養生物の違いとは?それぞれに分類される代表的な生物の種類と光合成と化学合成に基づく四つの区分
独立栄養生物と従属栄養生物の違いについて、一言でいうと、
独立栄養生物とは、光合成などを行うことにより他の生物の存在に依存せずに自らの体を構成している有機物を無機物から合成することができる生物のことを意味するのに対して、
従属栄養生物とは、自らの力では有機物を合成することができず、捕食や寄生生活を通じて他の生物がつくった有機物を体内に取り入れることによって生命活動を営んでいる生物のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
それでは、
こうした独立栄養生物と従属栄養生物というそれぞれの生物のグループに分類される代表的な生物の種類としては具体的にどのような生物の種類の名が挙げることになると考えられることになるのでしょうか?
独立栄養生物に分類される代表的な生物の種類とは?
そうすると、まず、
前者の独立栄養生物と呼ばれる生物のグループに分類される代表的な生物の種類としては、
種子植物やシダ植物、コケ植物といった一般的な陸上植物や、緑藻類や紅藻類や褐藻類といった藻類、さらには、
シアノバクテリアや緑色硫黄細菌や紅色硫黄細菌といった光合成細菌や、メタン菌や硫黄細菌や硝酸菌などといった化学合成細菌などが挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、
種子植物やシダ植物、コケ植物や藻類などといった一般的な植物や光合成細菌は、
太陽などに由来する光エネルギーを利用して二酸化炭素と水から炭水化物と酸素を合成していく光合成と呼ばれる化学反応によって有機物、すなわち、生物の体を構成している炭素を含む化合物を合成していくことになるため、
光エネルギーを利用して無機物から有機物を合成している光合成独立栄養生物に分類されることになるのに対して、
メタン菌や硫黄細菌や硝酸菌などといった化学合成細菌に分類される生物は、硫化水素やアンモニアなどといった化学物質が酸化していく際に得られる酸化還元反応に基づく化学エネルギーを利用して有機物を合成していくことになるため、
化学エネルギーを利用して無機物から有機物を合成している化学合成独立栄養生物に分類されることになると考えられることになるのです。
従属栄養生物に分類される代表的な生物の種類とは?
そして、それに対して、
後者の従属栄養生物と呼ばれる生物のグループに分類される代表的な生物の種類としては、
人間を含む哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫などといった一般的な動物や、キノコやカビや酵母などといった菌類、さらには、
前述した光合成細菌や化学合成細菌に分類されない一般的な細菌の種類の多くがこうした従属栄養生物に分類されることになると考えられることになります。
そして、このうち、
一般的な動物や菌類、様々な細菌の種類といった従属栄養生物に分類されるほとんどの生物は、
エネルギーと有機物の両方を植物などの他の生物がつくった有機化合物に依存する化学合成従属栄養生物に分類されることになるのですが、
その一方で、
紅色非硫黄細菌や緑色非硫黄細菌(緑色糸状細菌)といった酸素が発生しないタイプの光合成をおこなう細菌の種類のなかには、生命活動を営むのに必要なエネルギーは光合成によって得ることができるものの有機物の合成を行うことはできないといった特徴を持つ特殊な細菌の種族も存在して、こうした特殊な細菌の種族は、
光合成を行うことはできるものの自らの力では有機物を合成することはできないといった特徴を持つ光合成従属栄養生物に分類されることになるのです。
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以上のように、
独立栄養生物と従属栄養生物と呼ばれる二つの生物のグループは、エネルギー生産における光合成の能力の有無と、無機物から有機物を合成する能力の有無に基づいて、さらに、
光合成独立栄養生物と化学合成独立栄養生物、そして、光合成従属栄養生物と化学合成従属栄養生物という四つの生物のグループへと分類されていくことになると考えられることになります。
そして、
こうした四つの生物のグループに分類されることになる代表的な生物の種類としては、
光合成独立栄養生物には、種子植物やシダ植物やコケ植物や藻類などといった一般的な植物や、シアノバクテリアや緑色硫黄細菌や紅色硫黄細菌などの光合成細菌が分類されることになるのに対して、
化学合成独立栄養生物には、メタン菌や硫黄細菌や硝酸菌などといった化学合成細菌が分類されることになり、
そして、
光合成従属栄養生物には、紅色非硫黄細菌や緑色非硫黄細菌(緑色糸状細菌)といった非酸素発生型の光合成をおこなう一部の特殊な細菌の種類が分類されることになるのに対して、
化学合成従属栄養生物には、哺乳類や鳥類や爬虫類や両生類や魚類や昆虫などといった一般的な動物や、キノコやカビや酵母などの菌類、さらには一般的な細菌の大部分といった生物の種類がそれぞれ分類されることになると考えられることになるのです。
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次回記事:食虫植物が昆虫を食べるのに独立栄養生物に分類される理由とは?
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