自然毒による食中毒の原因となる代表的な植物や動物の種類とは?キノコとカビを原因とする食中毒の分類のされ方の違い
このシリーズの初回から前回までの一連の記事で考察してきたように、
食中毒を引き起こす原因物質の種類としては、細菌やウイルスあるいは寄生虫といったといった病原体などのほかにも、
食品中に本来は含まれるべきではない化学物質や、自然界において動物や植物が持っている自然毒によって引き起こされる食中毒の種類も挙げられることになるのですが、
このうち、食中毒の原因となる自然毒の種類は、大きく分けて、植物性の自然毒と動物性の自然毒という二つのグループへと分類されていくことになると考えられることになります。
植物性の自然毒による食中毒の原因となる代表的な生物の種類
こうした植物性の自然毒と動物性の自然毒という食中毒の原因となり得る二つの原因物質のグループのうち、
前者の植物性の自然毒を持った代表的な生物の種類としては、
トリカブトやチョウセンアサガオ、スイセン、トウゴマ、バイケイソウ、イヌサフランといった植物の種類が挙げられることになるほか、
ジャガイモの芽に含まれているソラニンや、イチョウの果実や種子にあたるギンナン(銀杏)に含まれているギンコトキシン、
あるいは、まだ熟していない青くて硬い梅の実のことを意味する青梅(アオウメ)に含まれているアミグダリンといった成分なども、
こうした植物性の自然毒の代表的な種類として挙げられることになります。
また、
現代の生物学における区分では、厳密な意味においては、キノコなどの菌類は、植物や動物とは別の第三の生物の区分として位置づけられることになるのですが、
こうしたベニテングタケやツキヨタケ、ドクツルタケやニガクリタケといった毒キノコに含まれる毒成分についても、通常の場合は、植物性の自然毒のうちに含まれる形で言及がなされるケースが多いと考えられることになります。
ちなみに、それに対して、
キノコと同じ菌類にあたるカビが生産する毒素であるカビ毒によって引き起こされる食中毒の場合は、カビ自体ではなくカビが増殖していく際に代謝によって放出されることになる化学物質によってそうした食中毒の症状が引き起こされることになるといった点において、
通常の場合は、自然毒による食中毒ではなく、化学物質による食中毒として位置づけられる場合が多いと考えられることになるのです。
動物性の自然毒による食中毒の原因となる代表的な生物の種類
そして、
こうした植物性の自然毒によって引き起こされる食中毒に対して、後者の動物性の自然毒を持った代表的な生物の種類としては、
フグの毒として有名なテトロドトキシンを持っているトラフグやクサフグ、ヒョウモンダコ、ツムギハゼ、カブトガニ、スベスベマンジュウガニといった海洋生物の種類が挙げられることになるほか、
サキシトキシン、シガトキシン、オカダ酸といった貝毒を持っているホタテガイ、ムラサキイガイ、アサリ、カキ、ウバガイ(ホッキガイ)といった二枚貝を中心とする様々な種類の貝類が挙げられることになるのです。
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次回記事:植物性の自然毒の代表的な種類とは?①日本三大有毒植物であるトリカブト・ドクウツギ・ドクゼリに含まれる毒性成分の種類
前回記事:カビ毒による食中毒の原因となる代表的な化学物質の種類とは?②黄変米の原因となる化学物質とその他の代表的なカビ毒
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